散る星
プラネタリウムに行ってみたかった。
これまでの人生で口に出したことはなかった。偽物の星空にお金を出すなんて嫌だったのだろう。
だけど、実は、行ってみたかったのだ。
似た場所ならある。
自分の鼻の先からもう真っ暗で、奥行きのないような闇の中を進んだ。一歩、一歩。いくら進んでも闇は闇だった。
とても怖かった。
そうして灯しびを見つけた。あの安堵。届いたものは光ではなく熱だったように思う。
そのときの心情を細かくどこかに記したはずだ。ああ、夏休みの宿題だ。
紺碧の空間の中、定規で測られた偽物の煌めき。
あれがプラネタリウムか。
そこに居させてほしくて何度血を流したか分からない。だけど、きっと、物足りないのだろう。
私は私のプラネタリウムを観に行こう。
私は女では、ないから。
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