児玉雨子さま
今の私にはこれを読んでもらうコネがないのですよ。いつかきっとあなたに届けるので、その瞬間のために書き留めておきます。
(その後の災難の結果、見納めとなってしまった)あの日のリリイベに行ったのは、『地団駄ダンス』に惚れたからでした。あなたの書いた『幸か不幸かだなんて分厚い紙一重』というセンテンスに後頭部をはったかれました。
とても良い曲だと思ったので、久し振りに現場へ行きました。ライトが眩しかったことを覚えています。
その日から二年もの月日が流れ、私が次にリリイベに向かったのは五月二十八日でした。そのときと同じ会場で、同じグループでした。
やっぱりあなたの曲が原因となりました。
今回はメロにやられたので、あなたの功績はタイトルのみということになるのですが、それでもこの曲に出遭えたのはあなたのおかげです。25歳永遠説。ヲタクを煽るそのスタイルは素晴らしいな! だってあなたは美女だから。
あなたは私の理想です。
人間はどうせ裏切るから、私は何者をも理想に掲げたくありません。あなたにだってきっと汚らしい一面があるのでしょう。
そうやって生意気を言いながら、あなたに焦がれ続けています。成り代わりたいほど。
ありがとう。
あなたのおかげで、ゆかにゃんが卒業する前にJuice=Juiceに帰ってこられました。昨夜まで、タイムリミットが近づいていることに気づいてさえ居ませんでした。間に合って始めて、間に合わなかったかも知れない世界を想像しました。
Juice=Juiceは、私の青年期を彩ってくれました。輝くブローチみたいに。
人生本体よりも、ずっと、ずっと、美しいのです。何時の私もそれを一心に眺めていました。
それがもう直ぐ終わるのですね。
もちろん、追加メンバーが加入した時点で終わっていたんですよ? だからこそ、私はあの日を境にJuice=Juiceを追うことを止めました。
それでも、一応は続いていました。
不純物が入っただけで、私の愛した五人はしっかりとアイドルを続けてくれていました。
オリメン至上主義は叩かれやすいのです。出る杭は打たれる。異論はいなされる。
無力な私は口なしとなりました。まだまだまだ愛していた彼女たちのヲタクで居るのを止めました。
どうして世の中は賛成派ばかりを讃えるのでしょう。
否定はそれ自体が否定される運命にあります。
追加メンバーを受け入れてこその信者であったでしょう。それでも私は私の愛を尊重します。
追加メンバーは、新生Juice=Juiceとして楽しくやっていれば良いです。それを受け入れるヲタクは格好良いです。
それでも、私目線で言ってしまえば、愛していた完成されたアイドルの形を壊されたのですよ。
否定したくなんかなかった。ずっと応援して居たかった。ヲタクで居るというアイデンティティさえ形成してしまうほど、私の人生の要でした。
生まれに絶望して、自身を見放して、斜に構えて生きている私にとって、自分で認めたくないほどのおひさまみたいな愛でした。
だから追加メンバーの発表がとっても悲しかった。追加メンバーは悪くないのに。
今日だって、オリメンだけのステージは二度と生まれないのだと、少し泣いてしまった。
それでも、児玉雨子さま、あなたにお礼を言いたいのです。いじけたまま、五人が揃ったステージから目を背け続けずに済んだから。
昨夜、日付が変わる直前に曲を聴いたこと、あれはこの世のラッキーそのものですよね。
あなたが売れっ子作詞家になり、ほとんど諦めていた夢にも、また手を伸ばせそうです。
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