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突入せよ!機動隊攻防戦生中継の裏側で

あさま山荘事件が発生したのは今から50年も前のこと。安保闘争から派生した、連合赤軍と言う今で言う極左テロ集団が民間企業の軽井沢別荘に人質女性を盾にして10日間籠城し、警官隊との銃撃の末に全員逮捕の結末を迎えます。3人の死傷者を出す強行突入の日の模様は2月28日の朝から夕方まで一部始終がTVで生中継されたので日本国中が固唾を呑んでこの攻防戦を見守ったのでした。
発売されたばかりのカップ・ヌードルが氷点下の雪原で闘う機動隊員達の胃袋を満たしていた事は後々有名な逸話となります。

東京タワーから軽井沢までは160kmほどあり、碓氷峠の向こう側の別荘地には東京キー局のVHFテレビ電波は届きませんでした。

しかし在京ラジオ局の電波は群馬や長野の一部でも昼間から受信が可能で、万が一にも犯人グループがニュース報道を聞いていると、作戦の手の内を知られてしまう恐れがある。と言うので東京のラジオ局では何事も無かったかの様に普段通りの放送を続けました。人質の生命にも係る事態だけに、コンセンサスを取るための時間を費やしてなどいられません!

事件解決が何時になるのか?何時間かかるのかさえ不明なまま、現地からのTV生中継は延々と続きます。元々CMを挿入しないNHKはともかく、民放局はCMを流さないことには収益に繋がりません。それどころか予定された番組も全てが中断され、進行台本の全く無い長時間の生放送が続きました。

事件は機動隊が用意した重機がぶつける鉄の球で木造のロッジの壁を打ち破り、機動隊員が室内に突入するクライマックスを迎えます。
猟銃を構えた赤軍派の銃弾が警察官の命を奪います。一進一退の攻防の末、窓から突き出された赤い旗・・・この区画は警察が制圧した👮‍♀️の目印です。

日没時間が刻々と迫りあたりは闇に包まれようかと言う頃、無事人質の安全を確保。犯人グループが護送されるまでの丸一日を生中継に費やしたテレビ各局は、それまでの生放送、現場中継時間の記録を軒並み更新する結果となりました。
各局の視聴率を合わせると日本国民の89.7%の視聴者がテレビ生中継を見ていた計算に。もちろんほかの番組は教育テレビくらいしかなく、テレビを見られないエッセンシャル・ワーカーを除くと、ほぼ国民全員がテレビの前に釘付けになった計算です。

札幌五輪で日本ジャンプ陣、日の丸飛行隊の快挙を見た興奮も冷めやらぬうちに、テレビ報道に再びくぎ付けとなった日本人にとって、テレビはまた、報道メディアとしての地位も揺るぎないものにしたかのようでした。

でも、長時間特別報道番組はこののちことあるごとに繰り返されます。阪神淡路・東日本大震災などの記録的な長時間生放送を強いられることとなろうとは・・・・・あの半世紀前のころには想像もつかないことでした・・・・・

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