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2024年9月 売上ランキング / アンダーグラウンドはメジャー予備軍ではない

世界と隔離された3LAディストロの売り上げランキングを発表します。
我々の売り上げランキングとはアンダーグラウンドであり、アンダーグラウンドとはポップパンクバンド達の「メジャー予備軍」とは違う。高い壁のおかげで我々の文化は外圧から守られ、そして本当の意味でここにしかない音楽がこうして流通されている。その高い壁は私が作ったのではなく、我々が長い時間をかけて積み重ねた煉瓦で作られており、それを作ったのはあなた方なのだ。
(ちなみにこのランキングには3LAリリース作品は除いている、上位が3LAリリースで埋まってしまい、ランキングの動きがわからなくなるので)

  1. Gensenkan - 7 Songs

  2. MIRROR - VOICES

  3. Raein - A Collection of Splits and EPs 2004 - 2015

  4. Raein - Il n'y a pas d'Orchestre

  5. life - demo four


Gensenkan - "7 Songs" (CD)

メンバー自ら「売れてない」って言っているんだから言ってもいいと思うんだけど、全然売れてないらしい。しかし、3LAでは売れている。9月で最も枚数が売れたのがGensenkanだった。音源に対するreactionも無いみたいなことも言っていた気がするが、宇野常寛が言うように我々に必要なのは「遅いインターネット」であり、THA BLUEHERBのぼっさんが言うように「変化はじれったい」のである。詩を書く、詩を読む、という行為は動物的なリアクションとは違う。飲み込んだ後、身体に腹落ちしていく時間が必要な表現というものもある。

MIRROR - "VOICES" CD

そんなに売るつもりではなかったのだが、入荷枚数がオーダーと違っていたので在庫が想定より多くなってしまった。しかし結果的にその分オーダー数が伸びて(?)2位になった。レビューテキストに書いたとおり、おそらくもう若者には「通じない」タイプのインストロックであり、2000年代を本気で続けている中年だけが出せる味。だけど、この蓄積だったり生きてる経験、つまりはライフストーリーだけなんだよ、おっさんが出せる魅力ってのは。もし年齢重ねても流行追ってたら厳しいって。誰もそんな奴の音楽聞きたく無いんだよ。



Raein - "A Collection of Splits and EPs 2004 - 2015" (LP)

2000年代激情の中でも重要なスプリットばかりで、その組み合わせの相手の名前がこうして並ぶだけでもRaeinというバンドの凄さを物語っている。はっきり言って名曲を生み出すパワーがはんぱないバンドでどの曲もそれぞれに違った魅力がある。レビューには書かなかったが、こうやってリイシューされるタイトルが結局のところ、いまのレコード業界を支えているのかもしれない。



Raein - "Il n'y a pas d'Orchestre" (LP: Reissue)

こちらもリイシュー。そして、もはやオリジナル盤をリリースしたレーベルではないレーベルによって流通されている。このアルバムは本当に名作で、noteかyoutubeでも解説をやってると思う。収録された「Tigersuit」はルーザーとしての激情ハードコアを示した歴史に残る1曲だが、日本のGensenkanの前作EPの「Tomorrow」はまさにそれで、根本では繋がっていた。当時、ヨーロッパの激情が日本でも受け入れられていたのは、そのブルースのなさやクラシック音楽的な構成美・ハーモニーだったりという要素はもちろん大きかったのだけれど、US的ではない価値観はイタリア・フランスといった国から出てきたバンドにはあって、言語関係なく皮膚感覚で共鳴していたのかもしれないと思うのだ。


life - "demo four life" (LP)

まじで日本で入荷しているのは3LAくらいなもんよ。
life=人生、という名のデプレッシブEMOの名盤『DEMO 4』のレコード盤がついに完成。はっきり言ってここに込められている感情は最高だ。2020年代最高の激情の一種であるといっても差し支えない。とびきりショボい音質のみで構成される全4曲は、音楽の真髄はサウンドそのものではないのかもしれないと思わせるほどに美しく切ない。
全曲名曲であり、もう誰も追いつけない。


トップは日本国内リリースCDだが、3〜5位はレコードだったのもうちらしいランキングだったかもしれない。今じゃ1つの店舗でレコードが10枚も売れること自体が超レアケース(CDでもそう)
これからもメジャー予備軍に手を出さず我々のカルチャーを推進するべきなのだ。

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