感じた日米の理学療法の違い

私はアメリカで臨床経験はしていませんので正しいとは言い切れませんがこの2年間で感じた違いをシェアしたいと思います。

①ダイレクトアクセス

アメリカでは医師を介さずに、患者さんが理学療法士のいるクリニックに直接やってきます(医師からの紹介もあります)。そのため、目の前の患者さんが理学療法の対象となるのか否かを判断する必要があります。Differential Diagnosis (鑑別診断)能力を求められた気がします。自分に病理学の知識が欠如していただけかもしれませんが、免許試験でもこの項目でとても苦労しました。

腰痛における鑑別診断、椎間関節由来なのか、内臓由来なのか、脊髄由来なのか、神経根由来なのか、患者の症状から推測する過程は非常に興味深いものでした。それと同時に自分の無知さに気付かされました。

②社会的認知度の違い

日本にいた時は理学療法士と言っても「マッサージ師?」「なんの仕事?」など理学療法士がどんな仕事をしているのか認知されていない印象でしたが、アメリカでは理学療法の勉強をしていると伝えると、「理学療法士になるの大変だよね、いい仕事だよね。」や「腰を診てくれ、足首を捻挫したからチェックしてくれ。」など理学療法士がどんな仕事をしているのかイメージできている様子でした。

大学の教授いわく、世間一般的に理学療法士の認知度はまだまだ低く、認知度向上のために努力が必要だと述べていましたが、私自身は少なくとも日本よりは認知されている印象を持ちました。

③男女比率の違い

日本では男性の理学療法士数の方が女性の理学療法士数よりも多いですが、アメリカではその逆で女性の方が多かった気がします。女性の教授も非常に多かったです。ワシントン大学の理学療法学部の教授はほとんど女性だったように感じます。各国の社会的背景の違いでしょうか。友人たちに聞くと、シンガポール、インド、イラク、サウジアラビアでも女性セラピストの方が多く、中国では日本と同じように男性セラピストの方が多いみたいです。国によって違いがあるとは面白いですね。

④教育課程の違い

日本で理学療法士になるには専門学校か大学を卒業することで国家試験の受験資格を得られるので3年~4年の期間を要します。一方アメリカは大学卒業後に大学院 Doctor of Physical Therapy (3年~3年半)に進学し、理学療法学を学びます。合計で7年近くかかるみたいですね。長いですね。週2~3日間、朝の8時から夕方5時までの授業+週2~3日間の臨床実習って感じのサイクルで回っていました。DPTの学生に話を聞いたら忙しいって言ってました。遊ぶ暇がないよーって。こんな生活を約3年半、めっちゃ大変ですね。脱帽です。

⑤保険診療の単位請求の違い

日本ではリハビリ1単位20分として、疾患により保険点数が異なっていると思います。アメリカの場合は、急性期病院、リハビリテーション病院、外来クリニック、ナーシングホーム(日本でいう介護老人施設のような?)でそれぞれ保険請求方法が変わっています(訪問リハビリもありますが仕組みは把握していません)。転職すると保険診療の仕組みを覚えなおすのが大変だと言っておりました。

外来のクリニックの単位請求は複雑で、時間で単位数は決まりますが、提供した理学療法の内容で保険請求の値段が異なります。より技術が必要な治療内容には高い点数がつけられているようです。つまり同じ単位数でも保険請求額は変わります。計算が大変そう。患者さんにとってはありがたい仕組みかもしれませんね。金額は高いですが、、、

最近では請求する金額を固定して理学療法を提供するクリニックもあるみたいです。保険外サービスというものに当たるのでしょうか?よくわかりませんが、どちらにせよ選ばれるための努力が必要になりますね。


以上が私の感じた日米の違いでした。あくまで私の印象です。

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