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子どもに寄り添う大人に必要な3つのこと

私は約3年に渡るシュタイナー治療教育士養成コースを受講しました。治療教育というのは、障がいや病気を持つ子どもを、教育的で治療的な方法で、発達を援助したり治療していくものです。ドイツでは治療教育士は国家資格として認められています。養成コースではヨーロッパ(主にドイツ)から経験豊富な先生方が来日され、様々な専門分野からご教授いただきました。

治療教育には大きく分けて3つのことがあると学びました。それは、①子どもに直接関わって行うこと ②子どもの家族(主に親)に関わって行うこと ③セラピスト自身が取り組むことです。この投稿では①と②は割愛して、③について書こうと思います。セラピスト自身が取り組むべき課題はたくさんありますが、今回は3つだけ選んでお伝えします。そして、セラピストの課題として学びましたが、これは子どもに寄り添うすべての大人に共通して言えることです。

子どもが学べるのは、大人が自己教育している時のみ。

「子どもが学べるのは、大人が自己教育している時のみ」。これは、シュタイナー治療教育を発展させたカール・ケーニッヒという小児科医の言葉です。つまり、子どもに接する大人が、成長しようとしている時こそ、子どもは成長できるということです。もちろん、病気や障がいについて学び続けていく姿勢も大切ですし、セラピストとしてのスキルを磨いていくことも大切です。そして、学ぼうとしている存在そのもが、子どもの成長を導いていくのです。

大人が、自分自身を知ること

また、子どもに寄り添う大人が自分自身を知るということも、とても大切なことです。自分自身を知ることによって、自分の物の見方の癖にも向き合います。自分の主観を捨てて、子どもを純粋に見つめること。つまり、色眼鏡をかけたままで子どもを観察しないことが、子どもの成長を支える上でとても重要なのです。また同時に、子どもを観察している自分自身の内面を内観するこも大切だと学びました。例えば、私はリラックスしているのか? 私の呼吸はどうなのか? 不愉快な気持ちがあるのか? といった様々な角度から内観するのです。子どもの成長のために、純粋に子どもをありのままに観察し受け入れるには、セラピスト自身が自分自身を知る努力が必要なのです。

人間としての理想像を持つこと

そしてどのような人間になりたいのか、自分の理想像を持つことも大切だと学びました。ありがたいことに、シュタイナー治療教育士コースで教壇に立たれた先生は人間的に本当に素晴らしい方ばかりでした。どの先生にも共通するのは「温かい雰囲気が漂っている」ということです。ひとつひとつの言葉、ひとつひとつの振る舞い、寛容なまなざし。でも、ちゃんと信頼できるような芯の強いところ。そして見つめられただけで安心できて、見つめられるだけで存在を認めてくれていると感じる。そのような先生方との出会いが、私に理想像をはっきりと示してくれました。セラピストとしての理想像ではなく、人間としての理想像です。その理想にむけて、私は日々手足を動かし、感情を豊かに、そしてちゃんと思考しながら、精進していくしかないのです。本当に気の長くなるような道のりです。

「成長しようとする大人の姿が、子どもの成長を促す」。「自分のことを知ることは子どもをありのままに見ることにつながる」「どのような人間になろうとするのか、どのような存在で子どもに働きかけるけるのかが、重要」。劣等感を持つような時も、失敗ばかりする時も、この言葉が、私を励ましてくれます。

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