小沢健二さん主催のライブ翻訳に参加した話 20200610

(申し訳ございません。昨日のブログになります。)

そして時は2020…

2020年6月9日の17時3分に小沢健二さんがこのツイートを投稿。
「和訳に参加したい方」を募集していることを把握。
(よく見たら「英文和訳」とは一言も言っていない笑)

2秒後に跳び上がり、6秒後にはメールソフトを立ち上げていました。

メールには自己紹介と自己アピールを書きました。正直そういうのメチャクチャ苦手だけどやるしかない。小沢健二さんのファンです。英語出来ます。人種主義について~。今回の企画について~。是非参加したいです。など書きました。

英語出来ます!と大言壮語を吐いてみたものの、翻訳は素人だし、ネイティブでもないし、専門性があるわけではないし、普段やってることといえば「小沢健二の英語ツイートを小沢健二の口調に訳す」という、どちらかというと「小沢健二のモノマネ」のほうに重きを置いた英語の使い方をしているので不安である。でも参加したいのである。「あ、英語で自己紹介書いたほうがよかったのか?」など不安も襲う。

しかしもうメールは出してしまった。メーラー・ダエモンさんが代わりに返事してくることもなかったので、正しく届いていることを祈る。

参加できると決まったわけではないのに、予習を始めたりした。
このトピックの英語に脳を慣らすため、Black Live Matter関連の記事を検索して音読してみたり、関連するWikipediaの記事を読んでみたり。RomneyがBlack Live Matterを支持していることもここで知った。ついでにDaniel Radcliffeがトランスジェンダーについて語っている記事も読んだ。そのまま寝落ちした。

6月10日早朝、参加者発表は17時と発表。

朝から、もうこの企画に参加したい気持ちが募りすぎてソワソワソワソワした状態で過ごした。「参加出来なかった場合に自分が慰める言葉」を山のように用意したりしながら。

そして時は16時59分。

60秒後には17時

17時…来ない…
17時1分…来ない…
17時2分…来ない…
17時3分…4分…来ない…
17時5分…6分…7分…こ、来ない…

来なかった…そっか…

気を取り直して、その時取りかかっていた作業に戻る…
そしてふと携帯を見ると、メールボックスに赤い①の丸数字が…

考えるよりもタップする方が早かった。

来た…!翻訳に参加してください的な文言のメールが来た!

メールには「原稿」と、そのほかにTwitterライブでも触れてた「翻訳者へのメモ」が添付されてた。Amy Cooperの話が書いてあるやつ。

即印刷して、齧り付くように急いでゆっくり読む…うわあBaye McNeilさんのこの原稿おもしろーい……はやくみんなに読んで欲しーい…

どの部分の担当になるか分からないので、取り急ぎ、はじめから最後まで読みながら、分からない単語やフレーズに蛍光ペンで線を引いて調べておく。ほんとはその横に自分なりの訳で意味とか書いておくと後々いいのだろうけど、夕飯を作る(片手間だったからめっちや手抜きメニューでごめん家族)ために、蛍光ペンで線を引くのが精一杯。でもおかげで文章の大意がつかめてきた。

「うわー、ここおもしろーい。どういう訳になるのかなー」とか「ここはリズムとか頭韻とか、英語として完成されすぎてるから和訳無理じゃね?」とか「えっ、ちょ、えっ、わかんね…えっ、どゆいみ?むず…」とか言いつつ楽しく読んでたところにこのツイート…

33人!多いのか少ないのか分からない!!とりあえずプロの方が居るなら安心(?)だなとか、「33人分の原稿まとめるの大変そうだな」とかは思った。そこで急に襲い来る不安…訳し終えられるのだろうか…90分の間に、っていうか「90分の最後に記事をアップ」するっていってたから、早めに送らないとダメだよなあ…

徐々にめっちゃ怖くなったので、ウォーミングアップすることにする。
19時30分頃にパソコンの前に座り、冒頭の書き出し(Martin Luther King Jr.の演説)を訳してみる…

むっっっ…ず…ざっとやってみたものの、文法をあんま碌に知らない「なんとなく英語」な私の場合、ちゃんと構文を理解しているかは怪しいし(してない)、出来た文章も日本語としても読みづらい…そして「翻訳者へのメモ」ともにらめっこしながら…うーむ…これは…

ええいままよ、練習あるのみだ。本番直前に言うセリフではない。とりあえず自分がどの部分の担当になるかわからないので、ページをグリグリとスクロールして止まったところをやってみる…

この時に集中するために、周りの音(子供がポケモン見てる音とか)を遮断するために、音楽を流すことにしました。何かいい音楽はないかな、と5秒考えて即決でした。

小沢健二「毎日の環境学 Ecology of Everyday Life」

小沢健二さんが2006年にリリースしたインストのアルバム。小沢健二さんが社会的な話題を扱った童話「うさぎ!」のサウンドトラック。ぴったりすぎる。毎日の環境学聴くと頭がよくなった気がする(頭のわるそうな発言)
※アルバムが約1時間で、この練習+本番90分=約2時間なので、アルバム約2周しました。

そうして翻訳練習始めたのは本文はBayeさんの言葉。お、ちょっとキング牧師よりはやりやすいかも。なんでだろう、Bayeさんの日本人に語り掛ける口調の親近感も影響してるかも。決して簡単じゃないし、「メモ」に書いてあったことを意識しつつ…なんてやりながら一段落分、また訳してみる…見返して見ると誤読に気付いたり、単語の重複があったりして、なかなかシュッとしない…

そんな時、人間が追い込まれた時、奇跡が起きることは稀で、例えば突然翻訳の能力がぐーんと上がるなんてことはなく、実際には普段やっていることに立ち返るしかないのである。飛びついたのは「小沢健二モノマネ」。もう小沢健二に喋っていただく作戦である。

私は脳内に初音ミクのように小沢健二朗読ボーカロイドをインストールしているので(※妄言です)、出来上がった翻訳文を一度「脳内の小沢健二ボーカロイド」に朗読いただく。小沢健二さんの朗読では支離滅裂なことや、分かりづらい構成で話されることは決してなく、また流れの悪い文も登場しないので、そういったイマイチな部分を読み上げてみると違和感がすごい。なのでそこを直す。おおっ、前より良くなった気がする…。(※全く主観的な個人の感想・やり方です)

そうこうしているうちにTwitterライブが始まった。
画面開いたときにはまだ誰も話していなかったけれど、もし小沢健二さんの声が聞こえたら、絶対そっち聴きたくなっちゃうし(だって絶対に面白いから!)、あとついつい小沢健二ボーカロイドのサンプル収集モードにもなりそうで、翻訳に全く集中できないことが火を見るより明らか、ということで音声OFF!!!あとから聴いたら「33人はコレ聴きながらがんばってるでしょう」って言ってた。すみません。聴いてませんでした。

あっ、メールも通知が!!!
開けると翻訳を担当する箇所が指示されてる!!!やるぞ!!!

確認すると「あっ、ここの翻訳出来るか分からないけど、Bayeさんがノリノリなのが伝わってくるな」と思ってた箇所立ったので嬉しかった。

正直翻訳していた時の記憶が飛んでいる。担当箇所をとりあえず単語やフレーズを調べながら訳してみて、脳内で小沢健二さんに喋ってみてもらい、違和感を修正し、メモを見返し、その内容に沿うように修正し、また見返してみて、今度はBaye McNeilさんのお顔(写真を拝見した)を思い浮かべながら読んでみて、やっぱりまたメモを見返して、修正して、みたいな繰り返しだった気がする。文法的にどういう構造なのか、分からないなりに頭を捻っている時間も結構あった気がする。

自分の担当パートは20時45分ごろに送付。その後、担当パートが終わった人への指示に沿って行動。そうこうしているうちに21時30分になり放送が終了。

こういう時にこそ、やっぱり思いますね。「普段から英語や人種主義についてもっともっと勉強しておけばよかった!!」。本当に思いました。

あとMステでも小沢さんが「自分の手を動かすと仕組みが分かる」「自作最強」(大意)とおっしゃっていた通り、今回自分の手と頭で「翻訳」の真似事みたいなこと(しかも時間制約付き!)をやってみると、本業の「翻訳」をやられている方がマジで凄いということがお腹のゼリーで分かるし、同時にこの文章を自分で書き上げたBaye McNeilさんがとんでもなくめっちゃ凄いということが、体感として、お腹のゼリーが震えすぎて液状化してドロドロに流れ出るぐらい分かった。

あと翻訳してるとめっちゃ孤独!笑
生放送やハッシュタグ実況がめっちゃ盛り上がってるっぽいのを横目に、それをスルーしてひたすら原稿と訳文と睨めっこ。でも33人が大なり小なりこの状態で頑張っているのだと思うと、ひとりなんだけれどひとりじゃない、、という感じ。

送ってからも「本当にこれ届いてるのかな」という不安が。

あー、でも生放送聞きたかった…パソコンにデータが履歴で残ってて巻き戻しとかできないかな、とツイートをガチャガチャ触ってたらアーカイブがあることに気づきました。ありがとうございます。消されるかもしれない前に皆さんも聴きましょう。

小沢健二さんの喋る英語をガッツリ聞きたいと常々言ってきたので(去年のライブのオープニングでちょろっと喋っただけで歓喜してた)、めっちゃたくさん聞けてヨダレ出た。この中のBayeさんと小沢さんの英語のやり取りもめっちゃ良いので、みんなで訳したりしたら素敵だと思う。

なんて思いながら、記事がアップロードされるのを待っていたら午前3時になっていたので寝ました。

そして…

そして時は2020…

2020年6月11日12時40分

記事が公開されました。

【黒人記者が語る「抗議デモ」と「人種主義」】 知らないうちに、死んでるのかもしれません - 東洋経済オンライン

絶対読んでくれよな!

まず自分の担当箇所を見る!おおっ、明らかにここは自分の書いたものがベースになっている!すごい!届いてたんだ!(まずはそこ)

日本語で読んだ感想。やっぱり内容的にスッと入ってくるものではないけれど、これをじっくり腰を落ち着けて全部一気に読んでみてほしいということ。

この文章は、どこか一か所を切り抜いてバズるようなものではなく、360度全包囲からじんわりと温めるように、日本での and / or 日本人にとっての「Black Lives Matter」との向き合い方についてBaye McNeilさんが話せることを話しているので、分からないところは↓の英語の原文と照らし合わせてみたり、読んでみるのがいいと思います。自分もまだ何回も読まないといけないと思っています。

最後に、この機会を与えてくださったBaye McNeilさん、小沢健二さん、東洋経済ほか支えてくださっていた方々、本当にありがとうございました。どれぐらいお力になれたかは分かりませんが、とってもドキドキする体験でした。脳がとってもたくさん汗をかきました。「人種主義」について、もっといろいろと思考して、「自分の考えを変えて」いきたいと思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?