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2023-10-07 ぶどう園さん、1年ありがとう🍇

子供の小学校への奉仕活動(窓拭きとか)を終えてから、大迫(おおはさま)へ向かいました。目的は、いつものぶどう園さんでぶどうを購入するためです。

朝9時半ころにぶどう園に到着。今日はお父さんがお一人で店番でした。

『今日で最後なんだよ』

ほとんどたたき売りの値段で並んでいます。

いつもながら丁寧な説明と、良いものから勧めてくれて、ちょっと奮発して4パック買わせてもらいました。

しばし他愛もない話をします。『トマトもよぉ、高ぇよなぁ』『お値打ち品しか買えないですね』なんて。

話が切れて、間が空いてからポツリ。

『秋が来る前に冬が来るなぁ』

ぶどう畑を見つめて、話の潮目が変わった気がしました。

夏は酷暑、9月になり長雨。ぶどうは急に水を吸って割れてしまう。そしてこの低温。季節が季節らしくないのだと、語ります。

獣害も。今年はシカが多い。『あそこのぶどうは、ひと山やられた』。一度エサ場を覚えれば、また来る。国道の方まで出没している。それだけ個体数が増え、山に食べ物がないということ。頭がいいのか罠にもかからないのだと。

助成金を得て電気柵の設置も増えてきている、しかし専業農家さんでこの出費(金額を伺いました)は厳しい。

夜は見回りはやめた。過去最多を記録しているクマの出没と人への被害が、すぐそこまで来ているから。

そして、後継者の問題。

お父さんの心の吐露が、晩秋の暗い風のように体を冷やしました。(これって危機だよな)

『おめぇさん見でるだけで、こっちが寒ぐなるなワハハ』

(気温12℃、Tシャツだったので)

『ま、もし、また来年もやってたら、よろしく』

お父さんがこっちを見て、笑顔で語ってくれたました。

問題が、広く、深い。

きっとぶどう園だけじゃない深刻な問題を、目の当たりにしました。

自分にできることはなんだろう。心が迷いました。

このお父さんや、亡くなられたお婆さんのブドウが良い、ここじゃなきゃ買わない。そういうお客さんとも交流が持てました。

そして、ブドウを通してたくさんの『美味しいね』笑顔を見ることができました。

私はブドウは一粒つまんで終わり、あとは楽しそうな人達を眺めているのがなにより楽しい。

そんな回顧が稲妻のように頭を巡り。

来年も楽しみだけど寂しいと感じるのは、たくさん教えてくれた眼の前のどこか寂しそうで嬉しそうなお父さんの心の揺らぎを感じたから。

何か応えなきゃと気が焦りました。なにも効果が無いかもしれないけど。

きっと束の間だったけど、時間の長さを感じた私がやっと言えたことは、

『今年もたくさん、ありがとうございました』

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