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角由紀子の「ビゲローコンテストチャレンジ」その3

アメリカの大富豪ロバート・ビゲローが主催する死後の世界についての論文コンテストに私、角由紀子は経営戦略コンサルタントで地下クイズ王の鈴木貴博さんと組んでチャレンジしました。

全部で5章からなる死後の世界の存在証明論文。ここからは第三章です。この章の途中から有料コンテンツになっています。よろしくお願いします。

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3 死後の世界と超ひも理論、霊魂とダークマターとの対応

 霊魂は何で構成されていて、霊魂の世界はどこに存在するのか?
この問に答えるための手掛かりとして、これまでの章ではダークマターという物質の存在と、余剰次元という別世界の存在について説明してきた。
 いよいよこの章では、このダークマターと余剰次元が、霊魂とどう対応しているのか具体的に考察していくことにする。
 以下の3つの前提を置いてみよう。

●「余剰次元のpブレーン(以下、簡略化して余剰次元と表記する)=霊魂の世界」
● 「余剰次元の粒子(お互いに相互作用するタイプ)=ダークマターの構成要素のひとつ=霊魂の構成要素」
● 「上記粒子が分子のように結合したもの=霊魂や霊界」

 この前提が成立すると仮定した場合に、われわれが臨死体験などの死後の世界の研究を通じて知っている事実をもとに考察すると、この世界はどのような形になっているのか?それをこの章では順を追って考察していこう。
 この前提に従えば余剰次元に広がる霊魂はある程度の質量を持っているはずだ。質量ゼロの粒子は光のように一直線で宇宙の彼方に消えていく。ニュートリノのように軽すぎる粒子も同様に光速に近い速度で遠ざかる。一方で心霊研究によれば霊魂はわれわれの近くに存在してとどまっている。だとすればそれはある程度重い質量の粒子で構成されていなければならない。
 言い換えると霊魂の物理的な意味の運動量は地球の重力にとらわれるぐらいには小さいはずだ。ここがこの後、4章で提案する宇宙実験に関する重大な前提条件となる。
 次にここが面白いところだが、霊魂ないしはそれを構成する粒子は存在するブレーンが異なるためにわれわれの次元の粒子と相互作用できず、地球の重力に引き付けられると地表にぶつかるのではなくそのまま地球の内部をすり抜けることができる。
 正確にはu方向に少しだけずれているので地球内部をすり抜けるとは正しい表現ではないのだが、地球の座標で言うxyz軸だけで観察すれば、霊魂は地球内部の座標領域に自由に入り込むことができるのだ。
 この重力に囚われるが物質をすり抜けるというふたつの特性を前提に、ニュートンの物理法則から推論すれば、地球近辺の霊魂などのダークマターは地球を覆い地球内部を含む球状の領域に広がっていることになる。

図表_ページ_06

 図3-1は実は10次元の図だと捉えていただきたい。10次元すべてを移動できる重力子のような存在からはこの世界はこのように見えるという図だ。
 それぞれが異なるブレーンに閉じ込められているためにお互いを視ることができないわれわれの地球とダークマターは、その位置はu方向にわずかにずれているだけで、10次元空間の中ではほぼ同じ位置に存在している。あなたの指先のほんのわずかu方向にずれただけの位置にも何らかの物質が存在している。しかし3次元方向にしか移動できないあなたにはその物質は見えないし相互作用ができない。言い換えると触ることもできないのだ。
 同様の論理から太陽系内では霊魂を構成する粒子は太陽の周辺に一番数多くとらわれているだろう。その際さらに興味深いことに、霊魂はわれわれの次元の粒子と相互作用できないため太陽の中でも熱くない。
 この推論はある意味で興味深い。日本では一部の心理霊媒師が「太陽の中にたくさんの人が生きている」と主張している。一見、常識的な科学知識からはそんなことは不可能に思える。灼熱の太陽の中で生命が生きることなどできるわけがないと。
 しかし熱エネルギーは電磁力がなければ伝達されない。太陽光の放射エネルギーは光子、つまり電磁波が伝えるものであり、光子と相互作用しない粒子はそのエネルギー伝達をスルーしてしまう。また太陽のように熱いものに仮に触れたとしたらわれわれの肉体は溶けてしまうが、物質を通じて熱が伝わるのは熱伝導作用である。これは原子の周囲を覆う電子雲同士が相互作用で振動して熱を伝えるもので、電磁力と相互作用しない粒子には熱は伝導しない。
 つまり霊魂が電磁力とは相互作用しない粒子からできている以上、それは重力によって太陽に引き付けられるとともに、太陽の中でも太陽の灼熱のエネルギーで焼かれることなく存在できることになる。
 pブレーンにはわれわれの世界のパートナーブレーンという意味もあるとわれわれは思う。われわれのブレーンといろいろな意味で対になるブレーンだという考えだ。臨死体験の証言からは、われわれの肉体と対になる霊魂が存在しているだけでなく、さまざまな霊的な生態系や構造物がそこに存在しているようだ。
 そしてそこはこれまで見たこともないほどの光にあふれた世界だという。ただしそれは物理学的な意味での光、つまり電磁波ではないだろう。われわれの知らない未知の素粒子群がわれわれとはまったく異なる世界を形成している。
 この未知の素粒子だが、本当の意味での未知の素粒子群がpブレーンにあふれているのだとすれば、その性質は未知だとしか言いようがない。ただもしpブレーンの素粒子群が超対称性粒子だとすればその性質はある程度までは解明できるかもしれない。
 それらはわれわれの世界を形成する標準モデル粒子同様に種類も多く、臨死体験者が感じたようにわれわれの世界とは違う形で複雑な構造を作り上げているはずだ。
 つまるところ心霊研究の観点からも物理学の理論の観点からも、pブレーンは決して荒涼とした砂漠やガス星雲のような世界ではなく、われわれの地球同様に豊かな世界であるようだ。
 さて霊魂は、肉体が生きている間は通常の粒子で構成されるわれわれの肉体とシルバーコードで固く結合しているとわれわれ心霊研究家は信じている。肉体が死ぬとその結合が切れ、皮が剥がれるように霊魂は肉体から離れていく。

図表_ページ_07

 この肉体と霊魂の結合力の正体は何なのだろうか?われわれの物理学はこの世界に重力、電磁気力、強い力、弱い力の4つの力があることを解明している。
 われわれの肉体はわれわれが良く知っているわれわれの3次元空間にある。超ひも理論の用語でいえば3ブレーンに閉じ込められている。一方で霊魂はそこから余剰次元方向に少しだけ離れた別のpブレーン内に存在している。そのふたつのブレーンの間をつなぐことができる力は重力子のような輪ごむの形をしたひもから生成される素粒子か、ふたつのブレーンに両端のある未知の粒子だけだ。
 そうだとしても、われわれの肉体と霊魂の結合は重力によるものではないはずだ。なぜなら重力は弱すぎてすぐに結合が解けてしまうからである。そして当然のことながらわれわれのブレーンから外に出ることができない電磁気力や弱い力、強い力もその力の候補には入れない。
だとすれば論理的推論としては、この力の正体は物理学的にはまだ発見されていない未知の第五の力であるはずだ。
 ここで興味深い事実がある。近年、フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)のチームがミューオンが未知の五つめの力と相互作用していることを発見したという研究成果が発表されている。 ミューオンは素粒子の標準モデルの中では第二世代と呼ばれる粒子群のひとつで、質量が異なること以外は第一世代粒子である電子と物理的特性は同じである。
 ということはもしその五つめの力が存在するのであれば、それはミューオンだけではなく電子とも相互作用するだろうし、それを言い換えるとわれわれの肉体とも相互作用するだろうということだ。
 さて2章でブレーンワールドを説明した図では、ふたつのブレーンワールドをつなげるように両端がそれぞれ別のブレーンに囚われたひもが描かれている。ふたつのブレーンワールドをまたぐひももまた未知の素粒子である。
 このような粒子はわれわれの世界の粒子、すなわち原子と相互作用できる。なぜなら片端はわれわれの世界の中にあるのだ。かつ同じ推論からもうひとつのブレーンワールドの超対称性粒子とも相互作用できるだろう。
 だとすればふたつの異なるブレーンワールドの実体同士がこの新しい粒子によってひとつにつながることができる。5つめの力はこのような素粒子が媒介する比較的結合力のある未知の力だと想定するのがよさそうだ。

図表_ページ_08

 図3-3は心霊研究家が想像する霊魂の世界と、われわれが主張する霊魂ブレーンワールド仮説の図と対比させたものである。
 この図がわれわれの世界を表していると仮定すれば、この2つのブレーンをつなぎ5つめの力をもたらす素粒子Xの正体は、実は物理学者にもよくわからないだろう。その理由は2つのブレーンの間の張力がわれわれのブレーンとは異なるからだ。
 超ひも理論ではひもはその振動数以外に両端の張力でも物質としての性質を変える。そのため2つのブレーンがどれだけ離れていて、その間にどれだけの張力がかかるかが判明しない以上、この図に描かれた2つのブレーンをつなぐひもの正体はわからないとしか言いようがない。
 しかし、このひもがシルバーコードの役割を果たすとしたら心霊研究の事実からこの素粒子Xとそれが媒介する力の作用についてはある程度推察することができる。
 このことを臨死体験で説明しよう。われわれが死ぬときにまず、われわれは自分の死体を病室の真上から見ることを経験するようだ。これは死の際に素粒子Xの結合はまず図の左側、つまりわれわれのブレーンでの肉体と素粒子Xの結合箇所が切れることを意味している。
 左側の結合が切れた段階で霊魂は肉体との結合が切れる。しかし素粒子Xの左端はわれわれのブレーンとくっついて離れることができないため、霊魂はそのまま空中に上がり、上から肉体を見下ろす形になる。

図表3-4

 臨死体験の次の段階で、霊魂は急に違った世界へと移動する。それは最初は暗い場所で、つぎに水辺やお花畑やまばゆい光を見ることになるあの場所だ。この現象は図で霊魂と素粒子Xの右側の結合が外れることで説明できる。
 この結合が切れることで、霊魂はわれわれのブレーンから切り離される。ここにきてようやく、霊魂はそもそも存在していたpブレーンに完全に戻ることができるのだ。
 そして臨死体験からふたたびこの世界に戻ることができた者は、何らかのメカニズムで霊魂がふたたび素粒子Xの右端と結合し、次いで肉体と素粒子Xの左端も再結合できた者である。このことで霊魂はふたたび肉体と強く結合する。それが臨死体験からの蘇生体験ということになる。
 このように未知の素粒子Xが肉体と霊魂をくっつけるシルバーコードの役割を果たしているとすると、この素粒子Xの性質は以下のようにも推察できる。
 まず素粒子Xを通じてわれわれに働く力は仮に非常に強いとしてもわれわれには検知するのが難しいかもしれない。なぜなら力が働く方向がxyz方向ではなくu方向になるからだ。
 しかし我々の次元にその片端がくっついていることから高エネルギー領域では我々の世界の物質と何らかの反応の痕跡を残す可能性はある。Fermilabの実験結果はそのようなものだと考察すると、その仕組みの一端が解明できるのではないだろうか。
 一方で素粒子Xは5つめの力を通じて霊魂と肉体を結合するだけでなく脳内情報を霊魂に伝達する役割を果たしているとも考えられる。われわれの世界で光子と電子が物質を結合する役割を果たしているとともに情報伝達を担っているのと同じで、素粒子Xは肉体と霊魂の結合とともに情報伝達の役割を果たしているという考えである。
 ここでようやく、異なるブレーンに隔てられたわれわれの肉体とわれわれの霊魂は、強固にひとつの生命として結合され、同時に情報共有がなされるのだ。
 さて未知の素粒子Xがシルバーコードとして機能し、霊魂が肉体とつながっているといったん結論づけたうえで考察を進める。それでも霊魂にとってわれわれの世界を視る手段は必ずしもシルバーコードを通じたものだけではないかもしれない。
 というのは臨死体験でわれわれが体験することは、それだけでは説明がつかないのだ。臨死体験で脳が動作停止をしている時間に、霊魂が自分を上方から感知している。6そもそも人間の肉体は自分を手術室の上方向から見ることはできない。つまり霊魂も霊魂の視点からこの世界を独自に視ていると推測される。
 可能性としてはわれわれが電磁波(すなわち光)を検知して物体を見ているように、霊魂は重力波を検知して物体を見る能力を持っているのではないだろうか。
 前述したように重力子や重力波は隔離されたブレーン間を移動することができる。余剰次元に存在する霊魂がわれわれの次元に横たわる自分の体を見ることも、重力波を介して行うのであれば物理学的に矛盾はない。
 潜水艦が海中でソナーを頼りに地形や敵船の形を描いているように、そしてイルカやコウモリが超音波によって周囲の状況を把握しているように、霊魂は重力波の反射を頼りにわれわれの世界を視ているという考え方である。しかもその性能はイルカよりも高性能なはずだ。
 常識的な物理学の知識では重力は電磁波と比べて力が弱すぎるため、重力子が生む重力波も電波のように検知することは難しい。しかし余剰次元では重力が非常に強くなるという説もある。4別の考え方として余剰次元の未知の粒子はわれわれの知る粒子と違い、重力波と同調しやすい可能性もある。
 とにかく何かしらそのような機構があると想定しなければ、ほとんどすべての臨死体験で霊魂が肉体を上から眺めている理由が説明つかないではないか。
 次に霊魂の情報処理能力だが、霊魂は肉体の脳と同様に一定の情報処理能力を持っているはずだ。少なくとも霊魂には意識と感情と記憶の機能があり、お互いにコミュニケーションをする能力も保有しているはずだ。
 臨死体験で死後の世界に向かった霊魂が、父母や祖父母など近親者の霊魂と出会い感情を共有していること、そして前世の記憶を生まれ変わった後でも持ち続ける子どもたちが一定数存在することは、霊魂がこの世界の情報記憶能力を備えている証拠だ。
 霊魂同士の情報交換は、物理現象としては説明が簡単だ。それが意味することは霊魂は相互作用するダークマターから構成されているというだけのことである。弾丸銀河団の質量の大部分を構成する相互作用しないダークマターとは違うのだ。そもそも互いに相互作用できない粒子では霊魂のような高分子生命体を形作ることはできないから、この想定は妥当である。
 心理霊媒師が霊魂とコミュニケーションできる理由も霊魂同士と同様の原理かもしれない。心理霊媒師は脳ではなく、シルバーコードの先にある余剰次元の自分の霊魂を通じて死んだひとたちの霊魂と情報伝達ができていると仮定するわけだ。
 通常の人間とは違い心理霊媒師は自らの霊魂を感覚器官として使うことができていると仮定すれば(このメカニズムはまだ解明されていないわけだが)、そこでわかった情報をわれわれに伝えてくれることは物理学としては合理的に説明がつく。
 そしてこれは後で重要になる要素なのだが、死者が昆虫を通じて家族にその存在を知らせてくれる現象にも説明がつく。死んだ父のことを考えるたびに部屋の中に蝶が舞い込んでくるといった昆虫の使者の現象は、心霊研究でひんぱんに取り上げられる死者による情報伝達の事例である。
 死者の魂はわれわれを見ることはできても、残念ながらわれわれの世界を構成する素粒子とは相互作用ができない。そして霊魂の質量でこの世界の物体を動かすには重力の力はあまりに弱い。ダークマターには物理的にこの世界の物質を動かすことができないのだ。
 しかし死者の霊魂は昆虫の霊魂にはたらきかけることができる。もし人間の霊魂のほうが仮に昆虫の霊魂よりも上位機能を持っているとすれば、人間の霊魂が昆虫の霊魂をコントロールし、昆虫の意識を支配する能力を持っている可能性は論理的にはありうる。
 だから生きている家族に自分が近くにいることを伝えるために、死者の魂は昆虫を使いによこすのだ。
 実は著者のひとりは実際に、死んだ祖母がオニヤンマとして一年毎の命日に家の中に訪れてくれた経験がある。一年目はオニヤンマは田舎の実家の部屋の中に飛んできた。それは日本の田園地帯では珍しい現象とはいえ起こりうる話である。しかし二年目の夏、オニヤンマは東京・渋谷のオフィスビルの中に飛んできた。これはコンクリートで囲まれた巨大都市東京の中心部ではまず起きえない自然現象である。
 この章の最後にもう一度、霊魂の物理的な特徴を整理しておこう。
 肉体と霊魂は近接する別々のブレーンに閉じ込められている。その間の情報伝達ができるのは、重力子と、ふたつのブレーンの双方に両端があるゲージーノのような新粒子だけである。
 霊魂はそのどちらかないしは両方を用いて、この世界の情報をあの世に持っていくことができるようだ。
 ただし霊魂はこの世界に物理的な痕跡を残すことはできない。霊魂がこの世界に情報を伝えるためには、心理霊媒師の霊魂を通じるか、昆虫の霊魂を支配するか、そのような方法しかないというのがその特徴なのだ。

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