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「phantasm」感想記事

はじめに

※記事内にphantasmの楽曲内容・フィジカルの中身等について記載があるのでまだ届いていない・開けていない、欲しいけど現在手に入ってない方はご注意ください。前情報を入れてからより初見で一つ一つの要素を自分で気づくとより素敵なアルバムに感じると思います。それでは書いていきます。

phantasm

 アルバムタイトルを冠した曲であり、このアルバムの顔とも呼べる楽曲。曲調はアルバム全体のなかでも特に落ち着いていて、yosumiの"ボーカルの美しさ"の部分がより際立って感じられた。歌詞の「例えば~するけど。」の箇所で何かが起動する音(?)とザラついた音になる部分ではカセットテープの再生を聴いているような感触があり、記録された過去の思い出を幻想のように繰り返しているのだろうか。思い浮かぶ情景は夏の海と眩しい笑顔の少女。ジャケットや歌詞カードのintroductionも併せて効いてくるまさに表題曲といった感じだ。

gloomy(feat.yaca)

 直訳で「陰鬱」。歌詞もうまくいかない人生の様々への鬱屈とした言葉が並んでいくが、トラックの展開の気持ちよさとyacaの楽器のような気持ちよさのあるラップがスルスルと入ってきて聴き心地の良い曲になっている。ボーカルパートはケロケロした加工があり平坦で機械的な音質にも聞こえるが「特別になりたい」「特別はいらない」などの非常に人間的な想いが歌われていて、そのギャップが面白く感じた。昨今の情勢もあり、やり切れない気持ちを抱えがちだった部分もあるがその補正を抜きにしても喰らうリリック、ラスト30秒の怒涛の展開は初めて聴いたときかなりの衝撃だった。
 GeneZの曲と言えば?と聞かれたら真っ先に思い浮かぶ印象的な1曲。

dawn

 夜明けという意味のタイトルに似合った爽やかな曲調から入り、気持ちよく聴いているとビルドアップからのヴェーヴェー音(呼称がわからない)で毎回かならず笑ってしまう音のキモさが最高の曲。初聴のときカラオケルームで大音量で響かせていたのだが、ボーカルの清涼感とのあまりのギャップに笑いながら崩れ落ちたのを覚えている。歌詞をyosumi本人が書いていることもあり、彼女のこれまでの楽曲や彼女そのものを思わせるワードが散りばめられている。言葉一つ一つを歌詞カードを眺めながら聴いていくとまた新たな良さがみえてくる曲だ。
 余談だが、gaburyu氏に怖いことがおきて消えたという歌詞の1節がどんなものだったのか。とても気になる。

seek

 初のオリジナル楽曲ということでかなり彼女の印象と強く結びついている。「夜の隅」「濃藍」「夢」「思い出す」などのフレーズはふとしたときに彼女を思い浮かばせるもので、今の彼女へのイメージのスタンダードがここにある。swimとの繋がりを感じるつくりでまさに「gaburyuの楽曲」といった感じ。この曲に強くハマり何回も聴きこんだからこそ「条理加速の片隅、彼女と想像の中身に関する考察」の発表時はかなり興奮した。
 現時点のyosumiの楽曲のなかで特にフィジカル化を強く待ち望んでいた曲なので、手元に作品としておいておけることが嬉しい。

tele

 イントロの長く伸びる音が印象的に始まる1曲。yosumiの関わる曲の特徴とも言えるのがイントロですぐに気づける曲が多いという点だ。先日、とあるイベントでこの曲がかけられたのだが、リリースしてあまり時間が経っていないにも関わらずイントロからすぐに曲に気づいている人が見られ、改めてその特異性を感じさせられた。楽曲の内容は時間、空間の広がりを感じるフレーズに強いキックや歪んだ音など様々な要素が盛り込まれていて不思議な魅力を持っている。
 また、FANBOXの限定アーカイブにこの曲のレコーディングの模様が残されていて、そちらと合わせて楽しんでみるのもよし。それ以外にもふとした素敵な言葉を綴る更新があるので加入は割とおススメ。

フィジカルとして魅力

 各曲の感想はある程度述べることができたので次はフィジカルとしての良さを挙げていきたい。

 まずはジャケット。なんだその素敵な笑顔は。屍としてダウナーな印象だった彼女が生き生きと陽射しの元でこちらを振り返っている姿に、ありもしない夏の思い出が幻想として蘇るような感覚がある。リリースのタイミングが秋だったこともあるが、「思い出としての夏」が感じられ、いつでも夏の情景が浮かぶジャケットとなっている。ディスクにも同じイラストがあしらわれており、こちらは2色の独特な模様と相まってツギハギ感にyosumiらしさが出ている

 次に歌詞カード。個人的にフィジカルとしてCDが欲しくなる理由の大きな部分にこの歌詞カードがある。耳でしか捉えてなかった曲を目で改めて追いながら聴いたり言葉の意味や繋がりを反芻することができ、曲への愛と理解が深まるのだ。以前にリリースがあって聴き込んでる曲でも歌詞カードがあるとまた違って聴こえるのが面白い。
 このEPを手にしてしばらくしてから気付いたのだが、歌詞の面を手前に後ろから光で透かすとジャケットのデザインと水滴のデザインが合わさるようになっていて物として持つ喜びを改めて感じられる素晴らしいつくりになっていた。最高。

 最後に帯とその裏面。これは言葉にはとても表せない。見た人がその時感じた感情がそれぞれの正解なので。私は一度見て小さく唸った後暫く見れなかった。

終わりに

 以上でphantasmの感想記事を終わります。拙い感想をここまで読んでいただきありがとうございました。皆さんが感じたものや作り手の意図と私が読み取ったなにかに違いはあるかもしれませんがそれはまた一つの解釈ということでご勘弁ください。書ききれてない魅力も多々ありますが、1つ言えることは今年手に入れることができて間違いなく1番よかった大好きな音源です。これからもyosumiさんのさらなる活躍を心待ちにしています。

おまけ

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会場に飾っていたポスター。めちゃめちゃ素敵で喰らったのに当の本人がキャスの時丸めて遊んでたのでキレかけました。マジで大事にしてください。お願いします。

おまけ2

本日6/3よりiTunesやSpotifyをはじめ各ストリーミングサービスにてphantasmが配信開始となりました!ここまで読んだのに肝心のフィジカルどこにも売ってねぇじゃん!となっている方は是非普段お使いのストリーミングサービスで聴いてみてくださいね。

…あらためて過去の自分の記事読むと気持ちと勢いだけで書ききっているのでめちゃんこ恥ずかしいです。あのポスターは今も無事であることを祈っています。マジで大事にしろ。

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