じっくり腰を下ろしてシートを考える

クルマをコントロールするデバイスのステアリング・ハンドル、各ペダルにシフト・レバー、ここまではすぐに思いつきますが体を委ねているシートだって重要なデバイスです。

高価なシートに交換するのはそれなりに理由があるからです。
毎回数十分程度のチョイ乗りが主体なら良し悪しは分かりづらいかも知れません。しかし長距離走行や長時間座ることを常としている人には時として死活問題でもあります。

私も年に数回は東名・名神を大阪まで一気に走りますが5時間を超える連続運転ともなると体にフィットしたシートは必携です。概してドイツ製のクルマのシートは合格点のものが多いようですが、国産車にも素性の良いシートは見つかります。ただしカタログを見ても判別出来ないしショールームで座ったところで5時間後の疲れ具合は分かりません。

一つだけ見分けられるヒントがあるとするならば•••
それは太腿を支える座面です。シートに座りペダルをいっぱいに踏み込める位置にスライドをセットして(お尻は目一杯奥です)膝下に座面との隙間が出来ないかチェックです。シートリフターなどで座面の角度や高さを調整出来る車種が多いので、この隙間が出来ないように合わせて下さい。座面全体で太腿を支えられるよう、体重をなるべく一点に集中させない事がコツです。

リクライニング出来ないレース用のフルバケットシートをセットしても同様です。薄っぺらなクッションしか付属していないものの、両腿のひざ下をピッタリフィットさせられれば、長距離の運転で疲労を感じることもありません。

試しに普段愛用の乗用車に場違いとも思えるフルバケット・シートを付けたらどうなるか?
最初にその車種専用のスライド・レールが無いとまず装着出来ないので買う前にはご確認を!
さて、購入・装着を終えたフル・バケットで街に乗り出して見ると、まず目線の低さに驚きます。シート高さでクルマの印象がこれほどスポーティーに変化するものかと驚くでしょう!
変化するのは乗り心地も同様。まるで足回りを固めたレース仕様のクルマに乗り換えたかと思うくらいクルマの挙動がダイレクトに感じられます。これなら4本のサスペンションを総とっかえするより遥かに簡単です。
レバーで簡単にポジション変更はできませんが六角レンチ常備なら少しの時間で微調整が可能。サービスエリアでも短時間のストップで再スタートできます。

なにもレース用でなくても、レカロなどの有名ブランドに交換する手だってあります。チェックっポイントは同様に、ひざ下の空間ができないようにフィットさせることができるかどうか?細かなパーツやクッションを単体で交換することもできるので、クルマを乗り換える際にシートも取り外して長年同じシートを使い続けるユーザーもたくさんいます。だから価格もそれなりですが使う年数を考えたら充分モトがとれる計算でしょう。外した標準シートは売却の時に戻すことを考えて物置にしまっておくように・・・

足回りをいじるよりも、先ず最初はシートに着目してみてはどうでしょう?
昨日までのクルマが見違えるかも!

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