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33rdSGアンダーライブ

「初手何だろうね」「流石にアレじゃね?」「プライドランド」「ヤック頼むぞ」といった他愛もない会話を連番相手としながら開演を待つ9月29日金曜日18時35分。発走遅延気味だったことも相まって会場のボルテージの高まりを感じずにいられなかった。何と言っても5ヶ月ぶりのアンダーライブである。彼女たちは全国を飛び回り神宮で熱い4日間を経験していた。3歳馬同様、ひと夏越えての成長に期待していたことは言うまでもない。それでも幕が上がると驚いてしまった。出だしの4曲が終わるのを待たずに、彼女たちがその期待を遥かに凌駕する"出来"でこのステージに立っていることを確信したのだ。

31stこそ逃してしまったが28th以降何らかの形でアンダーライブに参加している。今回はDAY1,2が現地、DAY3は配信と全通に近い形で見守ることが出来た。今回は28thから数えて2度目の秋となる。月並みで恐縮だが「実りの秋」と表現して差し支え無いだろう。思い返せば、28thは4期生が合流して初のアンダーライブだった。その4期生の一人であり、今回センターを務めた松尾美佑がその成果の筆頭である。

松尾美佑

私は兼ねてから彼女に高い関心を持っていた訳では無いので長々と語ることは出来ない。というのは趣向によるものもあるが、歌唱力を極端に重視する反面ダンスメンバーを評価しないスタンスを取ってきたためである。歌唱力を重視する思想に代わりはないが、その中でもダンスへの魅力も感じることが出来るようになったのは今回の大きな収穫の一つだった。松尾の動きに追従しようと他のメンバーも奮起する。という相乗効果もあったかもしれない。それにしても、新4期生の中で特段目立っていたとも言えない彼女が今回中心となってメンバーを引っ張っている姿に勇気を貰った。ここ一番で見られる彼女の爽やかな笑顔は多くの人の印象に残っていることだろう。あっさりしたスピーチも好印象だった。アンダーライブは時に戦いの場と表現されるが、そんな中でもそこ場所を楽しもうとするメンバーが多かったように感じる。これも彼女による功績の一つだろう。

矢久保美緒

シンプルに一番良かったと思う。中でもにDAY2は間違い無く矢久保の日であったと言い切れる。可愛らしいが決してそれだけではない深みを持つ彼女の歌声と『醜い私』の雰囲気はベストマッチだった。歌声だけではない。「感情的なパフォーマンスで…(という趣旨の内容)」と語っていた彼女だが、グループへの想いが強い彼女だからこそ持てる、アンダーライブに賭ける気持ち、気迫が感じられた。私が矢久保を推していたと言える時期はまだ無いが、加入当初より一貫して一目置いてきた。この5年間で着実に自身の魅力を磨いており、いよいよその時が来たかもしれない。少しでも早く彼女のアンダーセンターが見たい。彼女が中心となった際、これまでグループの多くの側面を見てきた彼女は、今のグループでどのような色を出そうとするのだろうか。

向井葉月

DAY1は葉月に持っていかれた。『Against』と『Under's Love』を背負う女、という点に尽きる。どちらもグループの歴史上重みのある楽曲だが、その重さに負けないどころか完全に自分のものに出来ていた。この2曲は私個人にとっても思い出がある。前者は私が乃木坂の原点としている生駒里奈のセンター楽曲である。後者はアンダー楽曲の中でもアンダーへの想いが強く込められている。思い返せば、30thアンダーライブで先輩和田まあやに対して人一倍強く感謝していた(はず)。その葉月が本気で作り上げたパフォーマンスに心が震えた。決して今回だけ頑張ったという話ではない。元々彼女のライブでの熱心なファンサービスには定評があるし、外仕事を含め日々の活動を必至に取り組んできた結果だと思う。未選抜で24歳となったがその前途はまだまだ明るく、我々にはそれを支える責務がある。同様にまずはアンダーセンターからだろう。

雑感

今回はダンスにも注目したと述べたが、小川彩佐藤楓の動きが特に良かった。特に小川は最年少という色眼鏡で見られることが多いが、そのようなバイアス抜きで見ても相当な表現力を示していたように思われる。近い将来グループの主軸を担うことになるだろう。佐藤楓はダンスに限らずすべての要素において高い水準だったのではないか。しかしアンダーセンターから選抜という絶好の臨戦過程で選抜に残れなかったのも事実である。ワンパンチ足りないということだろうが、私がこれ以上彼女に求めるものも無いだけに悩ましい。

全てにおいて高水準という点では奥田いろは中西アルノも同様である。奥田は今回ダンス主体のパフォーマンスにも挑戦し歌唱・ダンス両方への適性の高さを示した。小川と奥田はそれぞれ楽器にも挑戦しており忙しい中での一段の努力に感心した。中西はもう言うことの無い次元にいるが、先輩メンバーと絆を深められている様子が見られたのがまた良かった。奥田と共に、歌唱中心のライブでは一層輝くだろう。

そして、これまでに引き続き吉田綾乃クリスティーの活躍も目立った。後輩メンバーを引き立てる能力に長けながら自身の見せ場でも着実に結果を残しており、本当に最年長として理想的な存在であると再確認できた。

佐藤璃果については(私の意識によるところが大きいとは思うが)日を追う毎に存在感を増しているように感じた。特に3日目のプロデュースパートが決定的だった。中西と松尾の間というかなりタフな場面での起用となったが可愛らしさ全開のパフォーマンスでその不安を払拭した。自身の魅せ方を確立した瞬間だったのかもしれない。勿論パフォーマンス自体を素晴らしかったが、それ以上に周囲の人々に一定の安心感を与えられた点が大きかったと思う。DAY3は個人的にこれが大きかった。それだけで売れる程甘くは無いがまだ期待の余地はある。

セトリについては『狼に口笛を』×佐藤楓という鉄板構成を外して小川彩を起用した点がまず印象的だった。元々盛り上がる楽曲だがその中でも小川彩の強さを垣間見ることができた。同様に置きにいかなかったという点で評価したいのが最終の『左胸の勇気』である。乃木坂の詩と同じく1st収録のアンダー楽曲で、なおかつオーソドックスなコール曲であるため締めとしては最適解だと思う。どうにかアンダーライブでの定番にならないか。

プロデュースパートの内外を問わず、サイリウムカラーがセンターのカラーに統一される場面が多かった。それ自体に異議は全く無いが『届かなくたって…』については赤一色より様々な色が輝く方が美しいと思う。思い出補正もあるが、やはりオリメンとの差ということなのかこの楽曲に関しては29thのそれに中々及ばない…

まとめ

矢久保や佐藤璃果が衣装の作り込みに触れていたように、今回のライブは制作陣の尽力が随所に感じられた。それに当然メンバーの普段以上の努力もありかけがえのないライブとなった。プロデュースパートを中心に"個"のパフォーマンスに重きを置いているというのが第一印象だが、実際はそれぞれのパートを他のメンバーが支えより強いパフォーマンスを作り上げた"和"の側面も大きかったように思う。とにかく、俺はこの13人を誇らしげに思う〜

先日、林瑠奈の復帰が発表された。素直に嬉しいことである。林がアンダーセンターを努めた32ndでは歌唱主体の内容だった。34thの陣容についてはまだ何も分からないものの、次はこれが見たいという理想像の輪郭が少しずつ見えてきた。一緒に見たい夢がある。


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