金沢雪中行軍記―蓮ノ空の地を歩む【蓮ノ空舞台巡礼】
1. 旅立ちとそれに至るまで
沼津の地で育った私が金沢の地を踏むのだ。
2023年11月26日、当時まだリンクラを始めていない頃に、X(旧twitter)のFFの方々から金沢の蓮ノ空舞台巡礼に誘われた。なおリンクラのインストールは3日後となる。
一応地元は沼津なことから興味を持ち視聴を始めたラブライブ、その最新作の舞台巡礼とは楽しそうだと快く承諾した。丁度転職と重なり、それまで余裕がなかった蓮ノ空を追い始める丁度いいチャンスとも思えた。金沢とは如何なる街か見てやろうとも意気込んだものである。
主催者はさやかちゃん推しなのも相まって期日は誕生日に合わせた1月13日~14日となった。その間に蓮ノ空の重厚な物語に心打たれ、また年明けの地震を不安視しつつも石川県に貢献するいい機会でもあると燃えたものでもある。地震は他人事ではない土地の育ちだから。
金沢に着いて出迎えてくれたのは鼓門。「『蓮ノ空』でも各メディアでも見るこの門本当にこんな門なんだ!」と月並みな感想が浮かぶが、間近で見るとダイナミズムに溢れる柱の構造に感嘆させられる。スキューを描く個々の柱の並びは静止しているにも関わらず動的な印象を受ける。訪ねられた方は是非近くで観ていただきたい。
2. 一日目 ― 金沢市街の散策記
その後XのFFの方々と合流した。ラブライブ以外の共通の時計趣味(ここは割愛)も兼ねて駅~香林坊を訪ねる中での素敵な街並みにもまたまた感激。『せーはす!』でも紹介された近江町市場のお店は無論、ハントンライスに金沢カレーのお店と地元のグルメもより取り見取り。
山中塗に輪島塗、九谷焼に硝子細工。加賀友禅の展示もある。伝統様式から近現代のそれに至るまで、加賀・能登の工芸が集積している。ハイブランドの宝飾品を扱うお店や高級時計のブティックなどハイソサエティなお店も目立つ。割と何でも揃ってますね。
歩く中で結構な雪に降られた。これも沼津周辺では見られないが函館なら見られるかな。おっと話題が別作品に逸れた。
それにしても新雪の中を歩くのはいい年して心が弾む。雪は街の音をかき消し静謐な空間をもたらすが、歩き出せばザクザクという音と振動が軽快なリズムで鼓膜と靴底を打つ。
お昼の時間帯になり雪にまみれながら『グリルオーツカ』さんを訪ねる。旅も前半でいきなりハントンライス。飛ばしていこう。
ケチャップライスにオムレツにフライにタルタルソースにケチャップ……「洋食」の概念を抽出したようなお料理だ。誰もが知ってる洋食のミックスのようで、ケチャップの酸味とタルタルソースのまろやかさの組み合わせは中々予想できない味わいで面白い。
標準サイズさえ成人男性である私にも中々ボリューミーで、一回り小さい物を頼んでもよかったかもしれない。
ハントンライスを出すお店は金沢市内のあちこちにあり、お店ごとの伝統やアレンジがあるそうだ。乗っているフライもお店により異なるらしい。グリルオーツカさんはハントンの「トン」の語源 (?)のマグロのフライを乗せている。マグロのフライってのは意外と珍しい、気がする。このnoteを読んだ皆様も是非ご賞味下さいませ。
その後は駅前に戻り蓮ノ空ゲーマーズも訪ねた。しかし金沢で買うぞ、と意気込んでいたリンクラのファンブックは見当たらず。後日生活圏の書店に残っていた最後の一冊を確保した。
当たり前ではあるが蓮ノ空ゲーマーズには『ラブライブ!サンシャイン!!』のグッズも並んでいた。氷点下近い気温、降り積もる雪、面する海は日本海。沼津と何もかも違うこの地で雪中行軍の果てに沼津を見た。隊長、あの書店に見覚えがあります。
夕食はまた街に出て『キッチンユキ』さんのカレーとした。金沢カレーは全国的に広まっているとはいえ、地元に根差したお店を訪ねるのは旅の醍醐味である。
夜は旅の仲間とさやか誕配信を祝うことに。駅でお酒を買い込んで飲む。こんな佳い日を素面のピクセルで過ごすわけにはいかない。
そして皆でさやか誕を祝う。さやかちゃん最年少なのにしっかりした方ですよね。『Runway』は衝撃でした。スクステで向かって左側から中央まで歩く作り込みも『期待』を越えてきました。
金沢駅で買える『金沢駅BEER ハトムギエール』は私のイチオシ。お酒が好きな方は是非飲んでみてくださいませ。私はやや温めにして風味を重視して飲むのが好きですが冷やしてキレのある味わいにするのもよきかなと思います。
3. 二日目 ― 北陸の古都と美術と工芸品
翌日はひがし茶屋街を訪ねた。リンクラで見た風景そのままの古い街並みである。ここに限らず金沢は京都と比較されがちだけど、坂があり碁盤目状ではない路の作りは京都とは異なる印象を受ける。そもそも朝廷とも幕府ともある程度の距離を置きつつ文化振興に尽力した加賀藩は別物であって当然なのだ。
工芸品展の『玉匣』さんでは郷土玩具『加賀八幡起上り』を購入した。八幡さんの赤子の姿を模した愛らしい起上りこぼし。綴理先輩のお部屋のそれは絵付け体験の作品だったっけ。
蓮ノ空の舞台としての最後は兼六園となった。冬季だからこその「雪吊り」を見ることができた。周囲は滑りやすく歩きにくいが坂を活かした雅な風景が臨める。次はアメンボの季節に訪ね梢先輩の迷演に想いを馳せたい。
その後は石川県立美術館・同歴史博物館の周囲を巡った。惹かれるスポットだがとても巡れる時間は残らず次の目標とした。最後に駅構内で工芸品や銘菓をお土産として、旅の仲間との再会を願いつつ帰路についた。
4. 旅の終わり
頭では理解していたがそもそも金沢は日本有数の観光地。風景、建築物、工芸、美食に圧倒された次第である。特に私は工芸品の類が好きな身であり、その点でコンスタントに良い刺激が得られる街であった。
とはいえ控えめに言って不完全燃焼である。『いっぷくや』さんも『ひら井』さんも訪ねていないのだ。美術館や博物館も訪ねていないのだ。卯辰山も訪ねていないのだ。一泊二日で廻りきること自体がとても無理な話なのだ。
今や「加賀友禅こらぼ」が始まっている。本節の副題は「旅の終わり」だが旅は再び始まる、いや始めないといけない。
美景に美食、伝統工芸。花帆さんたちはこんな街で暮らしているんだなと思うと羨ましくなる。頻繁に外出できないかもしれないけど。
このnoteを書いている時点で、美術館巡りしたさにもう一度日帰りで訪ねている。今後も何度も訪ねることでしょう。
一応シリーズ別作品の舞台で育った身なのに金沢を推すのは地元を裏切るようで少々後ろめたい。でもまあ沼津にはヨハネもカナンも在るんだからユダがいるくらいはいいでしょ。
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