ライブ翻訳から一晩明けて想う / 20200611

黒人記者が語る「抗議デモ」と「人種主義」 知らないうちに、死んでるのかもしれません | アメリカ - 東洋経済オンライン

昨日分のnoteで書いた通り、小沢健二主催の「ライブ翻訳」セッション(という名の孤独な協業)に「翻訳者」の一人として参加しました。

今日アップロードされた記事で採用された翻訳や、小沢健二さんの反応ツイートを見るに自分は「素人」枠で採用してもらったということを改めて理解しました。

いや、それにしてもまず言いたいのはこの訳はすごい。自分が「うわこれどうやって訳すんだろ」って見てたその「壁」を越えてくる人、回り込む人、壊す人、小さい穴をあけてすり抜ける人、いつの間にか向こう側にいる人…。技を見せつけられた感じ!

いや、ほんとに自己紹介に「英語出来ます」とか書いたのが恥ずかしくなるような、凄い、メモに書いてあった指示をしっかり体現しているような、万歳したくなるようなフレーズがたくさんある。

そして誰がどこを訳したのかが分からないのが良い。
この感じはデモ隊が街を進んでいく感覚とリンクするかもしれないなんて思った。一人一人の力は小さいかもしれないけど、それらが集まり、デモ隊が大きな力となって、雪崩れ込んだり、物事を変えていったりする。だけれど、それは特定の誰かがひとりでやったわけじゃなく、かといってその中の誰かが大活躍したことは確かで、という感じ。

そしてそして、その人だかりの中に自分の横顔を見つけたときのように、その中にちょこんと自分の頭が汗かいて捻りだした文章のパーツが佇んでいるを見つけたときは、思わず体温が上がった。心が躍った。胸ドキリン。

なので、個人的な印象としては「人だかり」のような翻訳だなあ!なんて思ったり。

一方で、実は翻訳された記事は、まだそれほどしっかりと読み込んめていません。というのも、(決して悪い意味ではなく)英語で原文を読んだ時と印象が違ったから。

昨夜、翻訳するにあたってその真意を探ろうと何度も何度も読んだ、その英文から受けた印象と、日本語に翻訳された文章では、同じこと言っているようで、違って響いているような気がしたんですよ。
よくミュージシャンとかが同じエレキギターでも、日本の電圧と海外の電圧では鳴り方が違う、なんていうのを聞くけれど、そんな感じかもしれない。

めっちゃざっくりいうと、「英語だとめっちゃスッと入ってきたけど、日本語にすると変な違和感があってちょっと飲み込みづらい部分がある」みたいな感じ。あと逆もある「英語だと引っ掛かったけど、日本語だとスッと読める」。この違和感の正体ってなんだろうなー、何か他に正解があるような気がするけどこれ以上の正解ってそうそうないよなー、とか思ってると全然読み進められない笑。
(※単語の重複とか、足したら良さそうな単語とかそういう些末な気づきは多少あるけど、そういうことじゃなくもっと根本的な表し方とかの話)

でも、ほんとにこれは悪いことではないと思っていて、これがきっと本業の翻訳家の方々が戦ってるものなんじゃないかな、と思ったり。それがきっと「翻訳する」ということの大変で大切なことなんだろうな、と。

「黒人差別・白人至上主義」を起点とする「制度的人種主義」という問題について、「黒人記者が英語で日本人に書いたものを、日本語に翻訳して、人種主義について問題視していないひとに届けて、響かせる」ってこれ相当難しいぜ!(今更)

もちろんこの記事が今、某芸能人の不倫のニュースを読んでいるぐらいの多数の人にしっかり読まれて、それぞれが気づきを得て、自省して、調べて、考えて、行動が変わってってなればいいけど、実際そこまで一気に駒が進むとも考えられず。

となると、こういう機会をもらって頭ひねって手を動かせた自分とか、Twitterライブでじっくり90分この話を聞けた人とか、この記事をたまたま見つけて読んでソワソワしてる人たちとかが、いま知ってることや、これから知ることを元に「自分の考えを変えて」(昨日のTwitterライブのキーフレーズ)いくしかないですよね。

ここで注意したいのは、私がいくら小沢健二大好きラブラブ愛し愛して生きるのさ人間だからといって、ことこういうトピックについて小沢健二の言う通りの考えを身に着けなきゃいけないわけじゃないということ。むしろ小沢健二とタイマン張って愛をもって違うことには反論を、好きなところには「いや、まじ、ほんと最高っす、あの、ほんと」を言えるような人間になりたいな、ならなくちゃ、絶対なってやる。

↑この山、高すぎて登れる気がしない笑。

だって「抗議デモ」について触れてる文章を翻訳するために、「即席のリモート翻訳デモ隊」を収集するって考えて実行しちゃうひとなんだぜ。素敵やん?

とりあえず、このBaye McNeilさんの記事は明日も明後日もその先も、英文も翻訳日文も読み返してみよう。時間をかけて。時間軸を曲げて。

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