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「HEIWAの鐘」と「一本のえんぴつ」

2022年8月6日

今日8月6日の朝、カーラジオで広島の平和祈念式典の中継を聴いていた。広島市長に続き岸田総理のあいさつがあったが、岸田さんのは内容もイマイチであり、話ぶりも出来が悪かった。ラジオで声に集中したことにより、尚更そのように感じられたのかもしれない。岸田さんの声は、どこか苛立ちと落ち着きの無さを感じさせ、心を打つものがなく、唯一の被爆国の首相のものとしては随分落胆させられるものだった。

 このnoteでは「コペル君withアヤ先生」さんの記事で、「HEIWAの鐘」という合唱曲が紹介されている。

私とは世代が違うので、全く耳にした事の無い曲であったが、「コペル君withアヤ先生」さんの記事に惹かれて初めて聴いてみた。実に素晴らしい曲であった。おすすめの動画洗足学園大学の合唱もとても良いものであったが、同曲をYouTubeで探すうちに出会ったアフリカの若者たちの合唱によるものにも大変感動させられた。この曲の素晴らしさと、曲をめぐる考察について、ぜひコペル君withアヤ先生の記事をお読みいただきたいと思う。
 素晴らしい曲を教えていただいた返礼として、美空ひばり「一本のえんぴつ」という曲をご紹介したい。昭和世代でも美空ひばりは好き嫌いが別れるもので、フォークやニューミュージックもしくは80年代の洋楽ブーム世代ではどちらかといえば忌避されてきた存在である。私自身、美空ひばりの凄さを認識したのはここ10年ぐらい。この「一本のえんぴつ」という曲との出会いに明確な記憶がないが、元々広島平和音楽祭というイベントに向けて製作された楽曲であり、8月のこの時期にラジオで流れてきたものを聴いたのでは無いかと思う。少し長くなるが以下に歌詞を引用する。

歌:美空ひばり
作詞:松山善三
作曲:佐藤勝

あなたに 聞いてもらいたい

あなたに 読んでもらいたい

あなたに 歌ってもらいたい

あなたに 信じてもらいたい


一本の鉛筆が あれば

私はあなたへの 愛を書く

一本の鉛筆が あれば

戦争はいやだと 私は書く

あなたに 愛をおくりたい

あなたに 夢をおくりたい

あなたに 春をおくりたい

あなたに 世界をおくりたい


一枚のザラ紙が あれば

私は子供が 欲しいと書く

一枚のザラ紙が あれば

あなたをかえしてと 私は書く


一本の鉛筆が あれば

八月六日の 朝と書く

一本の鉛筆が あれば

人間のいのちと 私は書く

この曲はやや変則的なワルツで、美しいメロディに反戦の明確な想いが込められている。近年はスタンダード化しているのでカバーも多くあるが、個人的にはやはり美空ひばり本人歌唱の原曲を推したい。美空ひばり自身が戦前に産まれ、戦争により悲惨な経験を余儀なくされた世代であり、その想いが結晶化しているように思う。
 また、この曲の詳しい来歴については、TAP THE POPというサイトにおいて、音楽プロデューサーでノンフィクション作家である佐藤剛さんの『「一本の鉛筆があれば戦争はいやだと私は書く」と美空ひばりが歌った反戦と平和の歌』というコラムに詳しいので、ぜひ探して読んでほしい。


どうやら、この国の首相には、自らの使命として反戦反核を世界に向けて訴える気概も覚悟も無いようだ。
私たちは自分の手で戦争は嫌だ、と書き続けねばならない。ここnoteでのコペル君withアヤ先生のように。

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