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一人称

しゃべりだしが遅かったわたしは3歳になっても発音がおぼつかなかったが、自分の名前を呼ぶときだけはっきり『下の名前+ちゃん!!』と言っていた。

基本みんなからちゃん付けで呼ばれていたから、今思えば、『ちゃん』までが自分の名前だと思っていた。我ながら可愛い奴だな。

おそらく幼稚園に通うようになってから、自分の名前は『〇〇ちゃん』ではなく『〇〇』なのだと知ったんだね。『ちゃん』をつけなくなった。


小学校に上がってから、友達といるときだけ『うち』と言うようになった。きっかけは思い出せない。一緒にいた友達の真似したのかな。

『あたし派』『わたし派』『自分派』色々いたけどその中から『うち』を選んだ理由、忘れた。まあ、あの頃は『カッコイイ!』と思ったものをすぐ真似をするタイプだったから『うち』もカッコよく思えた一つなのだろう。


小学校5年のころ。『下の名前+ちゃん』と自分を呼んでいる人のことをバカにした友達がいた。

『n美って、家では自分の名前にちゃん付けしてんだってさ笑』

『ええ〜笑』

周りもバカにしていた。

n美ちゃんはとにかくふわふわしていて愛らしい小柄な女の子だったのと、その子の名前も雰囲気にぴったりだったから私からしたら違和感なかったけど、こうやって馬鹿にされるんだな、と学んだ。

わたしはその頃まだまだ未熟で、クラスに馴染むことが大事だと思っていたから同調してしまっていた。けど内心ビクビクしていた。ちゃん付けはしてないものの、家では自分のことを下の名前で呼んでいた。外では『うち』とかカッコつけてるけど、わたしも人のこと言えない、と焦った。(『うち』がかっこいいのかどうかは置いておく。)


さらに数年後、あることに気づいた。

『うち』はあまり綺麗な言葉ではなく『わたし』が正統なのだと言うことを。なるべく直そうと思ったが簡単には治らなかった。そもそも『うち』呼びが気に入っていたため、直したいという意思がかなり弱かった。


学年が上がるにつれ、大事な場面では『わたし』を使えるようになったがやはり気を抜いたら『うち』が出た。

そして、家に帰るとどうやっても絶対『下の名前』。それは実は今日まで続く。

もう治らないし治すつもりもない。外でうっかり出ることは1000%ないし。

もしかしたら痴呆老人になったら制御不能になって出るかもだけどそれまではあと何十年もあるから多めに見て欲しい。

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