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飲食店未来学46:飲食店の個性度は客席数と人口密度で決まる

おはようございます。コロナ過が明けてダウ平均が4万円を超えても、飲食業界も酒類業界も年商ベースは80%であり、以前の20%減ペースが続いています。

すべてのお店が売上げの確保をするために手を打っています。しかしその方法は企業によって違います。デフレ時代と同じように商品のディスカウントに走る企業、もうひとつは、商品力を上げて高額化する企業があります。

今の時流から見ると、デフレ基調で判断したディスカウント販売をする企業は間違いなく衰退劣化すると思います。売上高という数字をとるために利益を減らすことを平然と行っているからです。日銀総裁が言うように、まさにインフレに振れた2024年は、ビッグビジネスチャンスの年。

この投稿では、飲食店の個生化(専門店化・大きな差別化)は、客席数と人口密度で決まるという私論をご紹介します。

飲食店は個性を強めて生き残ろう

今の飲食業界は100店舗のお店が平均80点の売上力で営業しており、従業員不足であえぎながらも、食材費の高騰を人件費の減少で帳尻を合わせながら前にズっている状態です。決して良い状態ではありません。

こぞって80点の売上力を100点、120点に引き上げる、もしくは売上高がさほど上がらなくても、利益高を10%アップ、20%アップするためには、飲食店の個性化を強める以外に方法はありません。その代わり個性的な行きたいお店が増えれば、80%売上のお店は70%、60%と売上低下してゆきます。そういう意味では、飲食業界は自由競争が基本の、弱肉強食のテラノサウルスの世界なのです。

<個性化のメリット>
★周辺他店との差別化強化により競合度を減らすことができる
★専門店イメージを獲得できる

★価格設定を自由にできる(プライスリーダー価格に左右されない)(価格転嫁しやすくなる、高額化しやすくなる)

★予約客の増加が見込める
★客単価アップが見込める 
★客層が狭くなり満足度を高める対策がとりやすい など

<個性化のデメリット>
★対象客層が狭くなり、客層の商圏が広くなる(半径3~5km圏内が半径10~30km圏内のように変わる)販促手段や販促コストが変わる。

★奇抜な調理方法、奇抜な食材、奇抜な雰囲気のお店は、線香花火型になりやすい。

★通常の飲食店の売上変動幅の最低売上と最高売上の差が10倍ですが、この個性化を強めて専門店度を高めたお店は、20倍の差も覚悟しなければなりません。予約度を高めて見込の食材仕込み量を抑えること。売上予測を立てて従業員のシフト調整を小まめに行うことが必要となります。

客席数で違う飲食店の個性

30席未満のお店

一番個性的に客層を絞り込める店舗規模です。多くのお客さまに来ていただきたいことは基本ですが、狭い商圏内の多種多様なお客さまを呼び込むわけでなく、同じ嗜好をもつ客層を広範囲のエリアから集客します。売る商品も売価もお店のしくみも、絞り込んだ特定の客層がもっとも満足する形でまとめましょう。

30席~70席未満のお店

40席、50席、60席と10席単位で客席数が増えるごとに、1種類の客層だけでなく、2種類、3種類と違う客層を集客しないと、客席を満席にすることはできません。その分だけ個性度は水増しせざるを得ないとイメージしてください。千客万来のファミレスが苦境に立つ一面は、多すぎる客席数があるために、月商目標が高く、複数の客層を集客する運命にあるため、強い個性化の手を打てないことです。

この規模のお店はだんだん減少すると見ています。理由は売上規模に比べて人件費の比率が高くなる傾向があるため、利益が出にくくなるからです。生き残るためには、積極的に従業員の作業とAI機器の作業を半々にするくらいの改革が必要と考えています。

70席以上のお店

飲食業態が和食、洋食、うどんそば、焼肉など多種多様に分かれていますが、メイン食材の仕入価格が高く、食材原価率が35%を超えるお店ほど「毎日が戦争」の日々だと思います。(回転寿し業界のように)

個性化が一番しにくい店舗規模です。もう業態で個性化とは言えなくなってきていると思います。もっと集客力を高めることを始めるべきですね。

やはり客席を満席にするために、相反する客層も含めて複数の客層を取り込む必要があります。個室化する。和室仕様と洋室仕様に分ける。わざと段差をつけて目線をクロスさせないようにする。いろいろな対策が必要ですね。


さわやかさんのハンバーグ


静岡の炭火焼きハンバーグを売るさわやかさんは、お客さま第一主義であり、鮮度の良いハンバーグを提供するために、当日仕込み当日完売方式です。ここの従業員さんは、おはようございますというあいさつの代わりに「さわやかです」と言って出勤されていました。すばらしい会社です。この会社は席数が多くてもQSCAをきちんと守るしくみを構築されています。

人口の多さで飲食店の個性の強さは決まる

たとえば、月間に1,000人の来店客が必要な個性的な専門店があったとします。25日営業で1日(昼夜)で40人の来店客数の計算です。

●人口3万人の街で開業する(1,000人は人口の0.033%)
●人口30万人の街で開業する(1,000人は人口の0.0033%)10分の1
この二つを比べれば、やはり人口の大きい方が達成しやすいですね。個性度は人口が多い街ほど対象人口が多く高めやすいのです。

この社会のなかでは、なくてはならないニーズのある飲食店しか生存できません どうしたらなれるかを考えて行動してみましょう

改善・改革は今のうちです!

株価バブルがはじけたら、もうひとつ経営の難しさが訪れるのではと思う今日この頃です


(了) 3月6日 予約投稿



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