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『BAD LANDS バッド・ランズ』舞台挨拶

※映画のネタバレを含みます。ご注意ください。

10月7日土曜日に映画『BAD LANDS  バッド・ランズ』の舞台挨拶に行ってきました!
舞台挨拶に行けることは滅多にないし、映画も面白かったので、書かずにはいられませんでした。
最初にも書いていますが、映画のネタバレもあるので、まだ観てなくてネタバレしないで!という方は、映画を観てから読んでいただけると嬉しいです☺️

まず、この映画の舞台挨拶にどうして行きたかったか、という話を...
私は高校に入学したぐらいからHey! Say! JUMPの山田涼介さんの大ファンで、テレビドラマを欠かさず観て、Hey! Say! JUMPのLIVEにも行っています。
初めはかっこいいなぐらいだったのですが、色んな顔や作品を観ていくうちに、山田涼介さんの演技の虜になりました。
山田涼介さんの魅力についてはまた別の機会に...
こんなに大ファンな山田涼介さんが関西を舞台にした映画に出演し、関西に舞台挨拶に来るということで、何年分かの運を使ってでも行きたい舞台挨拶でした。

まずは、映画鑑賞。
この『BAD LANDS  バッド・ランズ』という映画。
原作は黒川博行さんの『頸草』という小説で、『燃えよ剣』や『検察側の罪人』などを手がけた原田眞人監督が映像化した作品です。
私は原作を読んでいないのですが、原作の主人公は男だったそうです。
映画では主人公橋岡ネリは安藤サクラさん演じる女性として描かれています。
原田監督の、「主人公を女にしても面白いんじゃないか」という話を原作者黒川さんが快諾したことによって実現したそうです。

ーあらすじー
“<持たざる者>が<持つ者>から生きる糧を掠め取り生き延びてきたこの地で、特殊詐欺に加担するネリと弟・ジョー。二人はある夜、思いがけず“億を超える大金”を手にしてしまう。 金を引き出す…ただそれだけだったはずの2人に迫る様々な巨悪。 果たして、ネリとジョーはこの<危険な地>から逃れられるのか。”(https://filmarks.com/movies/110181)

終始ハイテンポで、気を休められる時間がなく、143分あっという間でした。
大阪の西成区や、中之島など、大阪に住む私からしたら聞き馴染みのある地名ばかりで、劇中でも関西弁が飛び交っているので、実在しているのでは?と感じてしまうほどでした。
原田監督の過去作品で、山田涼介さんも出演していた『燃えよ剣』。その主人公土方歳三役だった岡田准一さんが友情出演し(岡田さんは原田監督の『ヘルドックス』も主演)、『燃えよ剣』の劇中セットが今回の映画にも登場。山田涼介さん演じるジョーが「なんか懐かしい感じがする」というセリフを言うなど、原田眞人監督×山田涼介さんのファンとしては嬉しい演出でした。
安藤サクラさん演じる橋岡ネリは生きにくい世の中でも生き抜き、力強い部分もあれば、弱い部分もあり、綱渡りのような人生を送っている人です。
ネリの強い部分を演じる時と弱い部分を演じる時の安藤さんの表情は全く別人で、その表情に何度も引き込まれました。
そして、山田涼介さん演じる矢代ジョーは犯罪歴もあるサイコパスです。姉であるネリのことが大好きでネリのためならなんでもしてしまう、切なく危険な人物です。
ヒットマンを頼まれ、ターゲットを襲う時に銃を構えた手は人を殺すことなんて本当にできるのか?と思うほど弱々しく震え、でもネリのために人を殺す時はなんの戸惑いもなく強いジョーでした。
ジョーを演じた山田さんは、表情の演技がすごいこともそうですが、今回、細かい動作や声の演技が特にすごく、ネリと話す時のジョー、他の人と話す時のジョーなど、目をつぶって聞いていても作品の中に引き込まれそうです。
この2人の掛け合いの場面なんて、何時間でも観ていたくなるような、本当の姉弟の会話を覗き見ているような気分になりました。
そして2人を中心に、周りの登場人物がより映画の中に私たちを引き込みました。
宇崎竜童さん演じる曼荼羅もこの姉弟2人を描くのには必要不可欠ですね。
姉弟の悪事に加担する前に言った、「誰かに頼られて死にたい」という言葉が私には刺さり、曼荼羅自身の元相棒を殺してでも死ぬ前にネリに頼られたいという気持ちが、ネリが小さい時から知っていて面倒を見ていた曼荼羅のネリへの愛情に感動しました。
そしてその後、ネリが自由になるために、ジョーが胡屋賢人殺しを考えていた時も、曼荼羅がジョーの背中を押し、曼荼羅とジョーのネリへの狂った愛情にも心動かされました。
ネリとジョーが昔を懐古する時に、コーヒーに砂糖を入れ、最後の1粒が溶けるまでかき混ぜながら話すシーンも印象的でした。

映画鑑賞後、原田眞人監督、安藤サクラさん、山田涼介さんの3人が登壇する、舞台挨拶が行われました。
映画鑑賞直後に制作者、出演者から作品のことを聞けるなんて夢みたいな時間です。
その時に出たお話をいくつか...

原田監督作品はその時に自然に出たアドリブを本当に大切にしていて、アドリブが多いという話も聞きますが、今回も多くのアドリブが本編に採用されているそうです。
ネリとジョーの何気ない会話だったり、仕草だったり、アドリブ満載の演技だったそうです。
中でも、ジョーが高城を殺すシーンの直前に、ネリは高城に、倉庫からスピリタスを持ってくるよう頼まれます。
ネリは倉庫に行き、ダンボールからスピリタスの瓶を1本取り、戻ろうとしますが、瓶を落として割ってしまいます。
映画鑑賞中は、ジョーの高城殺しをいいタイミングで目撃するための時間調整でこういう演技なんだと思っていましたが、舞台挨拶で裏話として、手が滑って本当に落としてしまったというお話を聞きました。
本来ならNGが出るところ、失敗したものが本編に使われていて、安藤さんもびっくりしたそうです。
このひとつの動作があるかないかでネリの実在性が変わる気もします。

そして、終盤のネリと徳井のアクションシーン。
中盤のシーンで、スピリタスを飲む時は火気厳禁、という前振りがあり、徳井とのアクションでタバコをつけた徳井にスピリタスをかけ火傷をおわせます。
このシーン、ネリがスピリタスを徳井にかけてから曼荼羅とジョーが駆けつけて徳井を撃つまで、長回しの1カットだったそうです。
ネリがスピリタスをかけて鞄を取りに行っている間に徳井が怪我の火傷のメイクをし、逃走しようとするネリに追いつき、追いかけるが、ネリからの応援メールを見て駆けつけたジョーと曼荼羅によって撃たれてしまう。
ここまでの流れを1カットで...
緊張感漂う、スタッフと役者の信頼関係あってのシーンだと原田監督が自慢げに話していました。

映画を観終わってすぐに撮影の裏話や作品への思いを聞くと、そのシーンを思い出してより作品がすきになりますし、その話を踏まえてもう一度観たくなってしまいました。
こんなに長々と書いてしまいましたが、滅多にない舞台挨拶付き上映に、それも『BAD LANDS  バッド・ランズ』という作品の特別な会に参加出来て、感動でした。
私にとってこの『BAD LANDS  バッド・ランズ』が特別な映画になりました。

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