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短編小説(ショートショート)

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記事一覧

三行小説を三つ紹介します

その男は、すごく性欲が強かった。 透視能力を身に付けた。 EDになった。 もし、ピストルで脅されて、「キスさせろ」と迫られたら? その女性は、「舌を噛み切って死ぬ」と言った。 三年後、風俗嬢になっていた。 さぁ、仕事が終わった。 はよ(早く)、家帰って、 屁こいて、寝よ。

闇の力 (短編小説)

ある少女が幼い頃から、前世の記憶を持っていました。彼女の前世の記憶は、数世紀前の中世の村での暗い出来事に関連していました。 彼女の前世の村は、闇の呪いに苦しめられていました。村人たちは恐怖に取り憑かれ、夜になると見知らぬ存在の声が聞こえ、恐ろしい幻覚が現れるという現象が起きていました。彼らは呪いを解くために様々な試みを行いましたが、どれもうまくいきませんでした。 前世の記憶を持つ少女は、村の闇の呪いについての詳細を明らかにしていきます。彼女は村の住民たちと共に、闇の呪いの

惑星エクシリオン (短編小説)

エクシリオンは宇宙の彼方に存在する惑星で、その特異な環境から生命が進化した驚くべき場所です。この惑星は重力が逆転しており、地表から宇宙空間に向かって引力が働いています。したがって、エクシリオンの住人は地下に住み、逆さまの生活を送っています。彼らは頭から下を向いて歩き、食べ物や水を地下から引っ張り上げる必要があります。 時間の流れが逆転しているため、エクシリオンでは逆行時間と呼ばれる現象が起きます。逆行時間では、時間が後ろに進むほど物事は若返り、経験や知識も逆になります。人々

恋愛の反則 【短編小説】

テレフォンクラブ、通称テレクラをご存じだろうか? 昭和から平成にかけて、若者のあいだで密かにブームを起こしたもの。 電話を介して男女の会話を斡旋する店である。 男は、店で時間ごとの料金を払い、狭い個室の中で電話がかかってくるのを待つ。 女は、フリーダイヤルで電話をかける。番号を知るのは雑誌広告や配布されるティッシュ、看板などである。 男女の交渉次第では、連絡を取り合い、直接のデートも可能。 現在は、インターネットの一般化に伴い、出会い系サイトが普及したためにテレクラは衰退して

像と飛び降り

僕は、乗馬の体験はないけど、乗像はあります。 タイのチェンマイ観光ツアーで、像と散歩ができるのです。 像は手慣れており、乗り心地は良い。 背上にある木で出来た椅子に座る。 あとは、山道を一周するだけ。 ドキドキして楽しかった。 20年以上前の話であり、すっかり忘れていた。 それが突然、当時の乗像の夢を見た。 10階建て以上ある賃貸マンションの屋上で像に乗っている。 ぎりぎりの際に近づくと、下の方では観衆が居て大騒ぎしていた。 手を振っている。何を言っているのか聞こえない。

危険な車

車の助手席に乗っていると、信号待ちで停まった。 前は、白の軽自動車のワンボックスタイプ。 初心者マークと高齢者マークが同時に貼ってある。 自制作のステッカーもあった。 「しない・させない追い越し運転」 「断固反対!! あおり運転」 信号が青になって進むと、前の車は、 制限速度より遅く、のんびり走っている。 運転手は予定変更で、前の車と違う道路を選んだ。 これほど危険な車はない。

忘れないで 【恋愛小説】

夜中の大阪5号湾岸線を、セリカのアクセルで踏み込む。 助手席に女を乗せている。 最近、知り合い、遊ぶようになった。 少し窓を開けた。流れ込む風が心地良い。 この高速道路は、開通したばかり。 泉大津PAを過ぎると、左手に絶景が見え始める。 工業地帯のプラント群があり、SF世界のパノラマは続く。 誰もが近未来に移動している錯覚にとらわれる光景。 会話なしでも充分な、雰囲気。 今夜、決め込む予定。ここを選んだのは正解だった。 タイムマシンのように進んで行く。 ピロン、ピロンと警告

孤高の料理人 【短編小説】

人は、私のことを「孤高の料理人」と呼ぶ。 高い理想を持ち、超然とした佇まいで、店の者には厳しく指導している。 チーフであり、店全体を見渡す。 この店では、至高の料理を提供をするのが当然であり、お客様に最高のおもてなしをするための必然とした厳しさなのだ。 「孤高」は、孤独という意味もあり、一人浮いているのは自覚している。 いつか私の気持ちがわかってくれるだろうと期待しているが、その気配はあまり感じられない。 悩みの種だが、社長に信頼され、予約が困難なほど店は繁盛しているので、

尾行 【短編小説】

瑠衣は長い髪をなびかせながら、小走りをしている。 すばやく電柱の陰に隠れ、監視を続けた。 数メートル先には、男の子がいる。 気付かれてはいけない。 契約があり、探偵としてのプライドもある。 ターゲットが後ろを振り向き、わたしに近づいてきた。 「おばさん、何でボクを付けまわしてるの?」 バ、バレてる? はるきは、目の前まで来ると続ける。 「お母さんに頼まれたの? 大丈夫だよ。ちゃんと買い物するって」 ニコニコして無邪気にしているさまは、瑠衣の心を大いに搔き乱した。 「べ、別に

一匹のネズミ 【短編小説】

詳しくは言えませんが、私はネズミを捕獲して殺す仕事をしています。 捕獲する装置は、写真がそうです。 これでも引っ掛かります。設置後、一週間もすればね。 警戒心が強いネズミでも食べ物の誘惑には勝てないのでしょうね。 引っ掛かるのを発見すると、すぐに殺します。 専用のバケツに水を貯めて、檻ごと沈めれば、数分です。 可哀想なんて気持ちはありません。仕事ですから。 時間があるとき、観察をします。 一匹、一匹に個性があるのは、わかります。 捕まったあと、大きな声や小さい声、動き回っ

洋菓子屋の出歯亀さん 【短編小説】

僕は、洋菓子屋で働いています。 そこでは、池田さんという七十歳近い年配の人が居ました。 正社員でなく、パート扱いで忙しいときの短時間で週四日ほどの勤務です。 元パティシエ(洋菓子職人)で、体力的な問題はあっても技術力は高かった。明るい人で、何かしゃべれば、人を笑わせて慕われています。 みんなからは、「亀さん」と呼ばれていました。「出歯亀」さんとも。 出っ歯であり、いくつか歯は抜けていて訛りもあって、話すとき、多少聞き取りづらい面はありました。 余裕がある時間帯で、仕事をし

平和の象徴 ハト 【短編小説】

私(デトロ)は、日曜日の朝、散歩が日課となっている。 休日で朝ごはんを食べたあとの運動不足解消と気分転換です。 コースは、ランダムでそのときの気分で変えている。 今日は、走路周りとするか。 走路周りとは、某市役所の後ろに野球場、サッカー場、公園があり、野球場の周りに走路があり、散歩している人が多い場所の周回です。 歩いていると、遠くに二匹のハトが見えた。 アスファルトの地面の上で、しきりに「何か」を突いている。 近くにいけば、「何か」は、ゲロだった。 平和の象徴であるハトが

熊の撃退方法 【短編小説】

僕が、小学校6年生の夏休みのときのこと。 同級生のハマコーと、カブトムシを取り行くことになった。 ハマコーは転校生で以前は、山近くの家で住んでいて、その山ではたくさん取れるという。 電車から降りて、バスで向かい、山に入ったがなかなか見つからない。 奥に入って行く。木の周りを見ながら、カブトムシを探していた。 気が付くと、大きな熊が1匹、いるではないか! 熊もこちらを見た。僕らの存在に気付いたようだ。 山に詳しいハマコーに頼るしかない。 「死んだふりをする?」 「ダメだ。あ

夢の中の完全犯罪 【短編小説】

僕は、変な夢をよく見る。 変な夢といっても、人の見る夢は、ほとんどが遠い過去から最近までの記憶や想像、強い思いの断片の繋ぎ合わせであり、変なのは当然ではある。 変なのが普通であり、筋の通る話が変なのは、なんと奇妙なことだろう。 今回(も)、そんな変な夢の話である。 僕は、寝床に入りながら、小説のネタになる完全犯罪を思い付いた。 犯罪状況、アリバイを含め、完璧であり、警察にバレることはない。 よく思い付いたものだと自分を褒めてやり、ベッド前にあるノートにしっかりと書き込んだ。