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SCJ主催「#スポーツを止めるな2020」登壇者の言葉をまとめてみた(主観そして意訳あり)

 5月30日(土)、一般社団法人スポーツコーチングJapan主催のイベント「#スポーツを止めるな2020」が行われました。その簡単な概要と、各登壇者のコメント(抜粋、主観、そして意訳)を載せていきたいと思います。
 主催者側の人間なのに、学んで笑って感動しての繰り返しでした。


 スポーツを続けたい高校3年生がプレーの動画を投稿し、それを拡散することで大学のリクルート担当に見てもらい、チャンスを広げることを目的に始まった「#止めるな」活動。
スポーツの競技を超えて「スポーツの価値向上」を掲げて活動をしてきたスポーツコーチングJapanとしても、この動きに賛同し、競技を超えた動きの拡がりをつくるために何かできないかと考え、このパネルディスカッションを企画。

【経緯】

・コロナの影響により、大会が相次いで中止
・大学側から「選手を探すことが困難になっている」との声
・選手側も「アピールする機会を逸してしまう」事態に
両者を繋ぐために何かできないか模索する中で、先導して動いていたラグビーと、同じ課題を感じていたバスケが一緒に動き、「#ラグビーを止めるな2020」「#バスケを止めるな2020」が始動
選手側が#をつけて動画をSNSにアップし、受け入れ側がそれを見て、リクルーティングに動くという図式
・以後、さまざまな種目で「#止めるな」活動がスタートし、横断的、包括的に活動を促進し合うため、「種目を問わない取り組みができるプラットフォーム」であるSCJが主催となり、今回に至る

以下、登壇者ごとにコメント内容をまとめました。(時間軸はバラバラです。ご了承ください)

廣瀬 俊朗氏(ラグビー)

・ただリツイートするだけでなく、一言添えて発信することで「見てもらえている」と感じてもらえればと願っている。自分なりのアプローチで、応援することが大事
・今、こう言う時だからこそトップアスリートが動くことが必要。今動かないでいつ動くのか。そういう思いがある。今、競技の枠を超えて、皆で、スポーツをやる価値や意義を発信すべき
・過去にスポーツをやっていて、現在はビジネスパーソンとして活躍している人の事例とかも面白そう。スポーツに取り組む意義を波及できる
掛け合わせが大事なので、例えば僕と宮田さん(バスケ)が対談したりするのも、発想が広がって良さそう。お互いのスポーツに興味を持つきっかけにもなるので
・自分で発信するのはちょっと、、という意見もありそうなので、他薦も面白そう
【最後の一言】「今日のイベントを通じてスポーツが一つになっているなと。そういうメッセージを発信できているのが良くて、こういう部分がスポーツの価値でもあると感じています。あとは、メディアをどう使うかという部分、いつどのように身につけたら良いのかな?と思いました。メディアリテラシーというか。早いうちから学べるよう変えていく必要があると思いました。今日はありがとうございました。」

野澤 武史氏(ラグビー)

・最初の段階で高校120〜130箇所くらいに活動の呼びかけを行った。そして大学側にも40〜50箇所に呼び掛けた。腱鞘炎になるくらい電話した。開けて「はいどうぞ」では動かない。怒られてもいいから先に動こうと
桐生第一高校ラグビー部の霜村誠一監督がすぐ動き、実際にリクルーティングにつながったことが引き金になった
・今までも選手を多く見てきたつもりだったが、この活動で出てきた選手の2/3は知らなかった。テクノロジーを駆使することは重要
・ラグビーの温かさの後押しも好影響。応援してくれる人がいる。勝手にまとめサイトを作っている人がいたり。トップ選手が学生の良さを解説したり。愛を感じた
動画が事前にアップされていると、リクルーティングに繋がりやすい
【最後の一言】「これを見てくれている選手がいるとしたら、勇気を持って動画をアップして欲しいと思います。サポートしてくれる人がいます。いつも思っているのですが、利他心を持ち社会に貢献していくことが大事だと思っています。その活動の主人公になり切って、本気で考えて動くことが肝だと思います。大山さんの言葉を借りると、幸せになる、ここが皆さんにとってのゴールだと思うので、そこに向けて自分に何ができるのかを考えること。今日がそのスタートになれば嬉しいです。ありがとうございました。」

最上 紘太氏(ラグビー)

・コロナの状況は誰も経験がなく完璧な打開プランは作れない。できることから、走りながら、仲間を増やしながらやっていくことが大事
・メディアを巻き込み拡散する重要性はあるものの、選手達そして学校、チームが自ら動いてこそ活動は促進されていくと思う
・スタート時にバスケと一緒に動けたことは成功要因の一つだと思っている。ラグビーは去年のW杯で成功していて、ラグビーだけが・・・というのももったいないと思った。苦しいのはどの種目も同じなので、競技ごとに様々な形で動けるよう、良い意味でパクリ合いながら進められれば
・全てに共通しているのは「動画がたくさん上がることが大事」という点。リクルーティングにもつながるし、モチベーションも上がる。安心して取り組める場があると良いのでは
【最後の一言】「これを見ていただいている人たちは、各種目のファンだったりとか関係者の方だと思いますが、この場で他の競技の話を聞くなど、種目ではなくスポーツという一つの単位で、横串を通して見てもらえたのはとても良かったと思います。僕自身もたくさん発見がありました。ここにいるメンバーはもちろん、今日この場で活動を知っていただいた方が、できることに取り組んだり、力を合わせていくことが大事だと思います。ありがとうございました。」

​羽賀 龍之介氏(柔道)

・中高生に関しては、SNSで自分発信、自分をマネジメントする感覚がまだ少ない。今後は、リクルーティングに限らずそのアクションができるよう支援していく必要があると思う。
・ただ、自分も現役なので自分の練習がいつできるのかという部分にエネルギーを注いでいた。単数では限界があるのでやはりいろんな人を巻き込んでいく必要性を感じている
・ラグビーの活動が素晴らしいので、ウカウカしていると良い人材がラグビーへ引き抜かれてしまう・・・笑。負けないように!
・何を言うかも大事だが、誰が言うかも大事な状況だと思う。現役選手として責任を持って動きたい
【最後の一言】「改めて、自分の未来を切り開くためには自分で行動することが大事で、その手助けをできるのが現役選手だったり大人だと思う。想いを拾ってあげたい。できることを僕自身に問いながら、そして今回のような横のつながりを大事にしながら活動したいと思います。本日はありがとうございました。」

​吉田 耕平氏(ハンドボール)

・(教師として)SNSがどれだけ怖いかということを伝える役割がある。ここに一つのハードルがあるのは間違いない
・自分が現役の時はビデオを撮って動画を送ったりしていた。現状の学校教育では、こういう主体的な動きを育む部分で難しいところもある。しかし、その中でも自分で切り開くことの重要性を生徒達にも伝えているし、そうなって欲しい
・大会が中止になり「このくらいで幕引きかな」という空気を感じる。最後の大会を大人が設けようとしても、あまり乗ってこないというか。スポーツの魅力をどう伝えるかという課題を再認識した
・学校教育で学ぶこともあるが、スポーツだから学べることもある。直接的に人と関わらないとできないことだから。そこをしっかりアナウンスしたい
・この活動を通じて、ハンドボールでも実際にオファーが発生した。これは素晴らしいこと。そして皆さんと知り合えた。本当に良い機会。うちの高校にもラグビーで良い選手がいるので、廣瀬さんや野澤さんにきて欲しい!笑(廣瀬さんはドラマに出て値段が上がっているので、野澤さんへ依頼を!!笑笑)
【最後の一言】「いろんな話を聞いて、まずはハンドボール人として皆さんに負けないような、愛される競技にしていく、その未来の部分に触っていきたいです。体育の先生としては、生涯にわたってスポーツを楽しむ資質を育むという文科省からの言葉がありますが、そこを試されていると思っています。右向け右の教育ではダメだと。生徒に対しては、自分の扉は自分で開くんだという意識を、先生も持つし、生徒にも持ってもらいたいと願っています。ありがとうございました。」


宮田 諭氏(バスケットボール)

・選手として次のステップに行けるチャンスは残念ながら平等ではないので、受け身評価ではなく能動的に動く力を身に付ける必要があると感じている。今回で言えば自ら動画をどんどんアップしていくなど
・これはスポーツに限った話ではないので、コロナをきっかけにそういう視点を持ち、主体的に動く流れを構築できれば
・早くスポーツをやりたいと思ってもらえるような発信を、個人としてだけでなく団体としても動きたい
・トライアウトも、従来の集まって行うやり方は難しいので、映像ハイライトを使って実施することも検討している。今日のような活動が広がれば、巻き込めると思っている
【最後の一言】「自分の好きな競技をどんな形であれ続けて欲しい。ここにいる皆さんもトップアスリートであるけれど、スポーツからいろんなことを学んで、今日のような発信だったり、考えを持つに至っているのだと思います。トップレベルを目指すわけでなくとも、スポーツから学べることは本当に多く、僕自身スポーツに育ててもらったので、スポーツを通じて、好きなことを続けること、それを続けるために他のことも頑張れるようになって欲しいです。ありがとうございました。」

村上 成氏(バスケットボール​)

・競技によるリクルートの違いを感じた。動画投稿が進学につながるリアリティが乏しい印象
・支えたい、応援したいという動きはあるが、肝心の高校生選手からの動きが少ない。大学でもバスケやりたい人は、属人的なルートでなんとかしている
・自ら動画を使って売り込み、トップリーグで活躍している人もいるので、その人達を媒体に取りあげたりしながら活動促進に寄与したい
・水面下で起きている素晴らしいアクションをメディアがしっかり取り上げることによって、それを皆が知り、既成事実となっていく。それが僕の役割だと思っている。この場のような明るい話は、取り上げるべき素晴らしいこと
【最後の一言】「メディアの立場として。インターハイ予選の途中とかで活動が止まり、切り替えて勉強しようとか。また公式戦を進学のチャンスと捉えていた学生も多いと思います。でも、まだまだ諦めずに、今回のような自分でアピールすることで道が拓けるような、そういう選択肢もあるし、それを支援している人たちがたくさんいるということをメディアとして伝えて行きたい。この場の皆さんがそれぞれの競技、そしてスポーツ全体に対してアツい想いを持って取り組んでいることも分かったので、それも全て伝えて行きたいと思います。ありがとうございました。」

大山 加奈氏(バレーボール)

・バレーでの浸透や広がりはまだまだ。バスケと同様にトップ選手は独自にリクルーティングを行っていて、動画が進学につながる実感が湧いていない印象。学校やチームでSNSを禁止しているところが多いのも、波及が遅い要因かもしれない
・一方でリクルート側は、情報が取れないから過去の映像を見ているとのこと。動画アップしてくれたら絶対に見ると言っているので、バレーを続けたい人はどんどんアップして欲しいと思う
・親御さんから「子供がバレーから離れてしまっている」と。モチベーションを上げるためにも「見てくれている」と感じてもらえるよう動きたい。現役選手の役割はとても重要なので、呼び掛けたい
・収束したら現場に出向いて、直接指導したりなど、地道な活動を重ねていきたい。あと、試合の映像をもらって、実況解説をつけて送り返してあげると、喜んでもらえると思う。春高に出ないと実況つけてもらえないので。宝物になると思う。そういう喜びを通じてハッピーになってもらえたら
【最後の一言】「本当に勉強になりました。これをきっかけに、動画をアップして欲しいし、それだけじゃなく自分の良さに気づいて、自分のことを好きになって欲しいと思います。頑張っても良いことがなかったと思う時もあるけど、そんなことはないです。頑張ってきた自分を褒めて、認めてあげて欲しい。今は難しいけど、皆さんのところに会いに行って、喜んでもらえることができたらと思います。一緒に頑張りましょう。ありがとうございました。」

​石原 由美子氏(チアダンス)

チアダンスは表現のスポーツなので、少し違う側面がある。コロナの動きがなくても、SNSで発信する流れがあり、大半が女子なのでインスタの方が利用率も高かった。そして「ポジティブな表現がチアの本質である」ことを再認識できた。ここは本当に良かったと感じている
・プロが無いので、リクルーティングよりは、今だから何かできることはないかという視点での活動が活発に。(オンラインレッスンなど)
・「元気付ける、盛り上げるため」と言った前向きな発信が増えてきたので、「#チアを止めるな2020」とつけて、全国のチアリーダーが一つにまとまり、さらに活動が活発になるよう取り組んでいる。今は#が一人歩きをしていて、全国的に盛り上がりを見せている
・大人として、自分たちが愛するスポーツを、そしてそれをやっている子どもたちを守っていくために皆さんがどのような取り組みや発信をしていくのか、興味がある
【最後の一言】「チアダンスという専門領域でのお話が中心になりましたが、個人でもチームでもインスタにアップするのが元々盛んなスポーツだったので、他の競技ではそういう文化がなかったことが驚きと気づきでした。表現するスポーツだからこそ、そこを育成してこれたという確認ができて、今後も自信を持って取り組めると思いました。そして大人がスポーツを諦めてはいけないと思うし、子どもたちのスポーツをやりたい気持ちを掬ってあげるスタンスで、皆で協力して活動できたらと思います。ありがとうございました。」

椛沢 保男氏(UNIVAS)

・UNIVASの設立意義の1つとして、今回のような「競技間の情報共有」というのがある。そこのサポートをしたいと強く感じている
・リクルーティングだけじゃない、いろんな問題を考えるきっかけになっている活動。特にキャリア。スポーツを続ける意義
高校から大学に入る中でスポーツを継続する割合は9人に1人。大学からプロや実業団へ行く割合は7.5%。自らの意思でどうスポーツに関わるかを考え、行動することの重要性を強く感じている
・競技団体としては選手人口を増やしたいので、活動には前向きになってくれると思う。一方でリクルーティングになると大学という受け皿が関わるので、限界もある。サポートを待つよりも、個々人がベストを尽くして行動することが大事だと改めて思った
・こういう活動の際に、共通して使えるプラットフォームをUNIVASとしても準備したい
【最後の一言】「コロナの件を受けて、スポーツ界全体としてどうしていくかを考える、良いきっかけになっていると思います。競技を超えて、現役とかOBとか属性を超えて、スポーツの価値を表現していきたい。UNIVASとして、スポーツ全体としての良いアイデアを元に解決できる仕組みを作りたいと思ってます。みんなが続けたいスポーツを続けられるように、動いていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。」

中竹 竜二氏(SCJ)※冒頭の挨拶のみ

・ただ単にリクルーティングのためだけでなく、競技を突き詰め極めていく、セカンドキャリアをどうするかなど、広い取り組み
スポーツ横断で、みんなで考えていくためのきっかけに
・自由な発想、自由な発言をして、お互いに切磋琢磨していく場にしたい。
・この時間が、大きなムーブメントのスタートとなるように、皆で盛り上げていきたい

個人の感想

 競技を横断して、一丸となって活動することの意義を改めて感じた。今までは、言葉では分かっていたが、実際に目の当たりにして、これは大事にすべき視点だと思いました。

 シンプルに、このような大きなムーブメントに参画できていることに喜びを感じています。

スポーツの価値を皆で。
では。

 


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