脊椎動物の最終形?クルマメカ絶滅期

自動車の有史以来長い間続いてきた基本構造にハシゴ型フレームの前にエンジンを置き、後輪を駆動するオーソドックスな方法をとり続けているのは今や大型トラックと高級四輪駆動車,それに軽トラくらいのものになりました。


半世紀前,大阪万博の頃までは建設現場でボンネット・バスのように鼻先にエンジンを載せたボンネット・タイプの大型ダンプを見かける事が出来ました。やがて映画のトラック野郎シリーズがヒットする頃には大型トラックも鼻の取れたキャブオーバータイプが殆どとなり深夜の国道を電飾デコレーションで飾り立てたデコトラが走り回るようになります。


最近では、大型トラックのヘッドライトはバンパー埋め込み型が義務となり、その顔つきもグッと欧州風になりました。これは、運転台のキャブ部分が柔らかいサスペンション機構で支えられるようになったため、そこにライトを付けておくと上下動で光軸がブレてしまうからで、フレームに固定されたバンパー側に装着が必須となった訳です。


ボンネット型では鼻先にあったエンジンですが今は軽トラも含めて運転席の下に。ではエンジン整備はどうするのか?といえば運転台がドア,座席,ハンドルもろとも,車室全体がお辞儀するように前に傾いて後ろからエンジンが覗ける構造になっています。つまり運転台そのものは前端下の回転軸と後ろの数カ所だけでフレームに接しているわけで、ここを柔らかいサスペンション構造にしておけばトラックドライバーも快適に安全に運転できる訳です。


但し運転席シートを跳ねあげればエンジンが顔を出す軽トラではこの限りではありません。荷台の真下にエンジンを置いたスバルサンバーやホンダのアクティもありましたが、既に過去のクルマとなっています。生き残っているのはプロペラシャフトのあるスズキキャリイとダイハツハイジェットの両雄だけ。となりました。EVになってからも三菱ミニキャブMievの様な古典的レイアウトが踏襲されるのか?


そして今でも鼻先にエンジンを置きプロペラシャフトで車軸に動力を伝える超保守的な車種がランドクルーザーの様な大型四輪駆動車です。70年という長寿ブランドのランドクルーザーも初代からこの構成は変わらず。戦後生まれの英国車ランドローバーも同様です。

生物の進化に例えれば両生類に進化する前の肺魚が今の時代にも生き残っているシーラカンスみたいなものでしょうか?


ガソリンエンジン車の販売が欧州や日本等で禁止されても中東や南米向けなどには生産され続けていくでしょうし、そのレイアウトも変わらないでしょう。エンジンのあったところに電気モーターが載っても、或いはこのスタイルは変わらないのかもしれません。

最新型のランドクルーザーが発表されましたが、このモデルが販売されている期間にどれほどのガソリン車が歴史にピリオドを打っていくのでしょうか?そして軽トラも大型トラック達も電動化の波にのまれて変化を強いられていくのでしょうか?

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