あまんぐあすって難しいよねってお話

また結局たぬきがきっかけ

「Among usが無料セールやってるって」

私がいつも通りTwitterでくだを巻いていると、友人のたぬきがそんな事を言ってきた。それがつまりはきっかけである。

たぬきとの付き合いがいつからかは、正確には覚えていない。いつの間にか知り合いだった。私が人力botアカウントでとあるキャラのなりきりをしてた時から、という事だけはよく覚えている。
ただ、たぬきに子供ができた前後のツイートは見ていたので、赤さん暦で言えば紀元前一年頃からの付き合いであろう。子供なんて生まれそうにない世界観でどう出産を祝うか、けっこう悩んでたのはよく覚えている。
さて、このたぬきはよく趣味の沼に落ちるが人を沼に落とすのも上手い。前にもスマホゲームを勧められて酷い目にあった。まぁ少なくとも勧められたものに間違いはないし、私もひさびさの一人暮らしで暇を持て余していたのもある。

そんな訳で、仕事上がりにいそいそとアプリを落として、私も宇宙船クルーになる事にしたのである。

我が名はインポスターである。勝ちはまだない。

そんなAmongUsである。
要は人狼ゲームで、プレイヤーは宇宙船クルーになって人狼である所のインポスターから逃れつつ、また会議でクルーになり切るインポスターをあぶり出し、勝利を目指す。

のだがまぁ勝てない。未経験は私だけっぽいので仕方ないが、私が殺すと即座に発見され、私が殺されるとなかなか見つけてもらえない。
死体を見つけて貰えないと話にならないのだが、インポスターだって知恵がある。最初の方なんて目立つ場所で殺して貰えただけで「よっしゃ!」なんて叫んでいた。貢献の仕方が悲しすぎる。

そもそも、私は嘘が上手くない。緊張して声が震えたり挙動不審になるのである。「声が震えてるから」という理由でダマの大三元を見抜かれ、人生の一大チャンスを逃がす青春を送ってきた。そんな人生である。
それに宇宙船クルーを仕事にはしてないし殺人もまだやった事がない。誰の首を吊るか議論は……した事あるな。心理学部の授業で「十人乗りの救命ボートに十一人、誰を海に投げ捨てる?」という物だった。私は綺麗事ぶって自分が降りると答えた記憶があるが、これはつまり真剣に我が身になって考えてないだけである。『葉隠』には『毎日自分が死ぬ想像をしろ』と書いてあるが、これはちょうど逆である。結局こういう奴がいざ本番で半狂乱になってボートを転覆させるに違いない。

まぁそんな訳で勝てないのも道理というものだ。焦らずこれから殺人を重ねていけば良いと思っている。

ちなみにこのゲーム、多人数プレイが前提である。
その為前に知った時に自分でやるのは諦めていたのだが、友達は全員たぬきが用意してくれた。たぬきはよく沼に落ちるができた大人なので、人選についてはとても信用している。
そうして集まった集団には、『スネに傷持ちしかいないあまんぐあす』と名が付いた。なんでだよ。

ゆかいな殺人者たち

やまがたさんは単純にこのゲームが上手い。
初回で私を銃殺してからしれっと会議ボタンを押し、「あ、ごめん死体消しちゃった!」とのたまい私に洗礼を浴びせてくれた。しかもその回はそのまま逃げ切っていた。すげえ。彼はベントを使いこなし死角に詳しく、きっと何人か殺した経験があるとしたらこの人だと思っている。
あと何かスネに傷があるらしい。

たぬきは慎重派で、嘘をついているようでついていない。
配電盤付近で私を殺して、そのあと本当に配電盤前に立って作業するフリをして、帰りに私を踏み付けて去っていった。勿論会議で「配電盤をしていた」と答え、それは嘘という訳ではない。だから分かりにくいのである。
たぬきが私を吊ろうとしたら「無実の私を殺したその手で子供を抱けるのか」と言おうと思ってるけど、まだその機会はない。
あと何かスネに傷があるらしい。

最近加わったメルさんもかなり上手い人で、ごちゃキルを使いこなす匠だ。だけど最近ごちゃキルするとなんとなくメルさんかなという雰囲気が出来つつあるので、そろそろ私もごちゃキルデビューをして全ての罪をメルさんに押し付けて行きたいところだ。
ちなみにトライアスロンをやっているそうで心肺能力もかなり高く、スネに傷があるかは知らないが筋肉は詰まっているだろう。まさにインポスターにピッタリだ。
いや私だって学生の頃は筋トレしてたし。しないと単位が取れなかったから。元々もやしっ子である私はあの頃本気でドーピングを企てていた。
ご存知だろうか、筋肉は安く買えるのである。

他にも何名かの仲間とやっているが、特筆したいのはあやくんの事である。

あやくんに先を越される

あやくんはスネに傷があるらしい。
私とは元々付き合いがあったが、そのきっかけは私が当時付き合っていた相手の浮気が発覚した日である。
私が半べそでたぬきに泣きつくと、たぬきが「ピッタリの人がいる」と言ってどこからともなく連れてきて、初対面のあやくんの前で私は泥酔し愚痴りまくった。そんな仲である。何がピッタリだったのかは未だに分からない。

あやくんは人の心に入り込むのが上手いのか、すごく長い気合いではないはずなのにずっと知り合いだった気がしてしまう。初対面からずっとタメ口だし、そもそも初対面の私がいきなり泥酔してたりしたのでもう怖いものもない。というかよく付き合ってくれたものだ。
そんな彼もこのゲームの経験は浅いらしく、いつしか私は勝手にライバルだと思うようになった。

あやくんはフリーダムな人柄から単独行動をしがちで緊急タスクも基本的に無視するから、私がインポスターになった時は積極的にキルを狙ったし(全部結局バレたけど)、犯人が分からない時にはあやくんを吊っていけば少なくともあやくんに先にインポスター勝利を迎えられることはない。
そうした訳じゃないけどこっそりそうは思っていた。
先日などあと一人殺せば勝ちという現場をあやくんに見られてしまい、あやくんと「お前が殺したんだろ!」と言い合う場面があった。あれは個人的にはかなり熱い場面だった。
結局人気投票で負けて私が吊られてしまっのは悔しかったが、とても楽しかった。

しかし、とうとう前回あやくんの一人インポスター勝ちが決まってしまった。私には全然見抜けない華麗な勝利だったのがなお悔しい。
しかもその後、私が怪しい場面を目撃したのに上手く言えず、あやくん吊りを逃して負けてしまった。(その会議は二転三転した挙げく私が吊られた。たぬきめ)
あやくんときたら普段からフリーダムなので、単独行動をしても「いつもの話」で流されてしまい、あまり疑われないのだ。高度な偽装である。代わりにいつの間にか転がってる事も多いけど。
いや悔しかったし、ていうかここまで全部私の内心の話なのであやくんから見たら「なんだそりゃ」って話だが、ここは素直にあやくんの勝利を祝いたい。次は殺す。

そして今夜も新たな犠牲者が

そんなこんなで週に一回、今も殺し殺され吊り吊られ、すねんぐあす会は開催されている。次から新しいお肉が大量に入荷されるそうで、私もとても楽しみにしている。
ああ、次はインポスターで勝ちたい、というより華麗に殺し議論を引っ掻き回し、面白い勝負がしたいと思う。

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