介護福祉士の教育の質

 1989(平成元)年より介護福祉士国家試験が始まり今年で36回実施されています。介護の内容にも改定などがあるものの高齢者介護を中心とした授業であり尚且つ医療についての性質が徐々の高まっています。
 高齢者視点であれば仕方ない事であり、国家試験の筆記に関する試験委員も高齢者福祉及び医療をご専門にする先生方の名前が多く見受けられる。
 しかし、既に35年が経過する中、福祉学は人間学である訳です。つまり人の「人生に寄り添う支援者」としての視点が主となり「利用(被支援)者への良い人生を展開できるようにサポートする事」が福祉の基本であり、展開ではないでしょうか。しかし、テキストは要望が大きくなり更に留学生を対象にしたテキスト作成によりその頁数は大きくなり、授業も一部の出版社のテキストを使用し当然、国試対策までを担うスタイルで位置づけられています。介護福祉養成校(専門学校、短期大学、大学等)においてこの関連テキストを使用していることが現状でありそのテキストの執筆者の考えによりやすい状況があります。
 テキストが決まっていると言う事で、教員もその内容に沿う授業に意識が強くなる教員が散見しています。
 介護教員は、介護教員講習会と言う講習会を修了した者が教員として展開することになっています。しかし、福祉の専門家ばかりがこの講習会を受講している訳ではなく、他業種も受講できます。医療系も当然受講して、授業を教えています。更に多職種の教員でも受講が出来、工学を学ぶ者や建築を学ぶものまで福祉と関係のない者が受講しその指導を行っています。一見他業種の方による指導がよく見えますが、指導する内容に課題があるように思います。現場を経験した人が多いのですがその現場経験が教育指導=厳しくする理念を現代の学生にも導入しそのまま継承を今日も実施している方が多くいる様に思います。やがて、現場を知らない教員も介護教育は厳しく行うものと勘違いし、今日学生が介護福祉を学びながらも介護業界へ就職しない或いは、国や事業所からの補助金を支給されるも返済が完了すると同時に他業種に移る者も決して少なくありません。
 介護福祉の在り方を教育と言う状況から見直す大きな転換期にあるのではないでしょうか。人を支えることの素晴らしさを教育と言う入口で閉ざすことのない様にしていきたいと思うのです。
 私が働く職場では現在学ぶ学生の内、4年前60%、3年前50%、2年生25%、1年生45%(予定)が既に介護福祉を学ぶことを辞める或いは辞める予定でいます。多くの学生に面談を行いましたが、多くの意見はあまりにも厳しすぎる教育環境にあることで続ける事が出来ないとの事でした。
 教員への質や今日テクノロジー化が進む介護業界で、福祉の近代化への視点も含めたものに再度見直すことも必要になると思います。
 楽しく興味を持ち続けられる教育の在り方に視点を向けることも必要ではないでしょうか。

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