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やっぱり君はここに留まっていてはくれないよねーGARNET CROW「Jewel Fish」

はじめに


こんにちは、2000年前後のbeing作品の歌詞の解釈について書いている「品川みく」です。今回は、りーぬさんのnoteに触発されてGARNET CROWの「Jewel Fish」(2001年)について書いてみます。「Last Love Song」のカップリングのB面曲ですが、ファンの人気が根強いように感じています。

君が少しずつ遠くなっていく物語

この曲をはじめて聴いた21年前は1曲を通じたストーリーを描き切ることができませんでしたが、今になってみると、「君が少しずつ遠くなっていく物語」と感じるようなりました。

この曲は歌い手とJewel Fishと称する「君」との距離感を描いた描写が多数でてきます。

まず歌い出しの「走り出したら通り雨 もう一休みしてる 待ちきれない君は飛び出して 信号が変わる一瞬の間にもう離れ離れ」。これは、君が何か気になるものを見つけたらすぐそこに飛びついてしまい自分のもとから離れてしまうような奔放な性格であることを表しているだけのように思います。

1番の時点では歌い手と「君」は生まれ故郷の同じ街に暮らして付き合っている(または相当親しい間柄でいる)。いつか君はこの街も出て行ってしまうんだろうかなんて思いながら、でもまた次の待ち合わせを楽しみにしている。そんな感じです。

2番になると、君は街を出て行っています。けれど、まだ「大海に出て暮らす」ものの「いつか生まれ故郷に帰る」と思っている段階で、君ともまだ時々会っており、一応交際関係も続いているもの、と思います。先が見えない砂漠も気にせずに、雨なら雨のやり方、晴れなら晴れのやり方で環境に合わせて柔軟に対応して生き抜いていく君。なかなか会えなくなりつつも、君が夢を追うそんな姿を愛しく思い続けています。

そして、Cメロ。「引き金は腕の中で」とは、久々に会えたある日、君に抱きしめられながら別れの言葉を告げられたことを表しているのだと思います。

そこからの3番サビは歌い手による君への気持ちの整理です。「目隠ししたまま雨に打たれてる」というのは、君に別れを告げられて先が見えなくなっている歌い手自身のことを言っているのでしょう。でも、君と別れることになったからといって自分の人生が終わるわけではないし、こうなることは最初から薄々わかっていた気もします。まだ自分の人生の希望もたくさん残っています。残りの人生を君への届かない愛を抱え続けて生きていくべきかというと、そうではないでしょう。

いますぐ気持ちを整理することはできない。けれど、「いつか少しでも君のいないこれからの日に優しくなれるように」、私のこの気持ちを海に埋めてしまおう(bury at sea for me)というところで曲は幕を閉じています。

おわりに:りーぬさんに感謝

このnote記事はりーぬさんの記事に着想を得て執筆したものです。発想を膨らませてくれたりーぬさんに感謝いたします。

曲の解釈は人それぞれですが、私はできればフレーズの感覚を楽しむだけでなく、1曲をひとつのストーリーとしてつなげられるとより楽しいかなと思っています。あなたはどんなストーリーをこの曲から思い浮かべましたでしょうか。ぜひ語っていただけると嬉しいです。