本当の愛 【エッセイ】
昭和の時代。
当時、中学一年生で、テレビドラマを観ていた。
恋愛もので、あとははっきりしないが、内容の一部だけ衝撃的で覚えていることがある。
男が夜遅く、酔っ払って帰宅した。帰りを待っていた女は言った。
「何してたの? ずっと待っていたのに」
「うるせぇ。いちいち口出しするな」
「私、あなたを愛しているの」
しばらくの会話のあと、男は、「うっ」と言いながら、テーブルの上にゲロを吐いた。
「本当に俺のことを愛しているなら、これを喰ってみろ」
女は男を見て、ゲロをじっと見つめる