勝手に触れないで。


はじめまして、を書く前に、今日書いておきたい事がある。

数年前、結婚を機に田舎から某都市に引っ越してきた。

その後すぐ妊娠し、つわりが酷く、移り住んだ地域の開拓も出来ず、車も持っていなかった為、徒歩や電車で行ける範囲の中で生活の為の買い物や通院しかしてなかった、ちいさな世界でポツンと生きていた時の事。

臨月にさしかかり、お腹が重くて、歩くのが凄くゆっくりになっていた。つわりで何も出来ない日々も長く、体力も落ちてたので余計に遅かった。

それでも買い物に行かねばご飯が食べれぬと思い、せっせとお店に行った帰り道。

結構長い上り坂をせっせと登っていた。              あまりに遅いので何人かに抜かされた。

抜かしていったうちの1人のおじさんに坂の上の方で声をかけられた。

「随分ゆっくりだと思ったら妊婦さんだったんだね、若い人は盛んでいいね」

田舎では地域の人に話しかけられるのが普通だったので、私も普通に対処した。後半気持ち悪い文言言われたなと思いつつも…

「私の娘も最近産んでね、孫は可愛いわ」

娘さんの話をされて、私も気さくに「えー、そうなんですね!」と明るく返していたら、

急にお腹を触ってきた。

妊婦になってからお腹を触られる事は増えていたが流石に知らないおじさん急に触られるのは嫌だった、が、そーゆー悪気なく触る人もいるんだろうと思って苦笑しながらも対処してたら

今度はお尻を触りだした。ポンポンとかじゃない、撫でてきた。

完全に気持ち悪いと思ったので、苦笑をやめて緩やかなフェードアウトを装って、その時の私に出来る最大の早足でその場を去った。

家に着くまで頭の中では

(何今の、気持ち悪い、キモい、こわい、キモい)

家に着いてからは、怒りと悲しみがこみ上げてきた。

田舎でよくあるそれの様に、地域の人が世間話してきたんだと思ったのに、そんな風に油断させて、結果は白昼堂々ただの痴漢だった。

私が妊婦だったから、即座に逃げる事も、反撃する事も出来ないの多分分かっててやってきた、ひどく姑息な人間。


私のカラダに、勝手に触らないで。


私の性格なら、私が1人の身軽な元来の私だったら多分即睨むし、なんなら反撃に出てた。でも何かされて子供に何かあったらやだから何も出来なかった。

悔しくて悲しくて涙が出た。                               (娘さんの話が仮に本当だったら、娘さんが心底可哀想だとも思った)

それから私にとってその坂は出来れば通りたくない道になった。

家の近所で、最寄りのスーパーに行く道なのに。

渋々通らざるをえない時、必ず気持ち悪くなり、怖くて、後ろをチラチラ振り返りながら歩く様になってしまった。

2年半経った今もそれは変わらない。

それに加え、産後は赤ちゃん又は幼児という守るべき人と常にいるので、体は身軽になったけど、なりふり構わず反撃に出れる状態ではないので、この事があり、警戒心が凄く強くなってしまった。少し不安だと思う道はおじさんとすれ違う時ワザと怖い顔をしてバリアを張ってみたり。

文面にすると凄くバカバカしい。でもそうなってしまった。悲しい。

私の人生にこんな陰をつけた事も知らずにのうのうと生きてるだろうあのおじさんには、ありとあらゆる不幸あれと思っている。 

あの時どうする事も出来なくてモヤモヤとした気持ちは今も残っていて、その道を通ると色濃く出る。

そんな日々の中で、1つの光がさした。

シヤチハタという会社から痴漢抑止、又は痴漢逮捕に繋げる為のUV発光のハンコを押せる商品が試験的に発売された。

ツイッターで「痴漢には安全ピン…」という議論から派生したものらしい。(詳しくはツイッターを検索)

このニュース、とても嬉しかった。

これまで持ってたモヤモヤが、スッと晴れた気がした。

痴漢という犯罪に企業が本気で向き合ってくれた事。しかも痴漢の被害者の声を拾ってくれて。

このハンコで痴漢が逮捕されるされないに関わらず、この商品化の動き自体が社会に向けて、痴漢被害くい止めようよっていう風を1つ起こしてくれた気がして、それが、只々嬉しかった。

ありがとう、シヤチハタさん。

あの日の私が少し救われました。


(追伸 今は電動自転車及び車をゲットンしたので、あの道を歩く事はなくなったのでプロテクトは最強になっております。)

(追伸2.勿論他の街中の男性は子連れの私に優しく紳士な対応をしてくれる人も沢山います。その話はまた別の機会に。)


追記3

後から読んで見ると、自分の事で、自分のホントの気持ちなのに、何故か大げさに言っている様に感じる。被害にあった本人が被害内容を話して、そのままを伝えるのは中々難しいなと改めて思った。と同時に私の中にも偏見がある事に気づいた。


完。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?