「スラップ訴訟」を学ぶ③ 水道橋博士を勝手に応援するために
2022年10月16日
水道橋博士を勝手に応援しています。博士の議員としてのミッションであるスラップ訴訟禁止法制定への機運を盛り上げるため、スラップ訴訟について学んでいきます。
「スラップ訴訟」というワードで検索するとさまざまな情報に行き当たります。どうやら近年弱い者いじめの手段としてスラップ訴訟を用いるケースが増えているらしい。嫌な世の中になったものです。
さて、国会議事録検索サイトkokalogで検索したところ、2020年11月17日、第203回国会参議院厚生労働委員会の質疑において、石橋通宏議員(立憲)の発言でスラップ訴訟についての言及がありました。
この発言で紹介されている事例の詳細を知りたいと思い、いろいろ検索してみたのですが、具体的にはわかりませんでした。石橋議員は、厚労相に対し「事案共有させてもらう」と述べておられるのですが、事案共有してどうなるのか、次の機会への布石なのか判然としません。石橋議員のホームページでも、この件の記事が見つかりませんでした。詳細をご存知の方はコメントいただきたいと思います。ただ、スラップ訴訟の類型として、労働問題に関わるものが多く存在している事はうかがえました。石橋議員の紹介している事例に類似した労働問題に関わるケースは幾つも見つかります。
ここで紹介するのは、大阪の医療法人S会です。(詳細な内容紹介はできないので、ここでは実名はさらしません。少し調べていただくとすぐわかります。ぜひ調べてみていただきたいと思います)S会では、その劣悪な労働環境から長年労働組合との間で争議となってきました。組合側は、コロナ禍での一時休戦を図りましたが法人側は応じず、逆にスラップ訴訟にでた、という事例です。労組のブログに経緯が簡潔にまとめられていますので、一部を伏せた形で引用させていただきます。
この件では、組合側が府労委に対して救済申立てを行い、医療法人側の行為が不当労働行為にあたる、との命令が出されています。
医療法人側が裁判を起こす権利よりも組合活動や労働者の権利が認められた内容となっています。(その後医療法人側が命令の取り消し訴訟を提起、それに組合側が反訴し、現在も係争中です)
この件では当該の医療法人が、労働組合を訴えるのではなく、労働組合員3名を個人として訴える、という手段に出ており、明らかに組合活動への支配介入が意図されています。なんとも恐ろしい話です。
スラップ訴訟禁止法では、このケースのような公益性のある事例での意見表明に対する制約を意図して裁判という手段に訴えることを禁止していく事が求められます。現実にはアメリカの一部の州などで実際に法制化されています。
いろいろ学んでいくと、いわゆる名誉毀損で本当に権利が侵害されている場合に、それをスラップ訴訟という事で、裁判を受ける権利を損なう事になるのではないか、との疑問点が出てきました。考え方を整理出来るよう、学者の方の論文も読んだりしています。段々と私の頭では手に負えない感じになってきましたが、もうしばらく事例探しと紹介の旅を続けます。
*岡山大学教授吉野夏己様の「スラップ訴訟と表現の自由」という論文を参考にさせていただきました。
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