見出し画像

全力で押したいダジャレ #毎週ショートショートnote

 先日、健康診断を受診したところ、我が肉体が悲鳴を挙げているらしい。妻にこの結果を伝えたいが、深刻な雰囲気になってもいかん。ここは日ごろ磨いてきたダジャレの能力を活かして、全力でダジャレで押していこう。扉を開けてただいまを告げると、いつものように小さな声でお帰りなさいと言う妻に向かい、俺は大きな声を張りあげた。「胃と肝臓がいかんぞう!」

 大事なことをダジャレで伝えてくる旦那を持つと、気持ちが疲れるわ。早速入院の手配をしなくては。でもあの人なりに不安を感じているのよね。今日もシジミの味噌汁を食べながら、いつもは言わない感想を言うんだから。でもそれもダジャレだったけど。「しみじみとシジミを食べる」って何言ってんだか。


 例の患者が煩わしいって?まあ大目にみてやりなさい、先は長くないようだから。ダジャレが好きなんだって?だったら、これから辞世の句ならぬ辞世のダジャレを考えるといいね。「粋な洒落で逝きなしゃれ」ってね。


本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です。

(410文字)



たらはかに様の企画に参加させていただきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?