【紅白記事合戦2024/エッセイ】ガオレッドになれなかった僕
自然と友達ができた時期があった。
その頃の僕は、赤が好きでたまらなかった。
ガオレンジャーではガオレッドに憧れ、
仮面ライダークウガではマイティフォームに心を奪われ、
テツandトモでは、いつもテツに自分を重ねていた。
でも、僕はガオレッドにはなれなかった。
クウガでも、マイティフォームどころかグロンギ役にしかなれず、
テツandトモでも、いつもトモのパートを歌っていた。
本当はステージの真ん中で両手を高速で回していたかった。
赤が好きな僕は、結局、赤にはなれなかった。
その頃から、集団にはピラミッドのような構造があるのだと、なんとなく察するようになった。
やがて赤になれない僕は、最初から赤を選ぶのをやめた。
だから、好きな色は次々と変わった。
緑、紫、チャコールグレー。
僕の好みは転がるように流れていった。
そして気づけば、僕は大人になっていた。
古着が好きになった僕は、ある日古着屋で一着の服に心を奪われた。
トリコタグの真っ赤なリバースウィーブ。
あの頃の赤への憧れが一気に蘇り、リトルピザが騒いだ。
これを着れば、かつて思い描いた自分にやっとなれる気がした。
古着と言えば聞こえはいいが、結局は誰かのお古。それが20,000円もした。
けれど迷わず買った。
その服を着て、免許証の更新に行った。
手続きはスムーズに進み、免許証が手渡された。
だが、その写真を見た瞬間、戦慄が走った。
顔の血色の悪さが際立ち、首から下の鮮やかな赤だけが浮き立っている。
まるで僕自身がかき消されているかのようだった。
気づけば、僕は赤の似合わない男になっていた。
家に戻った僕は、真っ赤なリバースウィーブを持ってセカンドストリートへ向かった。
12,000円で売れた。
差額の8,000円。それ以上の何かを失った気がした。
でも、免許証には青白い顔で、かつて憧れた自分の幻が刻まれている。
なんでだろう。なんでだろう。なんでだ、なんでだろう。
今日もリトルピザがトモのパートを高らかに歌っている。
企画の概要は以下になります。
12/22、1日のみの開催となります。
僕もほぼ初めてエッセイを書きました。
みなさん、赤と白のエッセイを持って集まりましょう。