公園サウンド日記
2024年1月某日
思わず深呼吸をしてしまうような,天気の良い午後.
ギターを片手にいつもの公園に行くと,今日は何だか聞き慣れない音がする.
リコーダーのような,フルートのような.
音の方へ近づくと,そこには縦笛を吹いているおじいさんがいた.
その姿を見た瞬間,私は胸が高鳴り,瞳孔が開いていくのを感じた.
何なんだ,あの人は,あの楽器は.
話しかけたい!!
演奏が止まる隙を見計らい,私はおじいさんに声をかける.
するとおじいさんは,
「尺八です」と教えてくれた.
竹で出来た立派な楽器.
教科書で見たことはあったものの,実際目にするのは初めてだった.
おじいさんが尺八の練習を始めたきっかけについて尋ねてみた.
「1年くらい前からです.宗吾霊堂でたまたま尺八を演奏している人を見かけて,その音があまりに綺麗で.
『これだ!』と思ってね.それで,師匠に弟子入りして練習を始めました.
最近やっと音が出るようになりました.
ここへは時々来ます.」
はにかみながら話される.
おじいさんの話を聴いて,
何気ない瞬間が,人生を変えるものだな,と思った.
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