見出し画像

飲食店未来学39:日替わりランチのメリデメを考える~続けるか、やめるか


ごはんみそ汁付きの定食スタイルの日替わりランチ(売価600円~990円が多い)
(メインのおかずだけが毎日変わる)

🍓日替わりランチは人手不足と食材ロスに
 より、提供店が少なくなってきている

 飲食店が提供する日替わりランチは、利用者にとってはとても便利なものです。職場から歩いて5分、10分にあるお店はまさに必需品ですね。

 しかし以下のような要因で、提供する店舗が少なくなってきています。

人手不足
 12:00~12:30の間に満席になって、一斉にオーダーが上がっても
お店側の調理~提供~片付け~会計がスムーズにできなくなくなってきて
います。特にキッチンの人数が限られ、使う機材も限られます。

コストが高騰しても価格転嫁しにくい
 食材費のみならず、人件費や光熱費が上がっても、すぐに価格転嫁できる
訳ではありません。特に日替わりランチには「価格の手軽さ」が求められるからです。

薄利多売型の価格設定なので変動があると利益率が悪化する
 
日替わりランチメニューは、他の料理メニューよりも平均で5%以上食材原価率が高いメニューが多い。
まして、ディナータイムの営業で余った食材やダブついた食材を処分する目的があること。
 さらに、毎日変わるため、いちいち料理毎に食材原価率を計算しているわけではないことが、収益性の悪さにつながっています。

🍓日替わりランチのメリット

<店側>
月商の一定比率をランチ売上で確保できる安心感がある
●余った食材を換金処分できる
●食材ロスの解消に役立つ
●夜用の料理セットを簡素化してランチ客に有料試食してもらえる
●ランチで好評なメニューをグランドメニューに取り入れると
 リスクのないメニュー強化ができる

<お客様側>
●定額(変動価格のお店もある)で割安な料理が食べられる
●価格が手ごろ
●毎日メイン料理が変わるので飽きない
●気になる割高のお店でも、ランチタイムなら気軽に利用体験できる

🍓日替わりランチのデメリット

<店側>
●食材原価率が他の料理より5%以上高くなり利益率が悪い
●12:00~12:30に一挙にオーダーが集中して大変な思いをする
●1日に1種類だけと決めると仕込み食材量が多くなり、客数が少ないと
 逆に食材ロスが出やすくなる
●毎日仕込み内容が違うため作業効率が悪い
●ローテーションメニューにすると便利だが、お客さまが飽きやすい
 またメニュー内容により、来客数が多い日と少ない日が決まってくる。
●新メニューの考案が月毎に大変になる

<お客様側>
●1月に2度以上同じメニューがあると飽きやすい
●お気に入りの日替わり料理があっても、次にいつ食べられるかわからない
 (定番料理を少し安くして日替わりに組み込んでいるお店も多い)

🍓飲食店側から見た対策

1,999円に向けて順次価格は上がる方向になる
 コストアップ分の価格転嫁が繰り返されて価格は上がり続けることになります。ただし、売価が1000円を超える日替わりランチやランチメニューは、確かな商品力とお客さまの満足度がないと集客に失敗すると思います。

 高いから売れないのではなく、
売価に比べて商品価値が見劣りすると売れなくなる と考えてください。

2,売価の値上がり率を抑える方法
●メイン料理の1種盛りを2/3ボリュームにして、1/3はコストを下げた食材
 に置きかえる

●付け合わせ食材を1種類減らす

●セットの小鉢を1つ減らす、分量を少し少なくする

●ご飯の量を小中大に分けて無駄なく提供する(廃棄ロスをなくす)
 *普通盛り50%~60%、小盛り20%、大盛り(またはお替わり)20%~
  30%であり、大盛り無料の場合でも増加量は20%程度となります。
  ごはん1kg原価=お米1kg原価×50%で概算が出ます。

●新たに売れる高価格ランチを開発して、客単価アップと利益率アップを
 図る
 これを実行するためには、すべてのランチ客に売るのではなく、特定の
 客層に向けて開発した新メニューにする方が良い結果になります。

3,販促対策
●店頭表示
●月別メニューのチラシ配布(半径100m以内を重点にする)
 場合により、テイクアウト情報、デリバリー情報も加える。
●SNSの活用

新たな年は、とにかくチャレンジしましょう。

(了)



飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします