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(いつからいつまで)SUV?ヨンクの歴史

スポーツユーティリティーヴィークル=SUVが大人気、というよりも定番商品と化しています。アメリカはもとより日本でも韓国でも、そして欧州でもジワジワと浸透し始めていて、セダン型のシェアは下がる一方。このSUV、いつ頃から売れ始めたのでしょうか?


SUVの明確な定義はあいまいで、レンジ・ローバーのような高級SUVは古くからあったし、ランクル=ランドクルーザーはクラウン以前から存在していたほどです。
こうした古典派四輪駆動車はせいぜい営林署や電力会社、それに軍隊や砂漠のお金持ち等に需要が限られていました。砂漠とかスキー場とか災害時など限られたニーズの四駆イメージを覆したのはバニング文化を流行らせたアメリカの若者たちだったようです。

西海岸を中心に日本の人気・小型トラック=ダットサンなどを改造して四輪駆動にするキットが売り出されたのは70年代頃。トランスミッションのすぐ後ろにトランスファーを追加して前輪用プロペラシャフトと車軸を増設するもので、これが道路脇の荒地でもどこでも縦横無尽に走破できる!と大人気となりました。

メーカーからは最初から4輪駆動に仕立てたトラックが発売されます。ハイラックス4WD、いすゞファスター・4WD、ダットサン・ピックアップ、三菱フォルテもこれに続きました。
前後してあまりの日本製小型トラックの売れ行きに危機感を抱いた自由競争がモットーの国=アメリカ側は、こうした小型トラックを狙い撃ちした不条理な25%の関税を設けます。

いすゞや三菱はトラックそのままの足回りの上にレンジローバーのようなワゴンタイプの豪華なボディを架装したステーション・ワゴン風な三菱パジェロ、いすゞファスターロデオを発売します。他方、トヨタはハイラックス・トラックの荷台に後席を並べ、プラスチックの屋根をかぶせてワゴン風の車体に仕立てました。いすゞや三菱よりはるかにお手軽、安価な方法で。
ハイラックス4ランナー(現地名)と名づけたこのトラックは乗用車の扱い。したがって不条理な高関税もかかりません。

トラックを流用した頑丈な車体と夏冬を問わない4輪駆動の安心感。面積で言えばアメリカの大部分は積雪・路面凍結と無縁ではありません。おまけに腰高な運転姿勢や乗車位置の高さは普段乗り慣れているフォードFシリーズなどのアメリカ製ピックアップ・トラックと違和感なしに運転、乗り降りが出来ます。


トラックを母体としていたSUVは次第に乗用車の足回りを流用した軽くて安価なものに変化します。SUVを持たなかったスバルがモノコック車体のワゴン・ボディに4輪駆動を組み合わせ大ヒットさせたのが二代目レガシィに設けたアウト・バックというバリエーションでした。標準のワゴン・ボディより数十ミリ車高を高くしてオフロード用タイヤと組み合わせたもので、(これにはゴルフ・カントリーというお手本がありました)

あのワゴンの本家、ボルボも同様の手法で参入した他、今も各社が乗用車の拡販メソッドとして重用しています。アメリカ、日本と伝播したブームは欧州にも広がりを見せそうで、ここでもセダン型のシェアを奪いつつあります。ミニバンとSUV、この二つが70年代のハードトップ流行に代わる新しいファッションの潮流と捉えられるのではないでしょうか?

では、この流行は終焉するのか?

すると思います。車高の高い構成は電池スペースの格納には恰好のレイアウト、ナンですが如何せん元々車が重く仕上がってしまうSUV。ポスト・ガソリン時代のエコカーとしてはプリウスのような空気抵抗を重視した軽量モノコックタイプの車体の方が向いています。90年代あれほど売れていたパジェロが市場から消えようとしていることからみても燃費・電費競争で明らかに不利なSUVは2030年代を境に廃れていくことでしょう・・・・・・

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