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手のひらのうえ

まわり、まわり、まわりつづける

いくつかの音を立てて
幾千の色をなして

いくつもの余韻を残し
次から次へとやってくる
わずかよっつしかない季節は
その変わり目も手伝って
万華鏡のように色鮮やか

お前は、
天使の矢が恋人たちを射抜く
そんな季節に産まれたのだ
この地球に、大宇宙に

あれからいま時は流れて
お前はとうに忘れてしまっただろう
この世に生まれ落ちたばかりの感情を

お前は確かに人間だった
均しく美しく尊い存在
もうすぐ天国から使者が参る
その者に伝えるがよい
我が人生は素晴らしきかな、と

鱗状の雲が彼方まで続いている
朝日が差すこの部屋で
お前は物思いにふける
愛しきもの
それは辺り一面を覆う霧深い朝の光景
それは一日の終わりを告げる漆黒の闇
それはじりじりと身を焦がす太陽の光
それは身を引き裂くほど凍てつく寒さ

空想の世界から届いた一通の手紙を
お前は後生大事に抱きかかえ
今日という一日のすばらしさを
心の底からかみしめる

まわり、まわり、まわりつづける

誰にも止めることのできない時、そして季節

お前は季節に踊り、踊らされつづけるのだ

まわれ、まわれ

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