ZIN-SAYのつづき

結論から言うと、転職活動を一旦リセットして、しばらくまた人生を休むことにした。

結局あれから、心身の調子は整わないものの、とりあえず流れに身を任せてみるかと条件のいい2件の求人に応募してみた。

あれよあれよという間に書類選考、一次、二次面接を突破し、あとは三次面接を残すのみというところまできた。一社はすでに内々定をチラつかせてくれて、このコロナ禍の転職氷河期になんてラッキー!と思った。実力ではなく、単にタイミングが良かったのだと思う。

給与、休日、通勤に関して理想的な条件で、何より二社とも地元企業のなかではかなり大手だった。揺るぎない安定。

けれども、本当にその待遇面や企業のネームバリューにだけ食いついて応募してしまったせいで、職種は前職の経験が生かせるものの企業のメイン事業はいずれもわたしの苦手分野で入社後の猛勉強は必至。よくわからない難しい資格も取らねばならないらしい。社風も非常にお堅くてどうにも自分にはしっくりこず。保障された条件に対して求められる結果もかなり大きく、採用されてもいないのに早々に負担を感じてしまった。

けれども、とにかく条件はいい。あれも買えるこれも買える。せっかくのチャンスを逃したらもったいない。娘の将来を案ずる母も安心するだろう。でも、ここでわたしは頑張れるの?でも、こんな気持ちで働けるの?と、自問自答の繰り返し。

そして、何よりやっぱりまだ、もう少しゆっくり過ごして心身を整えたい気持ちが大きかった。けれどもそんな甘えたことを家族や彼氏に言うわけにはいかないと思い、犬に「まだ働きたくないよー」と言って抱きしめた。わたしはちょっと泣いてしまい、顔を上げると犬はぼんやりした顔でこちらを見ていた。

ピンチはチャンスで、チャンスはピンチ。
目の前に急に現れた高待遇求人に、あっさり自分を見失った。何が優先して転職すべきかがわからなくなってしまった。なぜ前の会社を辞めたのか、これからは何のためにどうやって働こうとしていたかを、完全に見失ったままエントリーから選考が進み約3週間が経った頃、思考回路はショート寸前どころか、大きく火花が飛んで大爆発を起こした。回復してきていた体調も、精神面も振り出しに戻った。はー。

もういっそのこと、次の面接に落ちたほうがいいな、合格しても落ちたことにしようかな、などとまったく建設的ではない思考回路。

めそめそめそめそしていたところに、友人が声を掛けてくれた。これが本当に助かった。ガチガチに固まったら気持ちがほどけて、視界が開けた。やっと冷静になれて、自分の考えが整理できた。

結局、どちらの面接も辞退した。
どこかは妥協しなきゃいけないのかもしれないけど、少しも興味の湧かないことにエネルギーは注げない。冷静に考えたら、給与、休日、通勤以外の条件が合わないことは立派な判断材料で、絶対的に条件がいいという思い込みに至らないで済んだのに。はじめから、こうすりゃよかったんじゃんと思った。どれだけ視野が狭くなっていたんだろう。

大きな会社に入ることが最大の安定のような気がしてたけど、決してそんなことはない。
企業の規模なんてどうでもいい。お金は自分が食べていける分だけ稼げばいい。苦手分野と分かり切っていることに挑戦したくない。今のところ、そんな感じ。この先変わるかもしれないけど。

そんなわけで、またしばらく休む。一旦落ち着こう。
飲み始めた漢方がよく効いている。ちゃんとお腹が空くようになった。それだけで今はひとまずよし。

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