タバコ

僕はタバコが嫌いだ。
あの匂いが無理だ。部屋にこもった匂い、喫煙者の口臭、吸った後の服の残り香。
全てにおいて嫌いだ。
なぜ僕はそんなにタバコが嫌いになったのだろう。
僕は小さい頃喘息を患っていた。
タバコの煙は喘息の天敵であり、僕の天敵だった。
だが父、父方の祖父、母方の祖父、揃って全員喫煙者だった。
中でも父方の祖父が僕は嫌いだ。
話していると長くなるから理由は割愛するが取り敢えず大嫌いだ。
そんな父方の祖父が1番のヘビースモーカーだった。
朝起きて廊下に出ると、ベランダの入口でタバコを吸っている。
外に出て吸えばいいものをベランダの入口で吸っているものだから外からの風で全部廊下に流れていく。
僕の目覚めは最悪なものに変わった。
同じような事が一日中、一年中、半永久的に続いている。
嫌いな人が吸っている嫌いなタバコを1番匂いたくない時間に嗅いでしまう。
それが余計に僕のタバコ嫌いを加速させて行った。
だから嫌いな人が吸っているものだからタバコの匂いが嫌いなのかもしれない。
もしかするといい匂いだと思えるタバコの銘柄があるのかもしれない。
もしかすると好きな人が吸っていれば好きになるのかもしれない。
だがそれを考えただけであの匂いを思い出す。
幼少期から蓄積された嫌な思いではそうそう変わるものでは無いだろう。
一人暮らしを始めたら1本だけ吸ってみようか。
もしかすると美味しいかもしれない。
そして僕はこういうのだろう。
「まずいな」って。

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