見出し画像

【ネタバレ有】すずめの戸締まり キャラクターから見る考察感想



2022.11.11 すずめの戸締まり 公開おめでとうございます。

ネタバレ含む考察感想noteです*
読まれる方は鑑賞後をオススメします。

また、考察のみ読みたい方は目次から考察のところまで飛んでください◎

鑑賞前

ある日朝起きると友達から「起きたら幸せだね♡おめでとう!」とLINEが入っていて、なんだ?世界変わったか?自担の松村北斗に何かあったか?と思いTwitterを開くと、新海誠監督の新作アニメーション映画に声優として出演することが決まっていた。

寝耳に水とはまさしくこの事だ。


君の名は。や天気の子で有名な新海監督の作品に、まさかのオーディションで選ばれたとあり、嬉しくて朝刊を買い漁ったのは言うまでもない。


早速小説を買って読んで、プロモーション動画を見たり、YouTubeや雑誌を読んだりして期待を高める中で、私の中に変化が起きた。


最初こそ、ファンとして愛してやまない自担松村北斗が、大好きなあの声で声優をするから。であった楽しみが、雑誌やTwitterのスペースやYouTubeで新海さんの作品への想いを読んで聞く度に、それはどんどん変化していった。

物腰が柔らかく、優しさが伝わってくる。
声のトーンや表情。君の名は。を観たことあるとは言え、名前しか知らなかった私が初めて新海監督という存在に触れた。
じんわりと包み込むような、あたたかく柔らかい空気感に、人として尊敬の念を抱いた。
小説を読めば事細かな描写。映画のような壮大な世界がそこには詰まっていた。

想像力が豊かと言われたら人並み程度の私なので、ところどころ想像することも難しいと思う描写もありはしたものの、それはフィクションであり、ある種のファンタジーであるが故に、致し方ないもので。それでも、小説の中に出てくるミミズの描写なんかは、文章を読むだけで脳にしっかりとその色形や蠢きが想像できるほど細かくわかりやすく表されていた。


いつからか、声優初挑戦の松村北斗の声を聞くためというよりも、映画自体を楽しみにしている自分がいた。

公開日

2022.11.11
すずめの戸締まりのサントラがapplemusicで公開されていて、それを聞きながら公開初日に鑑賞すべく、映画館へ向かおうとしたものの、先に聞いてしまうのは勿体ないと感じて、すずめとカナタハルカとSixTONESの8thシングルの合わせて5曲をリピート再生しながら向かった。

同じく松村北斗を好きな友達と共にスクリーンを前にする。

前日から楽しみにしすぎて高揚感が止まらず、観に行きたくないと思ってしまうほどの感覚を感じていた。
今から目の前に繰り広げられる新海誠ワールドを受け止めれるのだろうか。(松村北斗の美声を浴びて生きていられるのだろうか)そんな気持ちに押しつぶされるかと思った。


冒頭12分。
すずめの戸締まり
とスクリーンに映し出されるまでの間。
大きなスクリーンにめいっぱい広がる日常と非日常。青、緑、白、映像美。
予め公開されていた冒頭12分。
観ていたものの、それはまるで別物のように感じた。勿論、家のTVで観たときも、感動したし美しく思ったけれど、大きな映画館のスクリーンで観ることに意味をしっかりと感じた。


すずめと草太の出会いの12分。
私の身体はゾワゾワと震えた。

キャラクターを元に考察や感想



現代に生きるすずめは、どこかきっと自分が身を置くところに後ろめたさがあるのだろうし、生きたいという思いも生きる理由も本当のところはないのかもしれない。
誰もが知る2011年11月11日。東日本大震災。被災したすずめは母と死別した。

物語の中で草太に「君は死ぬのが怖くないのか?」と聞かれた際にすずめは「怖くない」と即答し、言い切った。彼女にとっては、寝て起きて迎える明日に希望がない。育ての親である叔母のことはきっと感謝も大切にも思うところはあるのだろうけれど、40そこそこの叔母が結婚せずにいるのは自分のせいで、自分が叔母の人生を奪っている。もしくは狂わせたとでも思っていてもおかしくはない。

母の死に目に会えなかった。すずめの母、つばめは看護師で人を救う仕事だ。怪我を負った人を見捨てることができずに津波にさらわれてしまった可能性まで考える。

母の背中を見てきたすずめは、母を追うように看護師を目指している。けれどそれはあくまで母の背中を追っているに過ぎない。看護師という仕事がしたくて将来に希望を持っているようには見えない。どことなく、闇を背負った雰囲気がどこにも語られるわけではないけれど伝わってくるのだ。

 
恨む相手もいない。憎しみも、罵倒も投げかける相手がいない。それが災害だ。自分の中にぐるぐると渦巻く負の感情。どこにもぶつけられず、僅か4歳のすずめは高校生になった。
泣いても喚いても母は戻ってこない。叔母や友達を心配させたくないという想いで形作られた彼女。しかし、心の扉は固く閉ざされたままだ。

叔母の環がそれを理解していないとは到底思えなかった。実姉を失い彼女もまた悲しみを背負っている。実姉の娘であるすずめを育てていくことを決断するのは、それもまた容易ではない。けれど自分が引き取らなければ、身寄りのないすずめはどうなるのだろうか。その先を想像し彼女は決断したのだろう。もう彼女は自分の人生など投げ打っている。環に想いを寄せる稔の好意に気付いているのかもしれない。しかし、そこに身を委ねることなど、環の選択肢には無い。

すずめの母つばめは、強く逞しい女性だ。昔なら、母子家庭は引け目を感じ、世間から冷たい目で見られることも少なくは無かった。今でこそ珍しくもなく、強く生きている女性は多いものだ。(私もそういう環境で育ってきたし母には感謝しかない)
今回つばめの夫の描写は無かった。死別したのかもしれないし、離婚したのかもしれないし、元々結婚もしていなかったかもしれない。
けれど、すずめの戸締まりにおいて、それは語られる必要がない。論点はそこにない。大切な人の存在が人を強くする話だからだ。

つばめはすずめのためにイスを作る。そのイスはすずめの宝物でつばめの形見となり、草太の入れ物となる。すずめの戸締まりにおいて重要なイスだ。

小説で語られる、「すずめは何色が好き?」「黄色!」とすずめが選んだ色。こういう何気ないことがすずめの中で幸せだった記憶を色濃くしている。
「一生大切にする!」とすずめが言ったイス。
その、一生大切にするイスは大切だと後に想う人の仮の姿となる。

つばめは最期にきっとすずめのことを想っただろう。最愛の娘の安否も分からずに死にゆく。それが災害だ。つばめの最期を想うと涙なにしには観られない。


すずめがイスの姿になった草太と旅をしていく中で、出会う女性たちがいる。

千果はすずめと同い年の普通の女の子。等身大で、彼氏が大好きだけどうちの彼氏こんなんなのよ!男ってさー!なんて大人ぶったりしている姿がなんとも可愛らしいし女子高生らしい。
丁度高校生はこどもと大人の狭間だ。
身体も心も大人になりかけるタイミング。
けれどまだこどもらしいところもある。
そういう姿が上手く表現されている。

彼女は理由もなしにすずめを受け入れて、多く話もしないすずめを信用して手助けしてくれる。ふたりが親友になるのに時間なんて要らなかった。
すずめは九州にも友達はいたが、何の事情も知らない千果があたたかく包み込んでくれた。その出会いはかけがえなく大切なものになっただろう。
また、一宿一飯の恩義が印象的だ。
千果とふたりで皿洗いをし風呂掃除をするシーン。
それは、千果の両親が伝えたことなのかもしれない。環がすずめのことをそう育てたのかもしれない。どちらにしても、高校生だからと言って無銭で飲み食いはできない。優しさに甘んじてはいけない。つばめさん、すずめは色んな人に助けられ、立派に育ってます。と伝えたいシーンだった。


女手一つで子どもを育てる女性。
スナックのママ、ルミもそのひとりだ。
双子を育てながら、スナックを切り盛りする。
明るくて陽気でつらさなんて見せやしない。双子のこどもたちは、伸び伸びと暮らしている。やんちゃ盛りだけど、あのやんちゃ具合を見るからに、ルミは育児として叱るところは叱り、伸びやかにさせるところはそうさせているのだろう。
ハスキーボイスな伊藤沙莉さんが声を務めたのはきっと酒焼けの表現かなとか、そんな細かな設定も面白かった。

重要なキャラクターのひとり、いや1匹にダイジンと呼ばれる猫が登場する。クリクリで大きな目にふわふわもこもこの白い毛が愛らしい。右目の周りが黒いのが特徴で。人間の言葉をしゃべり、時には人間の姿に化けているようだ。
最初はすずめと草太と追いかけっこするように楽しんでいるだけのように見えるダイジン。時にはふたりの前に現れ、「ミミズはまだ出るよ」などと煽るように言って姿を消す。

ダイジンは何者か。要石でありネコであるのは周知の事実だが、この作品における当て馬だと思っている。
要石の姿から助けてくれて、煮干しをくれて、「うちの子になる?」と優しい声で笑いかけてくれたすずめのことを大好きになった。
要石になって同じ場所にいるだけなんてつまらない。楽しいことがしたい。大好きな人と一緒にいたい。ダイジンは、神の領域にはいたっていない。自分の仕事なんてそこそこで遊びたい!自由に生きたい!そんな人は身の回りにもよくいるのではないか。
しかし、ダイジンはそれでも要石(元)であり、神の存在ではあっただけあって賢い。
まだ出会ったばかりのすずめと草太のこれからを察知したのか、草太の家業を知っているのか、草太をイスの姿にしてしまう。
「お前は邪魔」というセリフ。すずめの一目惚れみたいなところを知っていたのかもしれないし、自分を元に戻す存在だからなのかもしれない。前者であれば確実に恋のライバルだ。


終盤、ダイジンに案内されて扉を見つけたすずめが「今までミミズが現れるところに案内してくれていたの?」と言うセリフがあったが
今まで追いかけっこして煽っていたと思っていたのは間違いで、ミミズが出る場所を教えていたのだから、自分が投げ打った仕事であるんだけれども、今まで守ってきたこと。責任感というものは彼の中にもあり、負い目を感じていたのだろう。それよりも自由を取ったダイジンなんとも人間くさい。猫だけど。


「すずめはダイジンのこと好きじゃなかった」
予想だにしなかったのだろう。優しくしてくれたすずめは自分のことが好きだと疑わなかった。そのすずめに拒否されて、絶望した。
両想いだと思っていたのに!!!ふわふわもこもこの毛並みが一気に細く削がれて、意気消沈。
ダイジン失恋の巻。(こじらせ男子かもしれない)

けれど、すずめのことを嫌いになることはできなかった。宮城に向かうために車に乗り込んだすずめの隣に、「うるさい」なんて言って俺は気にしてませんけど?なんてツンとした素振りでしれっと陣取る。きっとここまでもつけてきたのだろう。しかしさすがに猫の足では車には追いつけず乗り込んきた。めっちゃ未練がましい!!!
人知れず、すずめを助けようと案内しようとしているのだろうけれど!!(可愛いしかないな)


ダイジンは最後すずめの身代わりとなり要石に戻る。(元に戻っただけではあるが)
「かわりに私が要石になる!」と大切な人を守るために自分が身代わりになると言うすずめに心を打たれたのかもしれない。又は素直にそういうものとして受け取ったのかもしれない。

それならば、大切なすずめのために自分が要石になると。憎めない当て馬だ。猫だけど。
長旅ですずめは大切な人ができて、変わった。自己犠牲なんて16歳の女の子ができるはずがない。
全ては、「草太さんのいない世界が怖いです」
それに尽きる。彼女は失いたくない大切な人に出会えた。そして、ダイジンもまたすずめが大切だということ。

一途で素直であざとい当て馬な猫ちゃん。


サダイジンは謎に満ちていた。東京の要石。ダイジンのように要石でいたくなかったのか?環が口走ってしまった言葉。ダイジンの威嚇。悪者のように見えてその後はダイジンと共に車に乗り込み、宮城のミミズを抑える手助けをする。

それならば、どうして環はあのとき、あんなことを口走ったのか。
「あなたは誰?」「サダイジン」のすずめと環のやりとり。環の言葉は環のものであって、けれど環の意志に反しているようにしか見えなかった。「どうして私はあんなことを言っちゃったの」と、芹澤に伝えていた姿からどうしても私にはヒートアップして口に出した言葉には思えなかった。

きっと環は、すずめに「うちの子になろう?」と伝えた日。自分の人生を投げ打った思いは頑なで、それなのにどうしても人間だから湧き出てしまう疎ましさ。1mmでもそんな感情が顔を出す自分に嫌気がしただろう。けれど、何があっても口にしないと頑なに決めていた。
だからサダイジンに言わされた言葉に焦りを感じたし戸惑った。一生言わない自信があったからこその「どうして」
大好きな姉の大事な娘である姪のすずめを傷付けたくなかった。

話はそれたが、サダイジンは味方なのか敵なのか。
私の感想としてはサダイジンはどちらでもない。
自分の務めを守るだけだ。
もしかしたら草太の祖父には心を寄せているのかもしれない。恩があるのかもしれない。
ふたりは何かしらの縁があるようだ。

サダイジンはどうにもならないダイジン(右大臣)を連れ戻しにきた。環の1mmの本音を吐き出させたのはサダイジンだ。ダイジンへの牽制だろう。
お前が戻らなければお前の大切な人を傷つける。
手っ取り早いし、それしか手段は無いようにも思えた。または、自分の務めのためなら手段を選ばないとも言えるし、サダイジンからしたらすずめは関わりもないのだから理解できる。
ダイジンは戻りたくないからなのか、すずめを傷付けた怒りなのか威嚇から戦闘態勢に入るも体格差が大きい。この体格差は要石としての年数の違いだろう。恐らくサダイジンはダイジンよりも前に要石となり、しっかりと役目を勤めていた。ダイジンよりも神に近い存在、または既に神となっていた。
ダイジンが守る扉の場所は廃墟としてもまだ明るく白い扉は新しい。また、サダイジンが守る扉は古めかしく大きくそびえ立っていたのも、2匹の要石としての歴や格の違いのような気がする。

要石は場所変える。その度に要石も変わっていたのかもしれない。
ダイジンはあっという間にサダイジンに敗れる。
しかし、まだ要石に戻るつもりは無い。機会を見ている。そして、すずめの自己犠牲、ダイジンの身代わりに繋がるのだ。

草太の家業である閉じ師は師という字が付くことからもわかるように誰でもなれるものではない。草太の祖父が師匠であることからも、閉じ師になる為の修行等があるのだろう。語られはしないが彼の生い立ちも十分気になるところだ。
彼もまた親がいないのかもしれない。すずめと似た生い立ちから閉じ師になることを決意したのかもしれない。家業であるならば彼の父親が閉じ師になっていてもいいのだから。何かしらの理由があるように思う。
すずめが千果たちに話したことから、すずめの生い立ちを知り想像することは草太にとって難しくなかったはずだ。そこに、彼は親近感みたいなものを感じたかもしれない。
師匠であり祖父の宗像羊郎は、要石になった草太を表面上では嘆くこともなく「しくじったか」と言って事実を受け入れた。(心の中では嘆いていたかもしれない)

羊郎と草太の関係性は先述したダイジンとサダイジンの関係性によく似ている。
長年閉じ師をしていた羊郎の閉じ師としての責任。自分の人生の掛け方。
それに対し草太はまだ閉じ師としての歴は浅い。
要石となる覚悟が持てずに"ここまでなのか""生きたい""死にたくない"と咆哮する姿。

となれば、ダイジンとサダイジンも元は閉じ師で猫の姿になり要石となった可能性まである。
閉じ師の行先は要石である可能性もある。
閉じ師の中でも選ばれた人が要石になるとして、サダイジンと羊郎が面識あるのも納得が行く。

神木隆之介くんが声を務める芹澤は、すずめの戸締まりという物語もすずめと環の空気感も重くなりすぎないようにするために重要な人間だ。
チャラそうに見えて実は友達思いだし、熱い男だと思う。人は見かけによらないをそのままあらわした男だ。

その他覚え書き


ここまでキャラクターを通してすずめの戸締まりについて自分の感想考察を書き連ねたが、その他のことについても覚え書きとして書きたいと思う。


まず、相変わらず映像美がすごい。
ジブリにはジブリの特有の色があるが
新海誠作品には新海誠作品の特有の色が確立されている。雨が地面に当たる時の美しさがとくに印象深かった。緻密で美しい。



涙腺を刺激するカナタハルカや、十明さんの透明な声が綺麗なすずめは鑑賞前から聴いていたが、映画に上手く効いていて素晴らしかった。
他の音に関してもサントラを聴いて2回目3回目の鑑賞でもっと印象深くなるのだろう。
(ごめんなさい処理が追いつかない)


松村北斗の声は、ファンとしてしか感想が持てないのが悔しいぐらい素敵だった。新海監督が彼の声を鮮烈だと表現してくださったことを嬉しく思うと共に共感した。今までも彼の声には魅力を感じていたのだが、今回初めての声優。しんどかったこと苦しみもあっただろうけれど、確実にその努力が生み出した声だった。
彼が言うように勿論新海監督たちによって演奏された声ではあるのだろう。けれど、真摯に向き合い丁寧に整えて、、ストイックな彼だからこそ宗像草太の声は生まれたと思う。
小説を読んだ時から祝詞のシーンなんかは、これを松村北斗の声で聞けるのかと歓喜した。
祝詞のシーンも勿論ものすごく素敵だったけれど、個人的には草太が「死にたくない生きたい」と悔しい声を出す時の声があまりにも素晴らしく、涙腺は崩壊した。感情が乗っている。



すずめの原菜乃華さんの声は、ナンバMG5というドラマに出演されていたときから綺麗で可愛い声だなぁと思っていたのだけれど、(彼女このドラマでの怒る演技が素晴らしすぎた)今回それが際立っていて、上白石萌音さんや森七菜さんのような透明感のある綺麗な声に憧れて真似るも自分の声に戻すことになり苦労したと言っていたが、十分透明感やハリがあり美しい声だった。間違いなくヒロインの声だし、間違いなくすずめは彼女しかいない。

もうね他の人もすごく素敵だったんだけどやっぱり神木隆之介くんは凄いわ、、、、歌声はすごく神木隆之介だったけど(あれはわざとだな)ほんと彼は何色にもなるなと、、、、



個人的に好きなシーンとしては、やはりすずめと草太の掛け合いのシーン。富士山見れなかった!と怒るすずめに対して、え、そんなに見たかったの?という雰囲気でごめんごめん。とあしらう(?)シーンや、左、右、昇ってみたいな指示するシーンも、もうごめん!ファン目線になるけど囁き声たまらない!!笑

失礼いたしました。
「次は私!」「きみはダメ」というやりとりも、すずめに乗られて「踏んでもいい?」「乗る前にいえ!」と2人の間柄が親しくなってきてるところも、可愛らしかった。
個人的なツボは、ルミたちにすずめが焼きうどんにポテサラを入れると言った時の草太の「えっ」です。

さいごに

命がかりそめだとは知っています
死は常に隣にあると分かっています。
それでも私たちは願ってしまう。
いま一年、いま一日、いまもう一時だけでも、私たちは永らえたい!
小説 すずめの戸締まり 新海誠

すずめと出会って死ぬのが怖いと思えた草太。
草太と出会って、草太の心の声を聞いて私もそうだよ。死ぬのが怖いと思えたすずめ。
ふたりは出会い、生きたいと思えた。

命はいつ絶えるかわからない。明日かもしれない数秒後かもしれない。理不尽な何かに奪われるのかもしれない。いつなんどき、何が起こるかなんて誰にもわからない。
だからこそ、今を大切に今日を生きて、明日を生きていく。家族、恋人、好きな人、大切な人が増えれば増えるほど、失うのが怖いし、死ぬのが怖い。けれど、命は限りがあるから、かりそめだから。ひとつずつ大切に噛み締めて、扉を閉めるように鍵をかけるように、過去を過去だと受け止めて、明日へ進まなければならない。
大切な人を失っても、生きる希望が見えなくても、どうか生きて。どうか、息をして。生きていれば、また大切な何か、又は大切な人に出会えるはずだから。どれだけ苦しくても生きて欲しい。

そんな想いが込められてるような気がしてならない。


初見の感想おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?