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Love Flash Fever / Blankey Jet City

BLANKEY JET CITYのサブスク解禁されて大分たっているが
以来の私はその空白の時間を埋めるかのように
貪り聴き込んでいる。
我が青春時代をど真ん中に突き刺していたバンドであり
有り体に言うと「今聴いてもやっぱカッコいいなぁ」なのである。
で、今回レビューしてみようと思ったのは
サブスク解禁されることで
今までBLANKEY JET CITYを聴いた事ない、
特に若い世代の方々に何かの因果でこれを読んで
聴いてみる一助になったらいいなぁ
なんて思ったりしたから。
いやほんとカッケーんだわ。

Love Flash Fever / Blankey Jet City

バンドの概要はウィキなりで見てもろて
https://ja.wikipedia.org/wiki/BLANKEY_JET_CITY

浅井健一(Vo/Gu 通称「ベンジー」)、照井利幸(Ba)、中村達也(Ds)
の3人によるスリーピースのロックバンドとして最高峰としても名高い。
浅井健一(通称〝ベンジー〟)の少年性を残した歌唱と
彼らが言うところの不良=アウトローからみた
この世界に対するメッセージといった歌詞の
独自の世界感が特徴。
といったところでしょうか。

今回紹介したいアルバム
「Love Flash Fever」は6枚目のアルバム。
決して聴き易いアルバムではないんだけど
それでもオススメしたい、愛して止まないのは
アルバム全体の世界観が美しい。
ブランキーはアルバムを通して観賞して欲しいバンド。
よく自分達のアルバムを「サウンドトラック」としているが
このアルバムは良く当てはまる。

アルバム評の前に一曲。

リードシングル「ガソリンの揺れ方」のカップリングの隠れた名曲。
ここで歌われる「嫌われ者」=アウトローであり
今回のアルバムの主人公のような印象。
流れる世界をどこか冷めた目線でいる彼(?)の
ハートにヒビが入るほど綺麗な海を探しに行く物語。
「Love Flash Fever」はそんな映画みたいなアルバム。

では各曲へ。

1. 「プラネタリウム」

イントロのザクザクしたベンジーのギターのカッティングとリフがメチャカッコいい。
ハッパをキメながらプラネタリウム観賞する主人公の登場で物語は始まる。

2. 「PUDDING」 

これぞブランキーといったスリリングなハイテンポ曲。
ブルーのジェット機に乗って35000のビルディングに爆弾を落とす夢を見たいという破壊衝動、
でも落としたところで「全てはガラクタだってよ」という無情感。
ベビーシッターの彼女とのロマンスも夢見るという
ロマンチックさ。
かなり情報過多なベンジーの想像力豊かな曲。

3. 「MICKEY DUCK」 

際どいタイトルw
グランジっぽいリフが印象的。
歌詞は結構不可解なんだが…
「オレのアヒルを殺さないで」と繰り返す主人公と
「ミッキーマウスのような笑顔であなたを愛し続けるわ」と言うもう一人?
恐らく「オレのアヒル」=自分らしさで
それを押さえつけた事でようやく愛されるようになった、
という感じかと。

4. 「皆殺しのトランペット」 

ブランキー史上、上位の問題曲w
大半をベンジーの名古屋弁語りが占める曲。
動物園にて檻も無いのに逃げない一羽の白頭鷲に対する人間のエゴと無力感。
悲しいほどに青空。

5. 「感情」 

ブランキー史上、上位に暗い曲w
マイナー調のコード進行に
「涙が流れるはずはない」とリフレインされる。
恐らく、前曲の流れで「悲しんでいても…」とニヒルに呟いても、
やっぱり悲しくなっちゃう人間味を描いているのでは?
アウトロのギターソロとドラムフレーズがジャズっぽくて渋い。

6. 「SPAGHETTI HAIR」 

マイナー調が続いてから一転。
ごキゲンなリフとアップテンポなリズムが印象的なナンバー。
当時、ベンジーは「環境に良くないからシャンプーはつかわない」って言ってたので
それについての曲かとw
最終的には「Lets get to hair salon」とオチがつくw

7. 「CANDY STORE」 

ブルージーなリフがイカすが
かなり不穏な雰囲気の曲。
バックのコーラスが怖い。
「最後の夜」が示す「最後」とは。

8. 「ガソリンの揺れ方」 

本アルバムのリードシングルであり代表曲の一。
アコースティックなイントロ〜リフが印象的。
個人的にはベンジーのベストボーカルの曲だと思う。
歌われる「鉄の塊」=バイクの事かと。
「寂しさだとか切なさだとか運命だとか」
「優しさだとか儚さだとか温もりだとか言うけれど
そんな言葉に興味はないぜ」
とハードボイルドで刹那的な生き方を描いている。

9. 「デニス ホッパー」 

ブランキーはベンジーがメインで作曲だけど、
この曲は照井利幸の作曲。そして名仕事。
タイトルのデニス・ホッパーは
映画「イージーライダー」から起因。
映画では自由を求めてアメリカをバイクで旅しているのが描かれ
それに憧れるが大人になってしまう現実に
「神様 あの日抱いた夢を取り上げないで
 僕はまだ目覚めたくない」
と叫ぶ主人公が描かれる。

10. 「海を探す」

ブランキー史上、トップクラスに綺麗な曲。
映画で言えばエンディングに位置する曲。
このアルバムを名盤とする理由は
この曲に辿り着くことで完成される、と思う。
メロディの美しさは聴けばわかると思うが
歌詞!
「ハートにヒビが入るほど綺麗な
 海を探しに行く物語
 走る車の屋根に登って
 風になったつもりで始めるのさ」
すげーロマンチックな風景。

①「プラネタリウム」で登場した主人公の型破り、アウトローなキャラクター、
⑧「ガソリンの揺れ方」でハードボイルドな生き方への憧れを示すが
⑨「デニス・ホッパー」での成長する事での喪失感…
を!経ての
「海を探す」…。

喪失感、切なさのある物語のエンディングだけど
「始める」んですよね。
主人公が探す「ハートにヒビが入るほど綺麗な海」って
人生で辿り着きたい、感動できる「何か」のことだと思う。
生きづらさ、悲しみ、喪失と繰り返していくんだけど
それでも「始める」んですよね。
海を探しに。

そんな感じで
「Love Flash Fever / BLANKEY JET CITY」
を青少年にオススメしたいわけなので
是非聴いてみて下さい。

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