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Mtg Modern Kuldotha Red調整記録(2023/3/4 プレイヤーズコンベンション横浜モダンオープン)

0.背景

2023/3/4に行われたプレイヤーズコンベンション横浜モダンオープンに向けてカルドーサレッドの調整を行った。振り返りの為に調整記録を残す。
尚、カルドーサレッドの使用は何か勝算があったわけではなく、単に10年来のお気に入りデッキをアップデートして何処まで現環境で通用するかの腕試しの意味合いが強かったので、読まれる方はその前提をご承知置き頂きたい。

1.結果・結論

プレイヤーズコンベンション横浜モダンオープン
4-3(3敗でドロップ)
R1 BR想起 P 1-2
R2 《不屈の独創力》コンボ D 2-1
R3 BR想起 D 2-0
R4 カスケードクラッシュ D 2-1
R5 グリクシスシャドウ P 1-2
R6 感染 P 2-0
R7 ドメインzoo P 1-2
詳細 https://twitter.com/44te4kabane/status/1631821826899976192

参考:MOモダンリーグ6回 15-15

使用デッキ:カルドーサレッド

メイン
サイド

【雑感】
・トップメタとも渡り合える地力はあり、カジュアルに遊ぶ分には十分な強さ。上振れればトーナメントでもある程度勝ち得る。ただ、安定して勝とうと思うともう一つブレイクスルーが必要。
・どうしても《激情》と(カスケードクラッシュの《衝撃の足音》トークンや《ウルザの物語》トークン対策に色々なデッキのサイドに積まれている)《仕組まれた爆薬》が辛く、付き合い方を考える必要がある。

天敵

・《激情》《仕組まれた爆薬》以外には回れば勝ち/回らなければ負けの展開となり、根幹の安定性の補強が入れば今後躍進の可能性あり。
・実際、勝ったゲームも負けたゲームも1枚or1マナor1ターン差なことが多く、一段安定すれば勝率はかなり向上すると考えられる。

2.前提:カルドーサレッドの基本コンセプト

横並べ+全体強化により速やかに20点削り切ることに特化したデッキである。基本的なゲームプランは、
・t1〜t2:《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》等により、速やかに3~5体のクリーチャーを並べる。
・t2~t4:《ゴブリンの奇襲隊》《無謀な奇襲隊》のような全体強化で10点+10点を叩き込む。
である。

デッキの根幹

残りの枠は土地と、上記の基本プランのために必要なシナジーパーツや上記キーカードを引けなかった時のため代替パーツで構成される。
すなわち、
・t1~t2に《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》をプレイするためのアーティファクト→《メムナイト》《ミシュラのガラクタ》《彩色の星》など

ゴブリンの素

・《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》に追加で高マナ効率で横展開できるクリーチャー→《メムナイト》《炎樹続の使者》など(《無謀な奇襲隊》の怒濤の”タネ”を兼ねる)

追加の鉄砲玉

・《ゴブリンの奇襲隊》《無謀な奇襲隊》の追加のフィニッシュカード→《アタルカの命令》《信号の邪魔者》《ゴブリンの手投げ弾》《爆片破》など

押し込み要員

これらの要素のバランスをとってデッキに仕立てる必要がある。
このデッキの強みは、横並びによる3~4ターンキルが成立するので、
・単品除去による妨害の影響を受けにくく、仮に1ターン除去でしのがれても盤面に残ったクリーチャーによって攻めを継続できる
・キルターンが遅いコンボデッキに対して一方的に殴り勝てる
ことである。逆に弱みは、
・かみ合いの要素が多く安定性に欠ける(《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》+タネになるアーティファクト+フィニッシュ手段1~2+土地2~3が求められる)
・《激情》《仕組まれた爆薬》のような軽い全体除去に脆弱
となる。
また、強みであるキルターンの速さも、このデッキを使い始めた10年ほど前に比べてモダン環境が高速化したことで「1ターン躓いたら追いつかれる」程度の肌感覚になっている。

3.環境認識・カルドーサレッドの立ち位置

現在のモダンのメタゲームの認識は下記。
()内はカルドーサレッドのメイン/サイドの相性の認識。5段階評価で数値が高いほど有利。但し、サイド後の相性はカルドーサレッド側が大きく戦略を変えなかった場合を想定。
◾️Tier1
・URマークタイド(4/2)
・《不屈の独創力》コンボ(5/4)
・カスケードクラッシュ(2/1)
・BR想起(1/1)
◾️Tier2
・ジェスカイブリーチ(4/3)
・《死せる生》コンボ(1/1)
・アミュレットタイタン(4/4)
・ハンマータイム(4/3)
・LO(3/2)

・メインから《激情》の入っているカスケードクラッシュとBR想起、3ターン目に必ず全除去を打ってくる《死せる生》コンボは絶望的な相性差。
・URマークタイドとジェスカイブリーチはメインは回れば十分押し切れるが、サイド後《仕組まれた爆薬》《激情》《兄弟仲の終焉》が入る為五分〜不利に遷移。

・《不屈の独創力》コンボは妨害の薄い4ターンコンボであり、もし《残虐の執政官》が着地しても返しに十分殴り切れるので大幅に有利。但し、《火+氷》やこちらのマナトラブル等で《残虐の執政官》のアタックが間に合うと追いつけなくなるので油断は禁物。

・アミュレットタイタンは基本的に干渉のない4ターンコンボなので有利だが、《樹上の草食獣》スタートのパターンや《マイコシンスの庭》で《精力の護符》をコピーされる展開だと相手の方が早いこともある。

・ハンマータイムは《影槍》付きの攻撃がどれだけ通るかが鍵。3ターンキルムーブをすれば基本的には相手は追いつけない。また、《上機嫌の解体》でアーティファクトを対処できるのも大きい。
・LOは基本的にはスピード勝負だが、デッキが軽すぎるので《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》で大体負ける。サイド後は《墓所への乱入》もキラーカードになる。専用サイドの《引き裂かれし永劫、エムラクール》を取れているかどうか次第で勝率が大きく異なる。

3月上旬時点では《不屈の独創力》コンボが流行しており追い風状態だが、トップメタに絶望的な相性差のデッキもあり勝敗はマッチアップに大きく左右される。
一方、その他のデッキや《激情》を引かれない展開ではキルスピードの優位性があり、結局回るか回らないか、自分のデッキの安定性が勝率のベースになる。

上記内容をまとめると下表になる。

4.構築の狙い→評価

想定したゲームプランと、その実現の為のカード採択及びその考え方を記載する。
◾️メインボードのゲームプラン
・考え方:「安定した」3ターンキルを目指す
・理由:
環境のゲームスピードは続唱系デッキの3ターン目、《不屈の独創力》コンボの4ターン目で定義されている為、安定的に3ターンキルを狙える構成であれば速度だけで殆どのデッキと互角以上に渡り合えると判断した。

◾️サイド後のゲームプラン
・考え方:基本はメインボードと同じだが、横並びによる3ターンキルを防ぐ手段を持っているデッキに対しては個別のサイドカード・プランを用意する。
・理由:
殆どのデッキに対してはキルターンの優位性はサイド後も変わらない為大きくプランは変えないが、大きなリスクなく3ターンキルを防いでくるデッキに対してはメインプランでは勝ちきれないので個別に手当する。具体的には《激情》や《仕組まれた爆薬》が入るURマークタイド・カスケードクラッシュ・BR想起と、《死せる生》コンボが対象。

◾️メインボードの構成・カード採択及びその狙い

①0マナアーティファクト
・4《メムナイト》
・4《ミシュラのガラクタ》
・3《モックス・アンバー》

0マナファクト三銃士

1ターン目に《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》をプレイする為、また2ターン目に《無謀な奇襲隊》を怒濤プレイする為に、最低10枚の0マナアーティファクトが必要と判断。(1マナのアーティファクトをタネにゴブリントークンを出すのはテンポが悪く、「安定的な3ターンキル」に寄与しない判断。)
但し、カードプールが広いモダンと言えども0マナのアーティファクトは基本的にはカード一枚分の仕事をしない為、他の枠との兼ね合いを加味した選定が必要。

《メムナイト》:上記の役割を果たしながら自分自身も頭数として打点に貢献する為4枚固定。

《ミシュラのガラクタ》:引きが偏って上記の役割が必要ない時でも、タイムラグはあるもののカード1枚と交換できるという、0マナアーティファクトとしては破格の価値がある為4枚採用。また、このカードを強く使う為にフェッチランドも多めに採用(後述)。

《モックス・アンバー》:単品では何もしないが、《敏捷なこそ泥、ラガバン》(後述)と組み合わさることにより上振れが大きいことが特徴、他の0マナアーティファクトよりは勝利貢献度が高いと判断し採用。トークン呪文2種に加えて《敏捷なこそ泥、ラガバン》を採用することで許容可能なレベルまで腐るリスクを低減。

→評価:◎
《メムナイト》《ミシュラのガラクタ》は期待通りに機能。《モックス・アンバー》もトップしてきた時だけ弱いものの、殆ど腐ることはないばかりか、《敏捷なこそ泥、ラガバン》との組み合わせで1〜2ターン目のブン周りルートが増え、勝利貢献度が非常に高かった。今後採用可能レベルの赤1マナの伝説クリーチャーが増えれば、マナベースとしての信頼性も期待できる可能性あり。

②トークン呪文
・4《上機嫌の解体》
・3《カルドーサの再誕》

まさかONEで追加パーツ来るとは思ってなかった

デッキのキーパーツ。但し、どうしても噛み合いが求められるため安定性に悪影響が出ること、複数枚引いた時に過剰であったり《仕組まれた爆薬》のようなカードへの耐性が下がることからフル投入ではなく7枚に。《精力の護符》や《影槍》を破壊する展開も見据えて《上機嫌の解体》を優先。

→評価:○
1枚は安定して撃つことができた。複数枚重ね引きした際、2枚目まで撃てることが多いが3枚目は殆んど撃てない。8枚目だった枠に代わりに入れたカードを引いた際、《カルドーサの再誕》だったら良かったか?と言うとそう言うわけでもなかった為、少なくとも8枚マストではないと感じた。ただ試行回数があまり多くないので、調整継続する内に8枚に戻ったり6枚に減ったりする可能性は大いにあり。

③その他の横並び要員
・4《信号の邪魔者》
・3《敏捷なこそ泥、ラガバン》
・1《軍勢の忠節者》
・4《炎樹族の使者》

個性が出る枠

比較的フリーなスロット。単純な横並び打点要員ではなく、なんらかの個別の役割か、又は他の役割の補助・補強枠として明確な意思を持って採択・枚数を決める必要がある。

《信号の邪魔者》:トークン呪文の追加の"タネ"、追加の全体強化、《炎樹族の使者》や《激戦の戦域》などの非赤マナの使い道 の役割を持つ。特に生き残った場合の打点の伸びが凄まじく、除去の薄いマッチアップでは決め手になりうる。逆に除去の多い相手にはほとんど生き残らない。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》:言わずと知れたモダンを代表するクリーチャー。《モックス・アンバー》の有効化、宝物生成能力によるマナの安定・トークン呪文のタネの供給、継戦能力の強化 の役割を持つ。《信号の邪魔者》と同じく生き残って殴れた時のバリューが凄まじいが、基本的にこのカードに対処できないデッキは今のモダンに存在しない。どうせ除去されるので《モックス・アンバー》はさっさとトークンに変えるのが吉。重ね引いた時に動きが鈍ること、《モックス・アンバー》との組み合わせはトークン呪文と合わせて10枚あれば十分という判断から3枚採用。

《軍勢の忠節者》:メインボードで唯一"「安定した」3ターンキル"に直接寄与しない枠。全体除去以外にこのデッキが苦手とするトークン戦略や同サイズのブロッカーとの殴り合いに対して劇的に効く為、2/75枚の採用が妥当と判断、サイドとの兼ね合いからメインボードに1枚採用。フィニッシュターンに《衝撃の足音》や《ウルザの物語》トークン、《歴戦の紅蓮術士》や絆魂クリーチャーを突破してダメージを叩き込む等、このカードでしかできない役割が多い。トップメタでは特にカスケードクラッシュとハンマータイムに有効。

《炎樹族の使者》:トークン呪文2種の次に理不尽な展開力を持つクリーチャー。トークン呪文が引けていなくても、(t1)1マナ生物→(t2)《炎樹族の使者》+1マナ生物+《信号の邪魔者》→(t3)全体強化 という流れでも十分な打点を出すことができる。また、《無謀な奇襲隊》との相性の良さが抜群で《炎樹族の使者》を重ね引いた際の爆発力が凄まじい。CMCが2なので、サイド後の《仕組まれた爆薬》《虚空の杯》x=1に引っかからないのも優秀。ただし、案外緑マナの使い道が少なく、展開順を間違えると《灰色熊》になってしまうことに注意。逆に言うと、緑マナの強い使い道を用意することがこのカードを強く使うコツである。

実は《灰色熊》で出してそのまま殴りきることも結構ある

→評価:○
特に不満はない。《軍勢の忠節者》は不要なマッチアップでも一枚であれば引いても展開を阻害せず邪魔には感じなかった。《信号の邪魔者》《敏捷なこそ泥、ラガバン》は基本的に生き残らないので強さを感じにくいが、生き残った時の強さはデッキ1。《炎樹族の使者》自体には不満はないが、このカードを強く使えるベスト構成はまだ検討の余地がある印象。
個別のカードに全く不満はないが、別のアプローチ・コンセプトを採用するときに抜けるのはこの枠なので、今後の獲得パーツ次第では変更は十分あり得る。

④全体強化
・4《ゴブリンの奇襲隊》
・4《無謀な奇襲隊》
・2《アタルカの命令》

全員スタンでも使ってた

デッキのキーパーツその2。ゲーム中、3ターン目までに確実に1枚、できれば2枚引きたく、3枚目は引きたくない為合計10枚採用。《ゴブリンの手投げ弾》も考えたが最終ターン以外カードでない為キープ基準になりにくく、またダメージ効率も基本的には全体強化の方が優れているため不採用。

《ゴブリンの奇襲隊》:最も癖がない一枚。前準備もいらず自分自身が頭数にもなるため2ターン目に適当にブチ込むのに最適。全体強化が手札でダブついている場合は最悪1/1として展開しても良い。弱点は、1マナなので《仕組まれた爆薬》《虚空の杯》x=1に引っかかりやすいこと、RR要求なので赤の出ない土地の採用がしにくくなること。

《無謀な奇襲隊》:強く使うためには怒濤コストで唱える必要があり、若干のかみ合いを要求されるカード。0マナアーティファクト×11、《炎樹族の使者》×4あるので初手にあれば困ることはないが、後引きした際にプレイできないことがたまにある。このカードをドローする可能性を考えて展開順を決める必要がある。デッキ内唯一の3マナなのでマナコストを参照する除去類(《仕組まれた爆薬》《致命的な一押し》《危難の道》)に引っかかりにくいのも地味ながら利点。また、《炎樹族の使者》との組み合わせはこのデッキ最高の動きの一つ。

《アタルカの命令》:全体強化の追加枠。これ自身は頭数にならないものの、撃ったターンの打点は奇襲隊2種以上。デッキ唯一の直接火力なのでライフを3点以下にすれば盤面抑えられても勝ち筋が消えないのも利点。奇襲隊と違いタフネスも上がるので防御的に使うこともできる。到達付与は使わないようで、ごくごく稀に《濁浪の執政》をチャンプブロックして返しに殴りきることがあるので一応覚えておくべき。また、《頭蓋割り》モードは相手のデッキによっては積極的に狙うので、これも頭の片隅に置いておくと吉。上陸モードは使ったことが無い。多分覚えておかなくても問題ない(一応、3ターン目に全体強化+《激戦の戦域》で打点ジャンプ 等はありうるが…)。
速攻付与が無い点で奇襲隊に一段劣るが、モダンの全体強化スペルでこれ以上に強いカードが存在しない。

→評価:○
10枚は引かないこともなく、過剰に引くこともなく、適正と感じた。カードパワー的に《アタルカの命令》は別カードにしてもいいが、全体強化にするのであればこのバランスがいいと思われる。

⑤土地
・2《山》
・2《踏み鳴らされる地》
・1《蒸気孔》
・4《乾燥台地》
・4《樹木茂る山麓》
・3《血染めのぬかるみ》
・1《エンバレス城》
・1《反逆のるつぼ、霜剣山》
・1《灼陽大峡谷》
・1《激戦の戦域》

このデッキの土地への要求は簡単に言うと、
・1ランドストップは基本的に許容不可(2ターン目に赤2マナ必要)
・2ターン目までに土地を4枚以上引くとフラッド
・3枚目の土地はあれば嬉しいがなくても許容
である。
即ち、2ターン目までに赤マナが出る土地が2or3引く必要がある。(軽いデッキなので1ランドでも動けると思いがちだが1ランドストップ=行動回数半分なので絶対に勝てない。1ランドキープする場合は根拠と覚悟が必要。)

また、デッキの強度的に1マリガンまでなら十分許容できる。
加えて、《ミシュラのガラクタ》《モックス・アンバー》の存在により、若干ではあるがマナが確保できるルートがあることが留意事項。

上記を踏まえて簡易計算すると、先手時に2ターン目=上から8枚中の赤マナの期待値は、
・赤マナ源18枚:2.4枚
・赤マナ源19枚:2.53枚
・赤マナ源20枚:2.67枚
となり、期待値が2.5に近い方が当然2〜3枚引く確率が高い為、19枚が妥当となる。
分布計算をするとそれでも2〜3枚の土地を確保できる確率は大体60%だが、1マリガン許容すると約84%で必要数の土地を確保可能な計算になる。
ここに対して《ミシュラのガラクタ》《モックス・アンバー》によるマナ・カード供給があり得るのでバリューランドを入れることでマナフラに対して(若干だが)耐性を付ける方針で検討した。

但し、これはあくまで簡易計算であるし、マリガン判断は土地だけではなく、また当然ながら8枚目をマリガンチェック時に確認できるわけではないので、あくまでこの数値を叩き台に調整をした。

《山》:ダメージを抑えたい展開や《廃墟の地》等を考慮して基本《山》は最低2枚必要。

この《山》が使いたくて赤いデッキを使っている

《踏み鳴らされる地》:《アタルカの命令》を2ターン目に撃つ為フェッチランドと合わせて緑マナを13枚確保。因みに緑マナは《炎樹族の使者》からも供給可能なので、マナベースの観点ではサブカラーは緑が適している。山タイプを持つことに対して意味がないなら、一枚は《銅線の地溝》でも可。

《蒸気孔》:メインボードでは特に意味はない。サイドに採用しているトライオームと基本土地タイプが被らない必要がある。詳細はサイドボードの項を参照。

《乾燥台地》《樹木茂る山麓》《血染めのぬかるみ》:補色へのアクセスの為に10枚以上の採用が必要。また、《ミシュラのガラクタ》との相性から、非フェッチランドと1:1に近い比率で採用するのが望ましい。赤絡みかつ、サイドボードのトライオームにアクセスできる必要あり、詳細はサイドボード項参照。

《エンバレス城》:マナフラ受けのバリューランドその①。全体強化の能力がデッキに噛み合っており、最後の一押しが欲しいが土地を引き過ぎてしまった時の受けとして採用。他の土地と違い唯一タップインのリスクあり。また、土地構成への制約が生じる。

《反逆のるつぼ、霜剣山》:マナフラ受けのバリューランドその②。トークンばら撒きはデッキに噛み合っており、《敏捷なこそ泥、ラガバン》でのコスト軽減も期待して採用。今後伝説のクリーチャーの採用種類が増えれば強さが増す可能性あるが、伝説なので複数枚採用はリスクも高い。

《灼陽大峡谷》:マナフラ受けのバリューランドその③。能力はデッキに噛み合っているわけではないが、軽く起動できリスクも少ない。因みに白マナが出る必要は特にないので《焦熱島嶼域》でも良い。サイドの補色に青や白のカードを使うならそちらに合わせるべし。一応、ラガバンの能力で相手のカードを使うことがあるので《蒸気孔》と色をバラけさせたが特にそれが生きる場面は今後もなさそう。

《激戦の戦域》:マナフラ受けのバリューランドその④……ではあるが、赤マナが出ない為マナベースとしての期待値はほぼ0。たまにマナとして使えたらラッキーくらいの気持ちで、基本的にはスペル枠で繰り返し使える全体強化としての運用。相手が明らかにカウンター構えている時や、消耗戦後1/1が数体残っている時、マリガンによりカードが足りない時にアクションを埋める役割を期待して採用。起動が軽く全体強化としての効率も良い。コントロール奪取能力は一見デメリットだが、そもそもマナベースとして数えていないこと、相手に殴らせることでブロッカーを擬似的に排除できることから殆ど気にならない。

→評価:△
已むを得ない事かもしれないが、ここまでやっても1ランドストップで負けることが多く、マナベースに関しては根本的な課題を感じた。赤マナ19は間違いでは無かったと思うが、マナフラ対策の土地はどれも効果が限定的で、「無いよりはマシ」程度でマナフラを解消するレベルではなかった。個別評価は下記。

《エンバレス城》:×
強い展開や引きたい展開も0では無かったが、3マナ起動が重く期待できない為プランにもならず、また土地の組み合わせや1ランドキープの際にタップインする事で事故の要因にすらなった。メリットがないわけではないが、デメリットと天秤にかけるとこの構成では不採用の方が良かった。

《反逆のるむぼ、霜剣山》:△
足を引っ張ることはないが、4マナで1/1を2体出すことのゲームへの影響度がそもそも低く、そこまでの価値を感じなかった。2マナくらいで撃てるなら流石に強いので、今後伝説クリーチャーを追加採用した場合は活躍が期待できる。

《灼陽大峡谷》:○
起動が軽いのでアクションしながらドローを進めることができ、使用感良かった。

《激戦の戦域》:◎
引いて強い、または引きたい状況が多く、うまくアクションが取れないターンの潤滑油として機能した。ただ、マナベースへの負担を考えると枚数は1枚が妥当と感じた。

◾️サイドボードの構成・カード採択

サイド

・1《軍勢の忠節者》
メインボードの該当項参照。2/75枚の採用が必要と考えた為サイドボードに1枚配置。
→評価:○
ハンマータイムやカスケードクラッシュに最終ターンダメージを通す為にほぼ必須の為、2/75枚の採用は妥当と感じた。

・2《トーモッドの墓所》
墓地対策兼サイド後入れ替わる0マナアーティファクトの代用。URマークタイドの昂揚と《濁浪の執政》、LOの《墓所への乱入》対策。主に《モックス・アンバー》と入れ替わり、墓地対策として使う必要がなさそうであればゴブリンのタネになる。
→評価:×
墓地対策としてあまりにも中途半端。墓地対策をしたくてサイドインしているのに使う必要がなさそうなら〜は理屈が通らない。特にURマークタイドは墓地追放一回くらいな余裕で乗り越えてくるのであまり意味がない。(LOには効かないが)《虚空の力線》レベルのハード墓地対策にすべきだった。(幸い本戦では墓地対策が必要なデッキには当たらなかった)。

・4《虚空の杯》
続唱(カスケードクラッシュ・《死せる生》コンボ)対策。0マナ設置なので自分の展開を阻害せず、重なったらゴブリンのタネにできる(メインボードの動きと同じことができる)。自分の0マナアーティファクトが置けなくなるデメリットはあるが、後引きの場合以外は《虚空の杯》より先にプレイすれば良いだけなのでほぼ問題にならない。レアケースだが、UR果敢相手には決死の覚悟でx=1でプレイすることもある。
→評価:○
メインプランを阻害せず相手にクリティカルに刺さる為非常に有効だった。但し、《活性の力》《力線の束縛》など、このカードに対処できる手段は相手にもあるので、相手に対処を要求している間に素早く勝ち切る必要あり。また、x=0の場合自分の効果で重ね貼りできないので、もし良いカードがあればもう一種続唱対策枠を散らすと効果的。

・4《タルモゴイフ》
・3《縄張り持ちのカヴー》
・1《インダサのトライオーム》
メインプラン(横並び+全体強化で3ターンキル)で勝てない相手にプラン変更する為の枠。
BR想起・カスケードクラッシュ・URマークタイドを始めとする《激情》《仕組まれた爆薬》デッキに対してはメインプランに寄せすぎることが敗着になる為、サイドボード後に別軸としてシンプルにデカいクリーチャーで殴るプランを採用。
入れ替えは《上機嫌の解体》×3/《軍勢の忠節者》×1/《モックス・アンバー》×2/《ゴブリンの奇襲隊》×2/《敏捷なこそ泥、ラガバン》×1/《激戦の戦域》×1 の中から、他のサイドイン候補との兼ね合いで決定する。

メインボードで派手に3キルムーブをカマせば相手は2ゲーム目以降《激情》《仕組まれた爆薬》をマリガンしてでも探すので、そこに漬け込む形で大型クリーチャーでの殴り切りを狙う。《激情》や《仕組まれた爆薬》がないようであれば残したメインプラン要素で押し込む。
当然噛み合いを求められるが、相手にも噛み合いを要求することができるので、メインプラン一辺倒に比較して揺さぶりをかけることを期待してこのプランを採択した。

不倶戴天の仇敵

《タルモゴイフ》は特別なことをしなくても土地・クリーチャー・アーティファクトが墓地に落ち、《カルドーサの再誕》があればソーサリーもカウントできる為4/5が標準サイズになり、《激情》を避けられる。

《縄張り持ちのカヴー》はフェッチランドで《インダサのトライオーム》と《蒸気孔》を持って来られるので、フェッチランドを2枚引き込む必要はあるが2ターン目に4/4〜5/5は容易。《激情》を避ける為にも可能な限り5/5でプレイする。
《インダサのトライオーム》は緑を含み、赤を含まないトライオームであれば問題ない。但し、メインボードに採用するフェッチランド・ショックランドとセットなので変更時は注意。

《インダサのトライオーム》→《蒸気孔》《乾燥台地》《血染めのぬかるみ》《樹木茂る山麓》
《ゼイゴスのトライオーム》→《聖なる鋳造所》《血染めのぬかるみ》《沸騰する小湖》《樹木茂る山麓》
《スパーラの本部》→《血の墓所》《沸騰する小湖》《乾燥台地》《樹木茂る山麓》
サイド後に補色として緑以外の3色目を採用する場合はその色によって組み合わせを決めるとよい。

今回《インダサのトライオーム》にしたのはフルFoilで組んでいる関係上《沸騰する小湖》Foilに手が出なかった為

→評価:○?
基本的にはうまく機能したが、功罪あり、他にもっと良いプランやカード選択が有れば変更して良い。このプランがベストとは考えない。

ポジティブ評価
・狙い通り、《激情》や火力除去に対して強く殴り切れる展開多数。特に《縄張り持ちのカヴー》のルーティングで2枚目の《タルモゴイフ》や《縄張り持ちのカヴー》を探す動きが強力。
・相当不利だと考えていたBR想起はそもそもマリガンが多いデッキであり、最初の《激情》を切らせてしまえば《タルモゴイフ》《縄張り持ちのカヴー》への対処が出来ないことが多い。

ネガティブ評価
・サイド枠を8枚潰してしまう為、他の雑多なデッキに対してのガードが落ちる。具体的には、墓地対策・置物対策・LO対策が今回十分取れなかった。(そもそも勝てないマッチアップに勝とうとしているので仕方ないが)
・火力除去には強いが、白と黒の除去(《虹色の終焉》《力線の束縛》《致命的な一押し》《終止》など)に弱い。対処札を引かれる前にさっさと殴り切る必要がある。

・こちらのキルターンが遅くなるので、相手のゲームプランに多少付き合う必要がある。《タルモゴイフ》《縄張り持ちのカヴー》を定着させるだけでなく、相手の勝ち筋を止めないと勝ちきれない。
カスケードクラッシュ相手には、確かに《激情》だけで負けることは無くなるが、結局《衝撃の足音》トークン2体を突破できない。《虚空の杯》や《軍勢の忠節者》で相手の《衝撃の足音》を無力化する必要がある。
URマークタイドに対しては、こちらのクリーチャーよりも《濁浪の執政》が大きく、盤面が止まってしまう。また、《邪悪な熱気》を引き込まれると突破されてしまう。墓地対策によって《濁浪の執政》を出させたない・昂揚達成させないことが必要となる。

以上から、サイド8枚消費しているにも関わらずそれだけでプランが完結しない。プランとしては成立しているが、苦手な相手に無理に勝とうとする歪さが出てしまっている。

5.総評・振り返り

結局のところ、
・デッキの素の安定性をどうやって上げるか
・《激情》《仕組まれた爆薬》とどう付き合うか
の2点につきる。
今回のプランは満点回答では無かったが、それなりにうまく回ったと評価して良いと思う。デッキの根本的な安定性の補強ができれば頭ひとつ飛び抜けるポテンシャルはあると感じた。 

なんだかんだトップメタに5〜6割勝ててはおり、また、どうやらモダンオープンでカルドーサレッドを使っていた方がもう1人いて勝ち越されたそうなので、デッキの基礎力は決して低くないと考えられる。

今後のデッキの拡張性としては、
・伝説に寄せて《モックス・アンバー》を強く使う
・アーティファクトに寄せてアーティファクトランドの強みを活かす
等が考えられる。回した感想としては、《モックス・アンバー》+《敏捷なこそ泥、ラガバン》の動きがかなり強く、0マナアーティファクト+《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》、《炎樹族の使者》+《無謀な奇襲隊》と並ぶデッキの強ムーブになり得ると感じたので、新セットで赤1マナの優秀な伝説クリーチャーが登場しないか注視していきたい。

ベストムーブ

この記事を読んで何か質問やご意見、感想・コメント等あれば是非お願いします。
そして、モダンカルドーサレッドに興味持った人がいて同好の士が1人でも増えたら嬉しいです。

以上

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