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過去問を勉強することの有用性

皆様、お疲れ様です。
 過去問を勉強しても同じ問題が出題されることはほとんどないので意味がない…と考える人も多いと思います。確かに過去問の内容がそのまま同じ文章で出題されることはそこまで多くはありません(第108回薬剤師国家試験は例外的に多かった)。しかし、過去問の内容を習得することは資格試験の勉強をする上での定石であり、薬剤師国家試験においても例外ではありません。まったく同じ出題が出題されることは確かに多くはありませんが、関連項目や発展内容、異なった表現での出題は多く、過去問集の回答解説を読んで勉強すれば対処可能な問題は多いです。
 すでに模試の過去問を手に入れて解いたことのある方は気付いているかもしれませんが、模試の問題も国家試験の過去問をベースにして作られているものが多いです。予備校も国家試験の過去問が重要だと考えているようであり、その他に今後出題される可能性の高い内容を新傾向問題として出題しております。したがって、国家試験過去問と模試の問題の勉強が薬剤師国家試験に合格するためには極めて重要と言えます。
 過去問が第108回薬剤師国家試験に改変されて出題された例を以下にいくつか紹介します。

第108回問66(第107回問267改変)


第108回問66


第107回問267

 どちらも骨肉腫に対するメトトレキサートの使用に関する問題ですが、第107回の内容が翌年の第108回に再出題されています。問題の領域は第107回が実践問題の薬剤実務、第108回が必須問題の病態・薬物治療となっております。再出題されたとしても、同じ領域で同じ科目の問題になるとは限りません。
 第108回では投与方法が注射ではありますが、前年の過去問を勉強していれば答えは1番であることが分かります。ちなみに、4番のフロセミドでは尿が酸性化するため、メトトレキサートが結晶化して尿細管に沈着する恐れがあります。アセタゾラミドは炭酸脱水素酵素阻害薬であり、HCO3-の排泄を増加させて尿をアルカリ化するため、メトトレキサートの沈着による尿細管障害を防ぐことができます。

第108回問85(第107回問85改変)


第108回問85
第107回問85

 どちらも実務の必須問題で似通った雰囲気の問題です。抗がん剤と放射性医薬品と違いはありますが、どちらも手技や操作を誤ると調整者に被害が生じます。
 いずれもクリーンベンチ内ではなく安全キャビネット内での操作になります。また、第107回の選択肢1以外の操作は放射性医薬品調整時の操作としても誤りです。第108回の問題では選択肢2と3も第107回の内容から正しい文章であると判断できます。選択肢4と5は今後の国家試験でそのまま、もしくは表現を変えて再出題される可能性もあり

第108回問97(第101回問99、100改変)



第108回問97

 リード文が長く一見難しそうに見えるかもしれませんが、過去に出題された内容から解答可能です。必要な情報はリード文中に記載があります。

第101回問99

 第108回のリード文を読めば測定波長が可視光であることが分かります。第101回問99の選択肢1は誤りですが、この内容からタングステンランプは光源としてどのような光を発するかを勉強していれば、第108回問97の選択肢1は正しい文章であることが分かります。


第101回問100

 第101回問100の内容から、第108回問97選択肢2、3、4の正誤が判断できます。選択肢の文章は違いますが、問われていることは同じです。

第108回問194(第100回問193、第107回問195改変)


第108回問194

カプランマイヤー法の問題です。

1:時点Aでは生存率が70%なので、20名×0.7=14人となり正解です。
2:時点B~Cの間にヒゲが3つあります。したがって、被験者数のうち3名が死亡したことになります。
3:時点A~Bにおいて、被験者3名が死亡する前は生存率が60%なので、被験者数は20×0.6=12名です。その後、3名が脱落するため、時点Bでの被験者数は12-3=9名です。さらに、時点Cでの生存者数をx名とすると、そのときの生存率は40%です。また、地点Bでの生存者数は9名で、そのときの生存率が60%であるため、x=9×0.4/0.6=6名となります。
4:時点C~Dの間に4名死亡しているため、時点Dの被験者数は6-4=2名です。時点Eでの被験者数は、時点Cでの被験者数を求めたときと同様に計算して、2×0.2/0.4=1名となります。時点DとEの間では2-1=1名が死亡したことになるため正解です。
5:時点Eでの被験者数は1名です。


第100回問193


第107回問195

 第100回と第107回でもカプランマイヤー法に関して出題されており、これら2回はほぼ同じ問題です。第108回問194では、より複雑な問われ方になっていますが、過去2回の問題について勉強していれば回答を導けるはずです。


 過去問を勉強していれば正解が導ける問題は、上記の例以外にも多数出題されています。もちろん、正解の文章をそのまま、誤りの文章は訂正したものをひたすら暗記する…というやり方だけではうまくいきません。それだけではなく、回答解説に記載のある関連項目も同時に習得していきましょう。青本などの参考書を利用するなら、その中で分からないことやより深く知りたいことがあるときに辞書代わりとして使用することをお勧めします。



以上です。
お読み下さりありがとうございました😀

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