Re:タバコ

人生とは無駄の連続のようなものだ。
無駄な時間を惰性に過ごして、無駄な情報を見て横流しにするだけの夜。
明日は自分の為に生きようなんて言ってたのがこのザマ。
無駄な夜に無駄な事をしてすこし有意義な煙を吸う。
それで自分のために生きていると言えるんだから人間はバカだ。

今日職場に最後の挨拶をしに行ってきた。
月曜日の憂鬱とした朝の朝礼の空気感が嫌いだ。
そこで新入社員が退職の挨拶をするのだから余計に憂鬱だ。
僕が事務所から出る頃には皆は何かが終わったような、でも1週間は始まったような、漠然とした何かに囚われた表情をしていた。
それが喜怒哀楽の何かは、まだ頭の悪い僕にはわからなかったが、無駄な事では無いということだけは分かった。

事務所を出て逃げるようにバイクに跨り、会社を後にした自分の心はもう何も思っていなかった。
会社の人への罪悪感も、自分の漠然とした希死念慮も、これからの事への楽しみも、帰ってから食べる朝ごはんの事も何も、何も思っていなかった。
そこには無が広がり続けているだけであった。
家に帰って何をするでもなく、テレビをつける。
何も興味のない講義の音声を垂れ流しにする。
光で起きる為に開けていたカーテンを閉め、間から差し込むほんの少しの光芒だけが自分を照らしている。
タバコに火をつける。
最初の一口を多めに吸って自分だけの世界に入る。
音楽でもない、オナニーでもない、食事でもない。
今の僕にはタバコだけが時間をゆっくりと進めてくれる。
頭の中は何も無い。空洞。
そして僕はこう言う。
「まずいな」って。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?