ナロー好きになろう


少しでも速い走りに意欲がわいているカーマニアがまず着手すするのがワイドタイヤへの交換でしょう。

フェンダー内側ギリギリまで幅の広いタイヤに履き替え、コーナリングでスピード・アップしてもオンザ・レールのがっちりしたグリップ感が感じられる・・・・・それも楽しいかもしれません。が、本当に腕を上げたいという気持ちがあるのなら敢えて標準装備されている細いタイヤのままで攻めてみるのはどうでしょう?

世界を転戦するラリー選手権のうちでも、冬の北欧を舞台に戦うラウンドではスパイクピンの一杯並んだ細いスノータイヤがちょっと異様です。幅が極端に狭いのは接地面積を減らして、面圧を上げるための方策です。
接地面積が減れば転がり抵抗や路面からの抵抗も少なくなり、燃費向上にも大きく寄与します。試しにリッターカーの軽量モデルに155/70サイズ位の細いサイズを履かせるとハイブリッドカーでなくてもリッター20km近い燃費をマークすることだって可能です。

そして細めのタイヤのもうひとつの楽しみは低い限界でクルマの挙動が分かること。グリップの低いタイヤなら極端にスピードを出さなくともクルマの限界に達し、タイヤが滑り始めたときの挙動を少し低いスピードで体感することが出来ます。低い、というのはワイドタイヤに比べての話ですが・・・・
そしてもっと簡単にクルマの挙動を知ることが出来るのは雪道です。北国に暮らせば否が応でも逆ハンドルくらいは自然に身についてしまおうかというもの。タイヤのグリップを増す為には、つまりなるべくタイヤが滑り出さないようにするにはどうしたらいいか?日常の走りの中で自然と身についていくことでしょう。北欧出身のラリードライバーたちが世界のラリーシーンで好成績を挙げるのも納得です。


反面思わぬアクシデントに遭遇して板金修理に高額な出費を強いられることも覚悟しておかねばならないでしょう。そこは自分の中でどう線引きをするかのバランス感覚の問題でもあります。

雪国に移住する暇も自由も無い身なら、せめてナローなタイヤに履き替えてコーナリングの限界を探ってみては如何でしょう?
何もハイパワーな四駆で無くとも前輪駆動の大衆車だって、こうした挙動の変化を体感できます。たとえば軽井沢に向かって九十九折が連続する碓氷峠旧道のルート。ヘアピンカーブが170も連続するようなタイトなコースですが、上り坂なら短距離でブレーキも利くので下りよりも安全に楽しめます。
制限速度ジャストのスピードでちょっと強めにブレーキングしながらコーナー入り口を目指して踏み加減を増減してやればリア・タイヤがグリップを失って軽く流れ出すのが感じられます。これはあくまでも良く出来たFF車の場合で、最近の様に簡素な足回りのレイアウトではなかなか自然な流れ出しは感じられないかもしれません。

タックイン、という現象で、後輪駆動ならドリフトで後輪を大きく振り出しながら加速するのと逆ですが、ドリフトは一般公道で練習するには不向きです。ひと山買い取るか、とてつもなく広い私有地でも用意して板金修理覚悟で練習するくらいの気概が無いと・・・・・

後輪駆動から前輪駆動にモデルチェンジした多くのクルマがこの後輪サスペンションのチューニングにとても力を注ぎました。今でも時々後輪に敢えて高価なダブルウィッシュボーンタイプのサスペンションを奢ったりする例がありますが、ドライビングを、コーナリングを楽しみたい向きには出費のし甲斐がある買い物かも知れません。
ワンメイク・レースなどを観戦する機会があったら、ぜひ前輪駆動のヘアピンカーブでの前輪の向きと車体の向いた方向に注目してみてください。上級者ほど、車体はピタリと進行方向にまっすぐ向き、ハンドルの切れ角も少なくなっているはずです。そしてそれを眺めているうち私のようにレースに参戦してみたくなり、ライセンス取得に必要な手順を調べてレース用のクルマを調達してワンメイクレースに参戦して・・・・・

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