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Fitbitを使いはじめてから寝ることが楽しくなった

 僕は今年の9月ごろ肺炎を患った。症状に気づいたのは仕事の昼休憩から帰ってきたとき。なんとなく頭がボーッとし、身体のふしぶしが痛かった。熱を測ってみると37度台前半だったが、このくらいなら大丈夫だろうと思いほうっておいた。ところが時間が経つにつれ、身体の体温がどんどん上がっていくのがわかり、意識も朦朧としていった。結局仕事は通常通り終えたのだが、帰る前に再度熱を測ったら39度台まで上がっていた。いちばん辛かったのは帰りの電車。日頃トレーニングも兼ねて、どんなに座席が空いてても座らないのが習慣なのだが、あまりのしんどさに約一年ぶりに腰かけた。

 病院に行った結果、肺炎と診断された。ただコロナによるものではなかったので、そこは安心した。それ以後熱が出ることもなく、10日ほど自宅療養で回復を待った。

 僕は子供の頃から割と健康体で、高校二年生のときにインフルエンザにかかって以来、体調を崩すことはほとんどなかった。年に一回か二回、季節の変わり目に軽い風邪を引くくらいだ。だから肺炎と診断された際は驚いたし、まさか体調不良を理由に10日間も仕事を休む日がくるなんて思わなかった(ただ単に行くのが面倒くさくて学校をサボったことは何度もある)。

 そして、その日の体調が、日頃のパフォーマンスにどれだけの影響を及ぼすか改めて考えさせられた。極端に言えば、体調さえ良ければあとはどうとでもなる。アントニオ猪木さんの「元気があればなんでもできる!」は、ある意味真理を突いているかもしれない。

 僕はそれなりに健康にはこだわってきたつもりなのだが、肺炎を患ったことで、まだまだなのだと反省させられた。より自分自身の身体、そして心を細かくわけて理解していく必要がある。このように考えた僕は2週間ほど前、『Fitbit』というスマートウォッチを購入した。

 まだ使用し始めて2週間しかたってないが、買ってよかったと思っている。この腕時計は身につけているだけで歩数や心拍数や消費カロリーを計測できる。なかでも僕が毎日チェックしているのが、睡眠の質である。


 Fitbitをつけて寝るだけで、就寝時から起床時までの身体の状態の変化を、時計側が自動的に計測し、データとして可視化してくれる。もちろんこのデータが100%正確だなんて鵜呑みにしていない。あくまで体調管理のためのひとつの道具として捉えている。

 といいながらも、僕はFitbitを使い出したここ数日、以前よりもグッと増して寝るという行為そのものを楽しめている。起床するとその日の睡眠の質が、すぐに睡眠スコアという点数として可視化されるのだが、これを毎朝チェックするのがワクワクする。80点がひとつのボーダーラインで80点以上だと「良い」、79点以下だと「やや低い」とされる。ちなみに先週の平均睡眠スコアは80点ちょうどだった。

 僕は毎朝この睡眠スコアを見ながら「なぜ今日は点数が高かったのだろう」「なぜ今日は点数が低かったのだろう」と考えて、前日の生活を振り返る。気づいたこととしては、ただ単に睡眠時間が長ければ睡眠の質もそれに比例して上がるかというと、必ずしもそうとは言い切れない点だ。

 例えば先日、いつもより早めに布団についた。翌朝、今日はたくさん寝れたぞと思いながらアプリをチェックすると、睡眠スコアは低く、深い睡眠状態がほとんどなかった。そして、そこから前日の行動を振り返ってみるといくつかの思いあたる節があった。

 まずその前日、学生時代の友人と再会した僕は、数ヶ月ぶりにアルコールを摂取した。以前から体質的に酒が弱いことは自覚しており、意識的に飲まないようにしていたのたが、久しぶりの旧友との再会ということもあり、ほろ酔い感覚で口にしてしまった。また帰宅後、普段なら湯船に浸かり、軽い筋トレとストレッチをするところを、何もせずに寝てしまった。これらの一連の行動が、おそらく睡眠の質の低下に影響を与えた可能性があると考えた。

 加えてそれから数日後、残業で夜遅くに帰宅した僕は、疲労感に苛まれ眠い目をこすりながらも湯船にしっかり浸かり、その後体幹トレーニングをしストレッチを行った。ちなみにこの習慣は、10代の頃から内容を少しずつ変えながらも今日まで継続している。

 いつも通りの習慣を行った分、睡眠時間は減った。しかし翌朝Fitbitをチェックすると、どうだろう。睡眠スコアは高く、深い睡眠も浅い睡眠もバランスよくとれていたのだ。

 他にも僕自身が良い睡眠をとるための点としては、パジャマで寝ることが挙げられる。ジャージや普段着で寝たときと、ユニクロで買ったパジャマで寝たときとでは、睡眠の質がこれまた変わるのだ。

 また寝る前だけでなく、昼間から適度に身体を動かし刺激を与え続けることも、睡眠の質を向上させるために必要な要素だと思った。休日に朝から夜までゴロゴロして過ごし、そのまま寝床につくとなかなか寝付けない。これに関しては感覚的にもわかる。翌朝のFitbitの睡眠スコアも低い。

 ここまで思考したとき、少しでも良い睡眠をとるには、夜だけでなく、朝からの一日のサイクルをすべてひとつながりに考えながら行動していくべきかもしれないと感じた。極端な言い方だが、生きるために寝るのでなく、寝るために生きるのである。このような思考法のほうが、僕自身はシンプルに楽しいと思える。

 仮にその日の体調が優れなかったとしても、そのことを自覚しているだけで、精神的な持ちようは変わる。同時に、無理に解決しようとすると空回りし、かえって良くない結果を生むケースがこれまで多々あった。そして、現在の状態を受け入れ、さまざまな角度から光をあて観察し続けることで、自然と手放せるのではないかと考えている。

 まずは自分自身の肉体的な体調から理解し、そこから内面的体調まで理解していく。その結果、生活や仕事も豊かになるかもしれないと思った今日この頃だ。

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