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創作綺譚

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天地をつなぐ龍の一族、地・水・風・火の精霊たち、賢い白き一角獣、人間と同じ背格好のドワーフやエルフの種族……。科学と技術が極まりし今も、この地球に息づいているかもしれない、超越的…
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記事一覧

綺譚 草花を刈る銀剣と、それを操る男神の心

ノヅチオカミと呼ばれた男性神は、七色に光る銀製の剣を持ち、野山を駆け巡った。 剣を鞘から…

綺譚 空飛ぶイルカ漁と女漁師

この世界のこの時代、漁ほどに興奮し、意欲をかき立てる仕事はなかった。 漁といっても、海の…

綺譚 眷属たる狼が継ぐ、失われた山神の伝説

日本の大都市・東京の西部には、奥深い森林地帯がある。 林業が盛んなこの土地で、現代の狼伝…

綺譚 獣たちが備える「永遠の命」とは

この世界の、この時代の、この国。科学技術の進展と産業社会化が進んだ結果、山間地域はほんの…

綺譚 フェアリーと共に、サイバースペースの闇を射貫く男

精霊たちの活動の場は、魔法が飛び交うようなファンタジックな世界とは限らない。 現代のテク…

綺譚 毛むくじゃらのユニコーンが語る「極意」とは?

ユニコーンと言っても、多数の人(存在)がいる。 個性溢れるユニコーンたち。 毛深いユニコ…

綺譚 一本牙の獅子と共に歩む女

名はジンと言っていたはずだ。 衣子(よりこ)が小さい頃、よく夢に出てきた頭の良い獅子である。 口元から、大きな一本牙を右側に生やしている。 左側の牙は、途中で折れている。 昔、ひどい闘いをして、その時に折れてしまったのだという。 ジンがいる世界は、今は平和だが、その平和は獅子たちの闘いによって保たれてきたのだという。 小さい衣子は「要するにおまわりさんみたいなものかな」と夢の中でジンに聞いた。 ジンは「外から来る侵入者を排除するという意味では正しい」と応えた。 「で

綺譚 森の泉の守護者

街から2時間ほど歩いた先。 その森の中には、泉がある。 その泉のそばには、屈強な男がひとり…

綺譚 風の精霊が、戦っている相手

風の存在が、運んでくるものがある。 「風のうわさ」などと言うが、情報を運んでくるのは、「…

綺譚 地底世界の住人たちが創造するもの

地底世界。 この世界の真実を知っている人間は、ほとんどいない。 そこには、数えきれないほ…

綺譚 獅子の一族

神獣、幻獣としてしばしば崇められる、獅子の一族。 獅子と言っても、人間が自然界で目にする…

綺譚 雷がもたらすものと、雷の不満

この国で、最も有名な西の古都。 古都の西に位置する、小高い山。 この山に古くから住まう雷…

綺譚 水の女王の、時を超えた出会い

死を迎えた人間は、どうなるのだろうか。 銀河系の端っこにある、この地球に生まれ落ちた人間…

綺譚 森への訪問者

木の精霊たちとしては、今回はまたとないチャンスだった。 どうやら、精霊たちのことが認識できるらしい人間を見つけたのだ。 年齢は10代後半とおぼしき娘である。 森の精霊たちの本拠であるこの森に、たびたび花を摘みにやってくる。 空には機械仕掛けの鳥が飛び、人間は薄くて小さな板を後生大事に持ち歩く時代である。 精霊たちの姿を認識し、言葉を正しく受け取れる力を持った人間は、かつてないほどに減っている。 そんな折に、期待の人材が現れたのだ。 ■ 精霊は、彼女に見えるように姿