12月18日

朝8時、通勤の為に本厚木の駅に着いた。改札口付近には人があふれかえりちょっと驚いた。警察官が並んで3人立っていた。最初に制服姿を見たとき事件かと思い彼らに近寄って
「何か有ったのですか?」と一人に尋ねた。
「相模原で人身事故が、有って電車が遅延しているのです。」
「そうですか。分かりました。有難うございます。」
私は駅前のコンビニによってコーヒーをドリップしてそれを持って電車に乗った。

思いめぐらすのは、見ず知らずの人身事故をおこした人のことだ。何処の誰かは、この電車や駅で開通を待っている全員が知らないだろう最後の最後に大勢の人の時間を奪ってさらに経済的に莫大な損失を与えて死んで行くって、迷惑千万だと思う。死に方を間違っただけで恨みも買って逝くのだ。カップのコーヒーを飲み終えても電車は、動かない。

事故は早朝に起きた。車両破損の為、電車を倉庫に回収する作業が有って2時間を越える遅延となった。
彼もしくは彼女は何故このような最悪の選択をしたのだろう?
眠れない夜を過ごし、何も食べず、低血糖で考えるのはネガティブなことばかり。
借金に追われて苦しんでいたのか、あるいは離婚で家族がバラバラになり孤独に苛まれたのか、難病で痛みをどうすることも出来なかったのか?想像できるのはそんなことぐらいだ。
飛び込む前に悩み苦しんで、すべての希望を捨てたのだろう。

「飛び込み自殺ってね、切り口がとてもシャープだよ。管谷さん。俺は電車を運転していたから、数回人身事故に遭遇したんだ。手や足がレールにのる状態で引かれるとまるで、大根を包丁でスパッと切ったみたいなんだ。」
「じゃあ拾い集めるのは、簡単そうですね。」
「ミンチみたいな遺体も有るから、一つ一つビニール袋に集めるのは大変だよ。」
随分昔に国鉄の職員とこのような会話をしたのを思い出した。

何故、死に急ぐのだろう?
150年後100%
今いる人間はこの世に居ないのだ。自殺は、神に対する反抗だと言う。
この世の罪のなかで一番の重罪であると言う。

社会が冷たいから、自殺は起こる。
本人が悪いのはもちろんだが、セーフティネットが機能していたら、年間自殺者数が、こんなに多いわけがない。自分本意にならず、人に愛を注ごう。笑顔でいよう。困っている人がいたらできる範囲で良い、手を差しのべよう。

線路に流れた血を思いながら書いた。

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