Chapter 1「地獄への環状線」
2019年 7月 11日。
モトヤはユウキを乗せ、車で名古屋から静岡まで、早朝の霧に包まれガランとした高速道路の上を、颯爽に走り抜けていた。
「いやぁ、こりゃすッげぇ霧だなぁ…」
「本当だ... モトヤ君、くれぐれも運転には気を付けてくれよ。」
「あぁ、そうだな…」
「アッ、そういえばさ、なぁ、ユウキ。今更だけどさ、なんで俺はお前をこんな田舎まで送ってかなきゃいけなかったんだっけな?」
「そんなことは言うまでもないことだよ。」
「はぁん?言うまでもねぇだって?