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無料低額宿泊所に関する省令案に対して提出したパブコメ(2019年7月6日)

 本記事は、2019年7月6日、厚労省の省令案「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準案」に対して提出したパブコメに関するものです。
 当該省令案へのリンクは、こちらのページ下部にあります。

 本件については、憂慮する数多くの団体・個人がパブコメを寄せています。うち2例を紹介します。

認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい
一般社団法人 つくろい東京ファンド

 問題のアウトラインを一記事でつかみたい方には、風間直樹氏による東洋経済オンラインの記事がオススメです。

生活保護費を搾取する「大規模無低」の正体 厚労省がお墨付き?貧困ビジネス拡大の懸念

 私自身も、ダイヤモンド・オンラインでの連載『生活保護のリアル~私たちの明日は?』で、この問題に関するレポートを数回行っています。

 また、『週刊金曜日』にも記事を書かせていただきました。

提出したパブコメ本文

 当方は、「みわよしこ」名義で執筆活動を行なっておりますフリーランスライターです。いつも問い合わせや傍聴でお世話になっております。
 このたび、いわゆる「貧困ビジネス」対策を検討会でご検討いただき、本省令案をご提示いただきましたことに対し、憂慮する者として感謝を申し上げます。
「貧困ビジネス」の劣悪な住環境に一定の規制がなされる方向性については、実効性に懸念は残りますが、感謝申し上げます。
 しかし本省令案には、大きな懸念を表明せざるを得ません。
 誰かの人権侵害状況を回復するにあたり、その人が対価を差し出す必要はないはずです。人権侵害の責任は社会にあり、ご本人にはありません。無料低額宿泊所は、ご本人の侵害された人権を少しだけ回復するものです。さらに、定住の場で空間と時間とお金がご本人の管理下にあって、はじめて、日本が締結した国連の条約群にいう一人の人間としての尊厳が最低限に保たれた状態です。生活扶助費においてさえ、ご本人の管理が及ばなくなる可能性は、それ自体が問題です。
 現在の、滞在が長期化しがちな無料低額宿泊者は、実質的に施設です。そして国連障害者権利条約に照らせば、施設は施設であるゆえに問題です。また成年後見制度も、障害者権利条約に反しています。とはいえ適用は、医師や裁判官らの関与のもとで判断され、恣意的利用リスク対策は一応存在します。本省令案は、事業者による金銭管理が、あまりにも容易すぎます。
貴省におかれましては、人権侵害をなくすことを率先して志向していただきたく存じます。万が一にも「貧困層を収容する大規模施設」の便宜を図ったり、反・脱施設化を志向されないよう、心よりお願い申し上げます。

 以上を踏まえ、全体に下記内容での再検討と変更をお願い申し上げます。

1. 無料低額宿泊所に利用者を管理させる内容は、金銭管理を含め、すべて削除ください。ホテルは宿泊者を管理しないのと同様に、です。
2. 無料低額宿泊所が、何らかの脆弱性を持つ人々の施設化を推進することを危惧します。大規模施設ほど存続しにくくなる方向での規制をお願いします。
3. 無料低額宿泊所の定義は、縮小され限定されるべきです。本省令案のように、生活困窮者を受け入れる心あるアパート経営者までを新規に無料低額宿泊事業者とすると、一般アパートが施設化されます。日本の目指すべき方向は「脱」施設化です。

ノンフィクション中心のフリーランスライターです。サポートは、取材・調査費用に充てさせていただきます。