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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』シンプルながらかなり深みがある

ずっと見たいと思っていたんですが、せっかくなら今年中にと思い視聴。シンプルなキャラクターものながらすごくこだわりを感じる良い作品でした。

『スーサイドスクワッド』ではストーリーがシリアスだったのもあってハーレイは味付けのひとつという感じだったけど今回は完全に主役で、ハーレイが好きになる映画です。

ハーレイ・クインが引き立つ

ハーレイのナレーション付きで回想シーンの説明をするという構造は『デッドプール』っぽいなと思いました。スピード感があるし、物語自体が複雑でもわかりやすくなるのでわりと好きな手法です。

オープニングのアニメーションはこれ自体がかわいいし、普通に作品1本見たい。生い立ちを簡単に説明しているけど、この映画のポップなテイストが入ってきやすくてとってもいい。今回はどんなハーレイなのかもわかりやすいから原作ファンにも親切なのでは。

ハーレイ以外の登場するキャラクターのデザインもすごく丁寧だと思った。ハーレイのイカレ具合を際立たせるためにか、既存のキャラクターもみんなマジメでほとんどふざけません。ザーズ(ザズー)は精神異常者ではないし、ブラックマスクはちょっと残虐だけどただのチンピラのボスっぽい。

ハーレイ目線なのでコミカルな構成ではありますが、ハーレイ以外の要素は至ってマジメなのが『デッドプール』との違いかな、という気がします。

あと、序盤に「博士号まで持ってるのにまわりからはバカ扱いされる」というハーレイのセリフがありました。心理学者の知識を生かす場面もあったり、「暴力的でイカレた女」としてではなく、人間としてハーレイ・クインが描かれているところが好きでした。浅いところだけじゃなくハーレイへの愛情が感じられます。


男への復讐

物語としては、女性として虐げられている立場から男たちへ復讐することがテーマになっていました。

終盤にブラックマスクが「ゴッサムの男どもよ!」「バカな女たちに思い知らせろ!」と演説してたのはあまりに露骨でしたけど、ここまでやってもらえると気持ちがいい笑

気づいたらBGMに使われていた曲が全部女性シンガーだったり、バーや遊園地のイラストやアートも女性がモチーフのものばかり。「女性が主人公」ということにかなりこだわって作られたのがわかりました。

ゴッサムシティっぽくない

今回の作品を見て、ゴッサムシティっぽくないな、というのが率直な感想。ゴッサムシティと言えば摩天楼や陰鬱で犯罪にまみれているイメージですが、今回のゴッサムシティは割と華やかな印象だし街もそれなりに静か、何より昼のシーンが結構長いのであまり暗い印象を受けません。でも違和感はないんですよね。

現代にもいがちなファッションのハーレイが主役だから違和感がないのかなと思いました。さすがにバットマンとか紫スーツのジョーカーは浮くでしょうね。

ゴッサム市警はゴッサム市警

登場した刑事のレニーは実直で正義感のある刑事です。しかし女性だからと立場が弱く、同僚に手柄を横取りされたり、発言が通らなかったりと苦労している。検察の友人からも見限られているので扱いはゴードンよりひどいかも笑

ゴッサム市警だからしょうがないとも思っちゃいますが、女性からしたら結構リアルなキャラクターなのでは。

アクションシーンがめちゃくちゃ良い

見ててとにかく良かったのがアクションシーン。「仮面ライダーよりもスーパー戦隊っぽい」というか、「実際こんな戦い方しないだろ」的な動きではあるんですが、派手で構図も美しく、魅せるアクションでした。

特に中盤の水を使ったアクションはめちゃくちゃよかったです。大雨だったり足場が悪い中でずぶ濡れになりながら格闘するのはよくある濡れアクションですが、今回は水しぶきで美しく、スタイリッシュに見せる工夫がしてあったのがすごいと思います。

余談ですが、濡れアクションはグダグダになることで熱い演出になることもあるんですが、逆にもどかしくダサく感じることもあるんですよね。そこが難しいところなんでしょうけど。

女性同士のアクションでは所謂「キャットファイト」っぽくないというか、生々しくない。ハーレイの暴力的なキャラクターのおかげかもしれないですが「見れる」アクションなのがすごいです。

終盤の遊園地でのアクションだと高さやアトラクションを利用して戦っていたのもスーパー戦隊っぽいところ。
あと個々のアクションを撮るだけじゃなく、奥行きのある場所ではかなり奥でも複数のキャラクターが同時進行で戦っていたのにもこだわりを感じました。

かなりの人数が絡むアクションばっかりで撮影するの大変だったんだろうなぁ。

女性監督というのが驚き

監督はキャシー・ヤンという女性の監督でした。作りこまれているアクションも、スーパーヒーローのキャラクターへの愛情も含めて驚くばかり。男性への復讐という内容ですが嫌味っぽくなくポップなのですごく好感持てますね。

まとめ

『スーサイド・スクワッド』の時からマーゴット・ロビーがめちゃくちゃハーレイ役にハマってて良いですね。今後のハーレイ像にもかなり影響がありそう。

リブートものですが、かなり世界観がスッと入ってきました。バットマンやジョーカーなどの、人気でコアなファンがいるキャラクターをむやみに出すのは避けたのかもしれませんが、おかげで引っかかるポイントが少なく、ハーレイのキャラクターやアクションに集中できました。

ハーレイのキャラクターも丁寧に説明されていますし、ここからバットマンシリーズに入るのもアリ、といういい作品だと思いました。


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