(ダークファンタジー)奈落の王 その五 遭遇。出会いはいつも突然に
心臓が跳ねる。
そして鼻息も荒く。
口が自由であれば、荒々しい息をしていたであろう。
ロランは見た。
目玉が飛び出すほど目を見開いて。
飛び込んできたのは赤。それは命の色。
地面が赤い。
そしてその赤い雫は転々と森の下草に散らばり。
銀色の巨狼の残したものだと、推測する。
そして、その理由。
地面に一本の造りの見事な矢が刺さっている。
判ること。
それは数本の矢が放たれ、一本は外れて地面へ。
そして何本かは巨狼の体に突き刺さったのだろう。
数本の矢が命中したと見える。