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オウルン戦記

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もう、時効でしょう…
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#日記

新5話 母なるぬくもり

S国 某喫茶店にて その喫茶店はパブのような空気を漂わせつつも、カフェのような上品さを持った店だった。 そこに座る二人の男。 ゴウ・ミツオとオイカワ・マサキである。 「なぁ、オイカワ。俺っていつまで生きると思う?」 コーヒーカップをスプーンでかき混ぜながら、ミツオの質問にオイカワは答えた。 「そんなことは分からないよ」 そう言って、ポーカーフェイスのままコーヒーをゴクリ。 すると、オイカワは顔を真っ青に染めて、突如苦しみ始めた。 「ぐぅうう……お前、何を入れたぁ!!

Episode.V 少年強行団

西暦1☓☓3年。 タカイド国 タカイド軍 K研究所内にて。 男 「へへ、あの、まずこの縄を解いてくれません?それからいくらでも話をしてあげますよ。ね?どうです?」 シッバー 「うるせぇ、ばか。解くわけねぇだろ」 そう言って、シッバーは男の肩を撃った。 男 「あぁあああはっああ!!ああああ!」 ミッツバーン 「おいおいおい、いい加減にしておけよ。我々はこの男に死なれては困るんだからな、本当に。 なぁ、ペッグ教授?」 男 「ふふふふ、その名はとっくに捨てた名です。二度

Episode.IV コールド・ファイター

西暦1☓☓3年。 タカイド国 タカイド軍 K研究所内にて。 ゴウ・ミッツバーンは部隊の仲間達を引き連れ、化学研究室No.9の前に立っていた。 研究室のドアは木製で、先ほどの銃撃による影響か、半分は吹き飛ばされており、半開きになっていた。 しかし、室内は真っ暗で、漆黒のインクの底のような暗闇が広がっていた。 「おい、シッバー。ライトを照らせ!」 そう、ミッツバーンが言うと、 「へいへい。わかりやっしゃー」 と言って、シッバーは猫背姿で背中を搔きむしりながら手に持った大きなライ

Episode.Ⅲ 南部前線、異常あり

西暦1☓☓3年 秋。 タカイド国 タクトーパ州にて。 ミッツバーン率いる第666部隊はタカイド軍 K研究所への潜入作戦を試みようとしていた。 「よしっ、皆いいか。先日のシコマンダーの戦いにより、階級特進したばかりのミッツバーン中尉殿から今日の作戦の説明がある。一回しか言わないだろうからよく聞いとけよ」 シッバーは大きな声で部隊の皆に呼び掛けた。 「では、皆さんよろしいか?中尉のミッツバーンだ。よろしく頼む。計画がこんな夜分のものとなってしまい申し訳ない。奇襲作戦と銘打っ

Episode.Ⅱ モダンの焼け跡

西暦1☓☓3年 夏。  ベンジャミン・シッバーは先週空爆により焼き払われたグッシオ庭園の片付け作業に追われていた。 そこで、シッバーは偶然焼け跡から、大判サイズのとある活動写真のポスターを見つけた。 「おいおいおい、これ見ろよぉ! これ俺が小学生の頃大好きだった写真のポスターじゃねぇか!!! 焼けてもまだ残ってたんだぁ… んまぁ、東のあいつらも燃やしちゃいけねぇもんは案外分かってんだな!! ハハハハハハッ!!!」 と、シッバーは一人で喜び、久しぶりに声を上げて笑った。

Episode.Ⅰ その名の運命

西暦1☓☓4年 S国 帝都バックレー。 シュミッター官邸内にて。 二人の軍人が廊下を歩いている。 「ゴホゴホ」 「おやおや、ウイリアムズ大佐。今日は大丈夫ですかね?」 「フッ… キアームよ。私だってそこまで歳ではない。風邪くらいで休んでいたら、まともな戦略など立てられんよ」 「まぁ、そうですな。シュミッター元首の病状に比べたら、我々の健康問題など些細なものでしょう」 「ゴホ、グフッ… まあ、それよりも会議室へ急ぐぞ。我々が遅刻などして、我が軍の貴重な英雄の名誉に傷などつけて