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ドブス・フィクション

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哀を死る、全醜類に捧ぐ
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#前日談

Chapter 10 「眠れぬ哉、前夜」

2017年8月14日。 あの日、俺はナゴヤから見える、あの大きな煙突を夕暮れ時に眺めていた。ただただ、じっと電車を待ちながら、これから起こる惨事についての想いを馳せていた。 水族館までは電車で20分ほどだ。考える時間はまだ割とある。その間に俺はどうやってヤマネを調理するのかを考えなくちゃならなかった。 これからのことはきっとユウキ達がなんとかやってくれるだろうと、内心甘く考えてはいたが、正直、これまでの流れから言って俺には汚れ仕事を任せてくるんじゃないだろうか。と、そん

Chapter 11 「最後の儀式」

中へ入ると、ヤマネは首を縛られ、水族館の天井に吊り上げられていた。 痣だらけでダランとしたその体からは、静かに血が滴っていた。 なんて惨いことをする輩なんだ... そう思った。 こんな残酷なことをしておきながら、平気でヘラヘラと笑い抜かしている彼らの異常性に寒気がした。何がおかしいのか、俺には到底分からない。 「おい、ナガヤマ。どうした、さっきから黙りこくって、つまんねぇぞ。」 唐突にユウキが話しかけて来た。いつもは俺のことなど眼中にさえ無い癖して、こういう時だけ都